SF方面からのAI批判の動向の短い紹介と日記


日記(目の異常)

中心性網膜症とかいう謎の症状が出て右目が見えにくくなり、(視界の中心に暗く歪んだ円形の領域ができる)眼科に行ったのですが、要するに時間が立つと治るものです。当時は絵も描きにくいし悪化しないか不安だったけど落ち着いてきました。良くなってきている感じがあります。


テッド・チャンのAI批判の動向

中途半端な紹介ですみません。もっとまともに紹介してくれる人がいたらしてください。
NeurIPSというAIの国際会議で、またチャンがAIアート批判を行っていました。紹介されているツイートをここに貼ればいいのかもしれませんが… #NeurIPS2024 chiangで検索すればチャンの発言だけ紹介してくれたツイートが出てきます。その方のまとめでだいたい要点はわかるのですが、公式サイトに登録すると音声が聞けるとか。でもよくわかんないので登録してません。

newyorkerのAIアート批判記事の発展版という感じらしいです。スピーチの終盤では、「genAIは著作権ロンダリングだしLLMは暗号通貨洗浄。マネーロンダリングビジネスにおいては、追跡不可能性がそのビジネスモデルだ。もし彼らに透明性を求めたら、途端にビジネスモデル全体が消え去ってしまう」と言ったみたいです。そして、研究者・開発者に対して、企業によって本当に世の中をよくするために使われているか考えてほしいと訴えたそうです。

やはり、批判はさらに苛烈になっています。そしてAI研究者が集まる国際会議でこれを言ったのが大きいのではないかと思います。

前半部分のアート批判部分も言葉選びが洗練されているかもしれません。
genAIは小さなインプットから大きなアウトプットを得るものだと要約したうえで批判を展開しています。また、アートの民主化であるという一時期流行った概念も否定していました。「アートの民主化が、数少ないアーティストからそれを奪うことでなされることはない、なぜなら、アーティストはアーティストになろうとしてなったのではなく、どうしてもならずにはいられない(be compelled to)からなったのだから」

内発的な動機がないということでしょうか。その後に、「マラソンを普及させたいのだといって電動自転車を配るのは意味がない」ということを言っています。


AIとSF2読みました

AIアートを題材にしたSF小説はいくつか読んだので、その紹介まとめ、みたいな記事も書こうと思っていたけど、目があれだし面倒でやめてます。
今回の短編集は、前半はやはりしんどい認識のものがありました。ディープフェイクは問題になるのに、著作物の無断学習自体は問題となった形跡がない未来を描いた作品や、アーティストの抵抗はかしましいものだが徐々に消えていった、そしてツールとして共存した、みたいな説明のある小説があります。(彼らの描く未来では、テッド・チャンらの活動は無意味だったみたいです)
しかし、アンソロジー後半に批判系の短編があります。

円城塔『魔の王が見る』
作品は難解ですが、まえがきでニューラルネットワーク自体の人間に対する異質性のなさを批判しています。また円城塔さんは最近の短編集『ムーンシャイン』のあとがきで、画像生成AIのデータセットに問題があると苦言を呈しています。『ローラのオリジナル』も雑誌掲載時より問題意識が強めの改稿がなされています。

塩崎ツトムさんの『ベニィ』もAI批判的な小説です。ほとんど初めて著作物の無断学習の問題が取り上げられた小説ではないでしょうか。

既存の創作者の作品を無断で学習し、その画風に似せたAI作品が市井にあふれた。作家や俳優たちの抵抗もむなしく、(中略)既存の国際条約や国内法も、巨大IT企業の「大きすぎて潰せない」経済力と、それを傘にきた度重なるモラルハザードによってなし崩しに死文化し、生身の人間の持つ芸術の才能は、単なる趣味か余興の領域に閉じ込められた。

