埼玉 八潮 道路陥没 穴の水は下水道管の目詰まりが原因か

埼玉県八潮市で起きた男性が安否不明になっている大規模な道路陥没事故で、捜索を妨げている穴の中の水は、下流部の下水道管に目詰まりが起きて汚水が逆流して現場であふれている可能性があることがわかり、県は原因の特定と対策を急ぎたいとしています。

先月28日に八潮市の交差点で発生した大規模な道路陥没では、深さが15メートルほどの穴ができていて、土砂などが底から8メートルほどまで積み重なっています。

トラックに乗っていて穴に転落した74歳の男性は埋もれたとみられ、安否がわからないままです。

土砂などを取り除くために穴の中に重機を入れるスロープは完成しましたが、1日夕方になって、穴の中で汚水とみられる一定量の水が見つかり、スロープの下で行う捜索に向けた作業は中断されています。

水位は2日午前には一時下がりましたが、午後には再び上がったということです。

県によりますと、この水は現場より下流部にある下水道管が流れ込んできたがれきなどで目詰まりを起こし、汚水が逆流してあふれ出ている可能性があるということです。

県は原因の特定と対策を急ぎたいとしていますが、消防は、水がある状況ではスロープの下での作業は難しいとしていて、穴の中での本格的な捜索は当面、実施が見通せなくなっています。

光回線はすべて復旧も固定電話は見通し立たず

陥没事故の影響で、現場周辺のエリアでは光回線を利用したインターネットが一時およそ1300回線で利用できなくなっていましたが、2日午後4時半までにすべて復旧しました。

一方、固定電話はおよそ400回線について、復旧の見通しが立っていないとしています。

このため、NTT東日本では、対象の世帯に、携帯電話の電波を使って固定電話の通信を可能にする「ワイヤレス固定電話」のサービスや、固定電話にかけてきた相手に別の連絡先を伝える「音声ガイダンス」などを提供しています。

1日から現場近くの市民文化会館で、午前9時から午後5時まで相談窓口を開設していて「困りごとがあればぜひ利用して欲しい」と呼びかけています。

穴広がるおそれ 現場近くの5棟に避難要請

道路陥没の影響で埼玉県は、できた穴が今後さらに広がるおそれがあるとして、現場のすぐ近くにある5軒の住宅の住民に対し避難を要請しました。

現場周辺の住宅をめぐっては八潮市も、不安がある人は避難するよう呼びかけていますが、市は対象となるエリアを半径200メートルから半径50メートルの範囲に縮小しました。避難所も市の施設の『エイトアリーナ』に変更しました。

埼玉県 「復旧工法検討委員会」の初会合

埼玉県は2日、大学教授などで作る「復旧工法検討委員会」の初めての会合を開き、大野知事が「この下水道管は120万人の県民が関係し、非常に大きな影響が出ている。人命救助が優先だが、復旧にあたっては県民や道路を利用する全ての人に安心で安全なものとしなければならず協力をいただきたい」とあいさつしました。

県によりますと委員会のメンバーは会合に先立って現場を視察し、その後、応急的な復旧や本格的な復旧に向けて工法などについて幅広い意見を出してくれるよう求めたということです。今後も必要に応じて随時開催するということです。

《支援》

隣接の東京 足立区 対象の住民は公衆浴場無料に

道路陥没を受けて埼玉県は下水道管に流れ込む汚水の量を減らすため、県内の12の市と町の住民に節水し排水量を減らすよう呼びかけています。

こうした中で少しでもリラックスしてほしいと足立区では区内23か所の公衆浴場で、この地域の住民を対象に入浴料を無料にする取り組みを行っていて、このうち「曙湯」には1日も八潮市から家族連れなどが訪れていました。

訪れた人は窓口で住所の分かる本人確認証を提示して利用し、なみなみとお湯が張られた湯船に入って体を温めていました。

この浴場では1日までの2日間でのべおよそ100人が対象の地域から訪れているということです。

八潮市の現場から3キロほど離れた地域に住む40代の母親は「お風呂も洗濯も節水に気をつけていますが、使うたびに罪悪感がありこの生活が続くのがストレスです。さっぱりしてよかったです」と話し、40代の父親は「節水のためシャワーにしていましたが寒いので銭湯を使えてありがたいです。早く復旧してほしい」と話しました。

また草加市から訪れた40代の男性は「穴を塞ぐまで協力しないといけないので大変ですがもうしばらく我慢します」と話していました。

「曙湯」の森山篤社長は「3日間シャワーの人や家の風呂に入れない人もいました。ありがとう、助かったと感謝されこの仕事をしてよかったと感じました」と話していました。

あわせて読みたい

スペシャルコンテンツ