異質な企業風土を根絶するには

女性アナなどの女性社員を接待要員として扱う企業風土を醸成してきたのは港社長自身であり、彼はそれで大物芸能人をフジに抱き込んでバラエティ部門の視聴率を稼ぎ、社内での影響力を拡大して社長へ登り詰めた。こうした芸能人接待は港氏からA氏に受け継がれてエスカレートしていった可能性が高い。港社長がA氏の関与を強く否定し、中居氏の性加害疑惑そのものをもみ消したのは、自己保身のためと思えてならない。

中居氏の性加害疑惑のもみ消しに加えて、フジテレビ騒動のもうひとつの核心は女性社員を接待要員として扱ってきた人権軽視の企業風土である。

それを主導した人物が出世して社長になったこと自体がこの会社の歪みを物語っている。フジテレビ経営陣からは「女性アナの上納・性接待」は言語道断としても、女性アナを宴席に同席させること自体は問題ないとの認識が示された。ここにこの会社を覆う人権意識の希薄が見て取れる。それは弱い立場にある者を小馬鹿にして笑いを誘う近年のフジのバラエティ番組に散見される演出に如実に現れていたといえるだろう。

このような企業風土を根絶するには、港社長やA氏の過去の悪行は第三者委員会によって徹底的に暴かれ、白日の下に晒されなければならない。

「10時間半の会見」でも、「文春の訂正」でも免責されない

フジテレビのガバナンスは完全に崩壊していた。港社長が1月17日に行った最初の記者会見は、記者クラブ加盟社以外を締め出し、映像の撮影を禁じる密室会見となった。港社長は日枝氏に辞意を伝えたが、猛反対され、社長にとどまることになったと報じられている。

こうして行われた密室会見は、弁護士を入れた調査を実施する方針を表明するだけに終わり、火に油を注いだ。世論の批判は沸騰し、フジの大株主である米投資ファンドが会見のやり直しを要求。テレビCMを引き上げるスポンサーが続出して75社を超え、フジは四面楚歌になった。

記者会見で謝罪するフジテレビ幹部
撮影=石塚雅人
記者会見で謝罪するフジテレビ幹部

中居氏が有料会員サイトで芸能界引退を一方的に表明しても、映像の撮影を許可した二回目の10時間半に及ぶ記者会見で港社長と嘉納修治会長が辞任を表明しても、『週刊文春』が第一報の重要部分を訂正しても、フジテレビが免責されるわけではない。

今や中居氏の性加害や編成局幹部A氏の関与の有無よりも、港社長らフジ経営陣による性加害疑惑のもみ消しや女性アナを接待要員として扱ってきた人権軽視の企業風土がスキャンダルの核心となったのだ。