「文春の訂正」に揺れるネット世論

被害女性は性被害を受けた直後に体調を崩して入院し、ほどなく退社した。何人かの弁護士に相談したものの、相手が大物芸能人の中居氏であり、背後にフジテレビが存在していることから、代理人を引き受けることを次々に断られたという。ようやく依頼を受けてくれる弁護士と出会い、中居氏と解決金約9000万円で合意したと昨年末の『女性セブン』が報じ、問題が表面化した。

被害女性を直接取材した『週刊文春』が昨年末に始めたキャンペーンが追い討ちをかけた。

第一報では、中居氏や松本氏が出演するバラエティ番組を数多く手掛けてきた大物プロデューサーであるフジテレビの編成局幹部A氏が被害女性を中居氏の自宅での大人数の飲み会に誘いながら、自らを含む他の参加者はドタキャンし、二人だけの密会をお膳立てしたと報じた。

これに対し、フジテレビは社員の関与を全面否定するコメントを昨年末に公式サイトに掲載した。文春は1月末になって被害女性を誘ったのはA氏ではなく中居氏自身だったと訂正したが、その前月に中居氏の自宅であったバーベキューパーティーにA氏が被害女性を引き連れて参加していたことは事実だとし、問題の飲み会はその延長線の出来事だとして「A氏が関与していたことは間違いない」としている。

フジのガバナンス不全は明らかな事実

『週刊文春』の第一報の詰めが甘く、訂正に至るプロセスにも疑問は残る。

他方、問題の飲み会そのものにA氏が関与していないとしても、人気番組に誰を起用するかという人事権を握るA氏が中居氏の自宅でのバーベキューパーティーに被害女性を引き連れて参加し、中居氏が彼女を個別に自宅に誘い出す環境をお膳立てしたという外形的事実は動かし難い。

フジテレビが第三者委員会の調査を待たずに早々と社員の関与を全面否定したのは「疑惑の火消しを図った」との批判は免れない。

被害女性が文春の取材に対し、芸能人の接待要員としてA氏に「上納」された被害者は自分以外にもいると証言したことで、「中居氏の性加害疑惑」は「フジテレビによる女性アナ上納接待疑惑」へ発展した。その後、同様の週刊誌報道が相次ぎ、疑惑の中心は中居氏からフジテレビへ移った。

同じくバラエティ部門出身で、とんねるずを担当したことが知られる港社長がこれまで女子アナを接待要員として扱ってきたことも相次いで報じられた。港社長の誕生会に女性アナが投入されたことも発覚したのである。

フジテレビの港社長(当時)
撮影=石塚雅人
フジテレビの港社長(当時)