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12月14日:勇士の有志よ、勇姿を見せよ

多種族サミット二日目の議題は二つ。たった二つだ。

それは一日目で大体の議題を消化したから、とかそもそも人間ほど複雑な政治形態をしていないモンスター達のサミットはそんな複雑な話し合いをしないとか、色々な理由はあるがそれでもこの日の議題が二つしかないのは、それだけ重大であるということだ。


「───では、改めて此度は議長を務める余、ニャイ十三世より議題を説明させていただくニャ」


その特徴的な形状の王冠ゆえにどう見ても招き猫にしか見えない白猫が、出るとかは出て引っ込んでるところはしっかり引っ込んでるナイスバデーな………ホルスタインミノタウロスを見つめながら話し始める。いやぁ……デフォルメも擬人化も投げ捨てたパーフェクトホルスタインフェイスだ……

流石にこれ以上騒いだら無粋な事は分かっているのでウル・イディム氏に倣って真面目に聞くことにする。


「先だって……ミノタウロス族の王、ゴルディエス王が重傷を負ったニャ。現在はアスティロス女王が後を継いでいるニャ」


ほうほう、あのホルスタインはその重傷の王様の後任ってわけか。ご夫人なんかな?


「その原因は、恐るべき刃の(ドラゴン)ニャ。ゴルディエス王は全身を切り刻まれ、生きているのが奇跡のような状態ニャ」


………ほう?


「ドラゴン、ねぇ……」


「何カ、思イ当タル点デモ?」


「いやぁ……ちょっと、ね」


ドラゴン。この世界においてこの超メジャーなファンタジーモンスターの名前は少々特別な意味を持つ。そもそもこの世界、厳密な意味で「ドラゴン」と呼べるMobが極端に少ない。


例えばジークヴルム。ちと人型だがドラゴンと言って差し支えないデザインだが、あれのルーツは人造生物だ。どちらかと言えば「人造生物・タイプ:ドラゴン」とかそういう類だろう。


例えばノワルリンドを始めとする色竜。あいつらの正体はどちらかというとドラゴンな形をした菌類と言うべきものだ。そもそもドラゴンらしからぬ見た目をした奴も多い、ドラゴン属性を持ってる変なナマモノというかなんというか。


例えばユザーパードラゴンなどの原生モンスター。調べて分かったが、ほとんどワイバーンじゃねぇかという結論だ。分かりやすく言うと前足が翼になっているのがワイバーンだ、一時期は「ドラゴンという名前がついてるんだからシャンフロではこれがドラゴンだ」という説もあったがリヴァイアサンやベヒーモスが現れたことで「勇魚」「象牙」からの解答「名前が違うだけで種族的にはほぼ同一ですね」という一撃でこれがドラゴン派は絶滅した。


「………」


だが俺は知っている。この世界にはもう一つ、「ドラゴン」と呼ばれるエネミーが存在することを。


「此度、アスティロス女王は凶刃の竜を討つ勇士を募っているニャ。ウル・イディム殿には是非とも、という話だった……ニャけども」


ちら、と招き猫が俺へと視線を向ける。ホルスタインミノタウロスや他のモンスター達の視線も俺の方へと……


「………ククク」


この世界にはもう一つ「ドラゴン」が存在する。

それは遥か昔、とある勇者が討ち果たしたとされるドラゴン。輝く槍の伝説が、それの討滅を以て仮説を実証する為の大いなる試練。


「おう、サンラクよう……ビィラックからの預かりモンだ。今ぁ渡すぜ」


ヴァッシュが何処からか取り出した一振りの剣。黒ずんだ炭のような刀身を持つ刃が、無造作に俺の方へと投げられる。モンスター達が囲む円卓を飛び越え、ともすれば俺に突き刺さりかねない回転で飛んできたそれを……受け止める。


「そのドラゴンスレイ、この俺が請け負おうじゃないか」


黄金のマグマを使った割に随分と地味な見た目になったが、おかえりアラドヴァル。日焼けした?


「アラドヴァルもいい加減、ドラゴンもどきばかり斬っていたんじゃ物足りないんでな」


このタイミングでわざわざこれを渡してきたって事はつまりそういうことなんだろう。その「刃の竜」とやらは……アラドヴァル、いや輝槍仮説(ブリューナク)の目指す頂に至るために倒さなきゃならない真なる竜種(ドラゴン)


「オイオイ、ドラゴン退治なんて楽しいコンテンツを目の前で独り占めたぁ怖いもの知らずかよ? なぁサンラク……」


「募集:肉壁枠4」


「オイコラ」


「その肉壁は砲門付きだよ?」


神秘の剣(レーツェル)中衛参加希望です。徹夜行けます」


「私モ、助力シヨウ」


「どちらかというより壁より便器で!!」


「ここぞとばかりにイキイキすんなや!!」


喰らえ復活のアラドヴァル根性焼き!!


「あひぃん!……あれ?」


「ん?」


「熱くないよ?」


何ぃ? そういや鞘が無い。試しにぺち、とサバイバアルの頬にアラドヴァルの刀身の腹を当てる。


「なんだよ」


「いや、以前のアラドヴァルならお前の頬をチーズのようにとろーりとする筈だったんだが」


「ぶん殴るぞ!?」


えーと? アラドヴァル・リビルドからどんな感じに強くなったの、と…………………ほほう?


「…………」


「サンラクくん?」


くいくいっ(ケツを出せのゼスチャー)


スッ(にやけ面のまま後ろを向くディープスローター)


「っしゃあ! これが進化した「槍焔剣(そうえんけん)アラドヴァル」じゃい!【刃点火(イグニッション)】!!」


スパァン! ズドォン!!


「あはぁーん!?」


「おおっ」


この「爆撃」効果って何かと思ったけど、もしかして文字通りの「爆」の「撃」って事か?

蒼い爆発(・・・・)によって派手に吹っ飛んでいったディプスロを見送りながら、俺は青い炎の残滓を纏うアラドヴァルを振って炎を散らしながらヴァッシュの……否、モンスター達の方へと振り返る。


「喜べ、勝ち確だ」


………ん? あれ? 募集四枠に対して参加希望五人いなかった?

有志というか痴態晒してる奴もいるけど

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― 新着の感想 ―
ディプスロが楽しそうにしてるの見ていて痛ましい 救いはないみたいですね(諦観)
2024/11/30 14:50 もいもい
[良い点] ここ十数話でディプスロの好感度上がりまくってる
2024/03/21 16:36 わしのまーく
[一言] ディプスロ嬢は壁尻より能動的に蹂躙される方が好みφ(..)
2021/12/10 09:58 NORIG
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