スイッチ2も転売ヤーの標的? 販売店など「本当に必要とする人に」

Nintendo Switch 2(ニンテンドースイッチツー)の本体画像=©Nintendo

 任天堂の新型ゲーム機「ニンテンドースイッチ2」が2025年中に発売される。これに伴い懸念されているのが、「転売ヤー」による買い占めや価格のつり上げだ。これまでも人気商品が発売されるたびに標的となり、一般消費者からは「本当に必要としている人が買えない」「転売ヤー滅べ」といった声も上がる。メーカーや販売店に対策の実態を聞いた。

過去にはPS5、マスク、コメも

 そもそも仕入れた商品を転売して利ざやを稼ぐ行為自体を禁じる法律はなく、「自由競争だ」との主張もある。ただ、インターネット通販やフリマサイトが普及して個人も気軽に参入しやすくなったことで、過剰な買い占めや価格のつり上げが生じやすい環境になっているのは事実だ。行きすぎた行為は、健全な市場形成が損なわれる危険をはらむ。

 過去に転売が横行した事例としては、20年11月発売のゲーム機「プレイステーション5(PS5)」や、新型コロナウイルス禍でのマスク、24年夏場のコメなどが記憶に新しい。

 では転売について、メーカーはどのように対応しているのか。

初年度2000万台?

 任天堂の古川俊太郎社長は4日、オンラインで開いた決算発表記者会見で「ニンテンドースイッチやそれ以外の商品でも、品薄になって転売が起きることは経験している。経験を踏まえて取れる対策は取っていきたい。需要を満たせるだけの数量を用意するのが最も重要で、スイッチ2の発売に向け、いろんな準備を進めていく」と述べた。

 米ブルームバーグ通信は1月、「任天堂が強力なサプライチェーン(供給網)を準備し、初年度2000万台以上販売するだろう」とするアナリストの見解を掲載した。17年に発売された「ニンテンドースイッチ」の世界販売台数は同年に1000万台強、最も多かった20年度は2883万台だった。実際に初年度から2000万台規模で供給されれば、転売を抑止する一定の効果はあるかもしれない。

購入制限、抽選販売、注文キャンセルも

 販売店の対策はどうか。家電量販店「ヤマダデンキ」を運営するヤマダホールディングス(HD)は、これまで1人1点の購入制限や抽選販売で複数購入を防止してきたという。

 ゲーム機の販売、買い取りを手がける「ゲオ」などを運営するゲオHDも抽選販売を実施。本人確認を済ませたユーザーに応募を限定し、重複当選を厳しく防止した。買い取りについても、定価以上ではしていないため、転売目的の持ち込みはないとしている。

 家電量販店大手のノジマは「転売撲滅宣言」と銘打ち、大がかりな転売対策を講じている。1人1点の購入制限や抽選販売のほか、オンライン販売では複数の担当者が目視で監視し、転売が疑われる注文には購入をキャンセルする。それでも繰り返す悪質なユーザーにはアカウントの凍結や手数料の請求などで対抗するという。

「イタチごっこ」

 メーカーや販売店の担当者は「公平に、適正価格で、本当に必要とする人の手に渡ってほしい」と共通する思いを口にする。ただ、転売された商品を購入する人がいる以上、転売行為を阻止することは難しいのも実態で「イタチごっこ」(ノジマの担当者)だという。

フリマサイト「メルカリ」で定価以上の高値で販売されるフェイラーの商品=スクリーンショットより

 1月29日にも転売目的が疑われる買い占めが発生した。

 高級タオルなどで知られるフェイラージャパンが、エポック社の人気キャラクター「シルバニアファミリー」をデザインした小物などの商品をオンラインサイトで正午から販売した直後、X(ツイッター)に同日午後0時9分時点でほとんどの商品が売り切れとなっているサイト画像が投稿された。さらにフリマサイトで転売されているのを見つけた投稿者が「ファンを冒とくした行為」と怒りをあらわにする書き込みもあった。

 フェイラーは、1人1点の購入を呼びかけ、転売目的の購入を断る注意書きをしているが、記者がフリマサイト「メルカリ」を確認すると、発売されたばかりの同商品が並んでいた。定価1万4300円(税込み)で発売されたバッグは、定価の2倍から、中には4万円を超える値を付けた商品もあった。

最終判断、あくまで買い手

 高額転売への対策について尋ねると、メルカリの担当者は「メルカリサイトで一時的に需要と供給のバランスが崩れ、急激に価格が高騰している可能性がある商品に対しては『お知らせ』を表示して対応している」と回答した。

 たしかに高額で出品されている商品のページには「価格が急騰している可能性があります」との表示はあるが、そのまま購入することは可能だ。最終判断はあくまで買い手に委ねられている。【嶋田夕子、妹尾直道】

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