「カネさんに『終着駅って何や! そんなことは二度と言うな』と怒られてな。その席には、オリックス時代に監督として最もお世話になったウエさん(上田利治)もおられて『カド、何を言うんや』と。これからも後進のために頑張る、と約束させられたよ」
そんな大先輩の言葉に応える動きが本格化してきた。今年10月末、「大阪ホークスドリーム」という硬式野球チームの総監督に就任。来年から、関西独立リーグへの参戦を目指すという。ホームランにあくなき執念を燃やした男が、再び〝プロ野球〟の世界に戻ってくるのだ。
最後に門田らしいエピソードで話を締めくくりたい。南海時代の絶頂期、スポーツ新聞各紙にデカデカと「門田―掛布トレード」の1面記事が躍った。南海の主砲と阪神の主砲の交換トレードで世間は大騒ぎに。
「行ってもいいよ。複数やったら納得せんけど、掛布との1対1なら文句はない」
プライドを持ち続けた現代の野武士ならでは、のコメントだ。この話を門田に向けると「そんなこと言ったかな」と遠くを見やり、やがてニヤッと笑った。自分なら言いそうだ、と感じたのかもしれない。(上田雅昭)
▼門田 博光(かどた・ひろみつ)1948(昭和23)年2月26日、山口県生まれ。天理高からクラレ岡山を経て、70年D2位で南海に入団。40歳を迎えた88年に打率・311、44本塁打、125打点の成績を残し、MVPにも輝く。本塁打王3回(81、83、88年)打点王2回(71、88年)。2006年殿堂入り。通算成績は、2571試合に出場、打率・289、567本塁打、2566安打、1678打点。1メートル70。