クローズアップ現代

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追跡・SNS性犯罪~ネット上で狙われる子どもたち

初回放送日:2021年11月4日

いま、子どもたちがSNSを通して、わいせつな行為を求められたり、性的な画像を要求され、知らぬ間にネット上で拡散される被害が増加している。こどもたちにいま何が起きているのか・・・今回、番組では支援団体と共同で、SNS上に架空のアカウントを開設。見えてきたのは、巧みな話術で懐柔しこどもたちを手なずける卑劣な手口だ。さらに画像が、違法な児童ポルノサイトで売買されている実態も判明。摘発された人物や捜査員の証言から巨大な裏ビジネスの構造が浮かび上がってきた。子どもたちを守るためにいま何が必要か考える

放送内容

目次
  • 独自追跡・SNS性犯罪 卑劣、巧妙…子どもを狙う手口とは
  • "グルーミング" 新たな手口の危険性
  • "児童ポルノ"知られざる拡散の実態
  • 児童ポルノの法規制は?

独自追跡・SNS性犯罪 卑劣、巧妙…子どもを狙う手口とは

ネット上で性被害などに遭った人たちの支援を行っているNPOです。

被害の実態を明らかにするために、私たちはNPOと共同でSNS上に架空の子どものアカウントを作成することにしました。設定は14歳。中学3年生の女の子です。

調査を合法的な範囲内で実施するため、弁護士などの助言をもとにルールを設定。「みずから連絡しない」、「誘惑や挑発はしない」、「未成年であることを強調する」こととしました。

まず「友達がほしい」とつぶやくと、僅か2分で12人からメッセージが送られてきました。その1つ、20代男性と称する人物のメッセージを開くと。

「こんにちは!下心ありのエロ垢だけど、大丈夫かな?」

いきなり性的な会話を持ちかけてくる内容でした。さらに別の20代男性から送られてきたのは、男性の下半身があらわになった動画でした。真意を問いただそうとメッセージを送りましたが。アカウントはすでに削除され、連絡を取ることができませんでした。

NPO法人「ぱっぷす」相談員 後藤稚菜さん
「事が済んだ、用済みっていう感じがしますね。(子どもを)性的なものとしてしか見ていない。ひとりの人格のある子だと思っていたら、まずこんな声はかけてこないわけですよね、絶対に。一方的に支配できる相手として見ているんだなっていうのが、すごく怒りが湧きましたね」

アカウントを立ち上げてから約2か月。直接メッセージを送ってきた人物は200人近く。そのほとんどが男性と見られる人物からの一方的な性的要求で、反応すらする気にならないものでした。

しかし中には、つい心を許してしまいかねないケースもありました。一人息子がいるという40代の男性です。性的なことは一切書かず、こちらを気遣うことばが続きます。

さらに甘いものが好きだと書いたプロフィールから、自分も好きだと共通点を提示。

メッセージはほぼ毎日送られてきました。

NPO法人「ぱっぷす」相談員 内田絵梨さん
「お疲れさまって言ってくれて、ありがとうって思ったり、今しんどいから聞いてくれて助かったよって思った時があるってことは、当事者(子ども)だったらもっと心を開いていた可能性はめちゃくちゃ考えられる」

安心感が芽生えたちょうどそのころ、メッセージの内容が一変します。「ストレスがたまる」と愚痴をこぼしたところ、やわらげる方法があると男性が示してきたのが性行為を求めるメッセージでした。

子どもを一度信頼させた上で心をコントロールする手口は、「グルーミング」と呼ばれています。

そのことばに疑問を持ちにくくなり、性的要求を受け入れてしまうのです。

後藤稚菜さん
「(一度信頼した)そういう相手から性的なことを求められて、畳みかけられ理詰めにされたら、やっぱり嫌われたくないとか、いままで気遣ってくれていた関係性とかもなくなってしまうのかと思うと、やっぱり断れなくなっていってしまうと思う」

実際にSNSで出会った男性に言い寄られ、性犯罪に巻き込まれた女性に話を聞くことができました。ゆかさん(仮名)、24歳です。

ゆかさん(仮名)
「引っかかる方が悪いんだとか言う人もいると思いますが、憧れというか、大人の世界への憧れで、ちょっと甘いことばにこういう世界があるんだって思っていってしまう」

被害に遭ったのは10年前。中学2年生のときです。男性は頻繁にゆかさんの容姿を褒めるメッセージを送り、会いたいと求めてきたといいます。性的な要求は一切ありませんでした。女子校に通い、恋愛経験もなかったゆかさん。次第に男性に関心を寄せるようになりました。

ゆかさん
「年上の男の人との接点が何もなくて、危険とは思っていなかった。18歳って言ってたんですけど、その人。大人の人に見えたし、いいなと思って。(私の)写真を送って、それでかわいいねって言われて、今度会ってみようよって言われて」

会うなり連れて行かれたのは、カラオケの個室。そこで男性は態度をひょう変させ、同意なく性行為を強要しました。

あれから10年たった今も、幻覚や幻聴に悩まされ、毎日薬を飲み続けているゆかさん。会いに行った自分が悪いと、自らを責めることしかできなかったといいます。

ゆかさん
「相手、男の人をものすごく憎んでいるとか、それを思ってしまったら本当に全部その人の悪意だったんだって思ってしまって、自分を否定してしまうような気がして。全部犯罪って思いたくないって思ってたんですね、当時は。その女の子の人生を狂わすきっかけになってしまうので、本当に許せない」

未成年への性行為やわいせつ行為は、犯罪です。たとえ同意があっても、条例で懲役や罰金が科されることがあり、また脅迫や金銭の授受などが伴えば、法律違反としてより重く処罰されることになっています。

それにも関わらず、後を絶たないのはなぜなのか。

私たちは14歳の設定にも関わらず、執ように性行為を持ちかけてきた30歳前後だという男性の求めに応じ、会うことにしました。男性は本人だと認めた上で、こううそぶきました。

30歳前後の男性
「冷やかしで遊んでみようかと思いまして、どこまでいけるか、そういう遊びをしていた。本当に14歳が来たら、諭して帰っていたと思います」

NPO法人「ぱっぷす」理事長 金尻カズナさん
「諭して本当に帰ってました?あやしいな」

実はこの男性、事前のやり取りでは「未成年との性行為は絶対悪ではない」、「同意があれば犯罪ではない」と子どもを誘い出すために誤った認識を繰り返し示していました。

この日も。

30歳前後の男性
「児童だから成人だからって関係なくて、真剣な交際かどうか、よく言われる話。そういうのって基本的に1対1の個別の関係だと思うので」

金尻カズナさん
「相手は児童ですよね。基本的に対等な大人の関係性の話の議論ではなく、大人と児童の話ですよね」

"恋愛"ならば、罪には問われないとの主張を繰り返した男性。話し合いは30分以上に及びましたが、非を認めることはありませんでした。

金尻カズナさん
「彼は反省していないから、またやるんですよ。多分同じことを続けて、より巧妙かつ先鋭化していく。この状態をずっと野放しにしてはいけない」

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このエピソードの放送予定

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出演者・キャストほか

  • ゲスト
    川本 瑞紀
    弁護士