2021年6月
347.黒と愛 (飛鳥部勝則/早川書房)
祝復活!飛鳥部勝則「黒と愛」はぶっ飛びゴシック啓典なのだ
心霊が巣食う奇傾城で起きた首なし殺人。背後に蠢く製薬会社、人外の影。鍵は黒尽くめの美少女。「鋏は好きですか──」
登場人物全員怪人&狂人!超展開に次ぐ超展開!血塗れた果ての美しいラスト!10人中1人には突き刺さる怪作なのだ〜
348.尸 古から隠されているもの (倉阪鬼一郎/※Kindle)
「尸 古から隠されているもの」良かったのだ
村に眠る名づけてはいけない"沼"と黒の碑、謎の神を祀る神社、八十八年に一度の大禊。隠された巫女伝説と碑文が尸解き明かさ尸尸れる尸尸尸とき尸尸尸尸──
プロ作家では珍しい?kindle単独発売の正調民俗ホラー。男の子ってこういうの好きなんでしょ!
349.アムネジア (稲生平太郎/角川書店)
隠れた危険書「アムネジア」がkindle化してたのだ
男の不審死と闇金融の繋がりを巡るサスペンスはしかし、奇妙な機械の登場から混濁を始める
破綻した現実/嘘をつく記憶。実存不安度3000倍の語りに、暴力すら呪術に視えてくる。
lain好きにもお薦めの出口なき迷宮幻想。この魔書は人を"呑む"のだ──
これ、現実がボロボロ崩れ落ちて取り返しがつかなくなってく感覚が強烈で最高の一冊なのだが、とにかく面白さが説明しにくいのだ……
「いいから読んで」と説明放棄したくなる作品筆頭なのだ……
350.金色の死 (谷崎潤一郎/講談社文芸文庫)
谷崎潤一郎「金色の死」は履修必須の暗黒教養なのだ
文学を志しながらも肉体美に憑かれた富豪の級友。彼が全財産を賭けて築いた"芸術"とは
乱歩のパノラマ島綺譚に影響を与え、三島に深く言及されつつも、著者が全集収録を拒んだ曰く付きの逸品。華美の裏側にダミーの悲哀。青空文庫でも読めるのだ〜
351.ヴンダーカンマー (西川魯介/リュウコミックス)
伝説の眼鏡っ子伝道師・西川魯介の「ヴンダーカンマー」は絶対皆好きなヤツなのだ!
大戦中、古代の神秘が眠る島に設立された新兵器開発部隊を巡るコメディ
美少女×メカ×邪神×ミリタリー!どたばたギャグをベースにしつつも通を唸らせるクトゥルー設定&オカルト化学に悶絶。怒涛の終盤も最高なのだ〜
352.インディゴ (クレメンス・J・ゼッツ/国書刊行会)
コア層に話題騒然の「インディゴ」凄かったのだ!
謎多き奇病・インディゴ症候群の子供達に何が起きていたのか── 解雇された教師とその足跡を追う元生徒の記録
膨大な虚実のコラージュと、ナイーヴな思考。奇妙な齟齬と仄かしに膨れ上がる不安…凝ったCHIPSも楽しい、ポストモダン到達点なのだ〜!
スタートレック、バットマン、鉄男、(ノイズバンドの)ホワイトハウス、AC⚡︎DC、カート・コバーン、岩波文庫、首なし鶏マイク、ブルース・リー、マックス・エルンスト、アルヴォ・ペルト、バウンティマウス、トマス・ピンチョン、マトリックス、安部公房……
登場タームの山でもうやられるのだ……!
353.ついてくる (小川育/教育画劇)
友人の新刊絵本「ついてくる」を紹介させてのだ〜握った手
バンドデシネ調の仄暗サイケデリック色彩と、ティム・バートン〜水木しげるが宿った線で描かれる彼誰刻の闇。ついてくるのはべとべとさんか雛見沢症候群か─
衝撃の反転オチは良質なトラウマをお約束!バックアタックに弱いお子様用に是非なのだ〜
354.テスカトリポカ (佐藤究/角川書店)
遅ればせながら「テスカトリポカ」最強徹夜本だったのだ!
メキシコ麻薬カルテルから日本臓器密売ルートへと至る物語の過程に、あまりにも多くの死体が転がる。血塗れの運命を廻すのはアステカの旧き神──
現実的暴力と魔術的暴力が吹き荒れる未体験ノワール。物語にぶん殴られる修羅の筆致なのだ〜
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