AIとSF2 706P

このように、日本のSF小説からも無断学習批判が出てきています。だから一時期より楽観できます。



小説の公募が近いので

 ここからは紹介ではなく、自分が書いて出す小説の話なので、別に読まなくていいです。1月中旬に締め切りの短編の公募です。全体的なあらすじだけ考え中です。

 あらすじ:大学生の言語学専攻の女の子と、絵師の女の子が主人公です。絵師の子と言語の子が絵と小説の創作の共通点というか、たとえば小説のプロットは絵のカラーラフに対応しているよね、というようなことを話すシーンから始まります。絵師の子が絵を描くときに考えていることがわりと詳細に語られます。絵師の子は自分のLoRAを作られたことで若干ダメージを受けており(でも鬱にはなっていない)、言語の子の大学近くにあるアンフィテアタという謎の施設に連れていくことになります。
 アンフィテアタはAIを拒絶するアーティストたちの聖域とされており、ディープフェイクの被害者などが訪れます。同時に彼らの作品を展示する美術館でもあります。(完全なゲーテッドコミュニティとして宿泊できるかどうかは決まっていない)
 主人公は大学へ行き、その施設に行くと報告すると、言語学コースの先輩が、あそこはサラ・コナーの集まりだと嘲笑します。そして、主人公に対して警告します。アンフィテアタは資金源が不明だし、彼らが批判しているはずのAIを使っている形跡がある。逆に情報を収集されるかもしれない。
 でも主人公は、絵画版の生成文法を研究テーマにしたいので、行くことにします。しかし、絵師の子を預けるのは心配で、なんなら自分の下宿に置いておきたいと思っています。怪しい活動に参加する必要はないと思っています。
 アンフィテアタを訪れると、主人公はアーミッシュ的な場所かと思っていたのに、意外にもデジタルアーティストがほとんどです。
 そこで彼女たちは施設のリーダー的な女性と出会い、彼女が作ったインスタレーションを鑑賞します。それは古代の洞窟を模した部屋で、壁画のような映像が表示されます。それは明らかに生成AIの一種を使った展示なので、主人公はその矛盾に警戒しますが、結局入ります。そこでは単純な棒人間的な獣の絵が、象形文字に変化する様子が見られます。パースのいうアイコン・シンボル・インデックスのうち、アイコンが、シンボルになる様子が見られます。作られた文字は、意味を持ち始め、形と意味が乖離し始め、存在しない言語の文章を紡ぎます。その架空の文字と言語で、壁画の物語化が行われます。しかし絵師の子は、主人公とは逆方向の壁に、絵を描き続けます。洞窟はそれをすべて抽象化して圧縮しようとしますが、絵師の子は気にせず絵を描きます。洞窟は絵画を記号化したときの翻訳喪失があまりにも大きいと、独自の情報量分析によって報告します。作者の女性によって、絵は記号化による共有への抵抗であるということが語られます。(この流れはあまりおもしろくなっていませんので変える余地があります)
 主人公は絵師の子をこの団体に残して施設を去ります。
 主人公は、施設で見たサラ・コナーたちは(ターミネーターのように)突然未来からの脅威に怯え始めたわけではないと気づきます。AIは文字などによる対象の抽象化と共有の最新バージョンにすぎず、彼女たちは洞窟の時代からそれと戦っていたのだから、これからもそうするだろうということが言われて終わりです。

 主人公が絵画版の生成文法についてなにか発見するくだりはないの?となりますが、わかりません。そもそも記号すべてを捨ててしまう展開なので、いれるところがない。

 この全体の流れを考えるときに気をつけたのが、批判を極限まで減らすということです。一応絵師の子はちょっと被害を受けてから始まりますが、特にAI企業やユーザー批判などは盛り込みません。淡々と競合状態にあることが語られます。
 むしろ、結論としてはAIと共存しているように見えると思います。それが求められているからです。絵を描くときはみんながみたいであろうキャラと構図を考えるので、小説もそうするべきだと思ったからです。
 批判やディストピアは前やったので、今回は無理して明るくしたい。
 絵と言語の相互翻訳とか、そういうテーマで、もはやAIはあまり出てこなくてもいいかも。

 あと、前の記事から言ってることは進歩してません。短編なので、記号化への抵抗テーマ一本だけにしています。記号化への抵抗というキーワードはXであの記事が数人に拡散されたとき、AIユーザーの人にもちょっと受けた部分ですので。絵の起源が本当にこうなのかは不明で、絵の起源の神話を捏造したという感じになります。

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