脱会強要のため12年5カ月にわたって監禁された世界平和統一家庭連合(旧統一教会)信者の後藤徹氏(61)が、ジャーナリストの鈴木エイト氏から日本テレビ系情報番組「情報ライブ ミヤネ屋」などで「引きこもり」と発言され名誉を傷つけられたとして1100万円の賠償を求めた訴訟の判決が1月31日、東京地裁であった。一場康宏裁判長は一部を名誉毀損と認め、11万円の賠償を命じた。
東京地裁判決「社会的評価低下」
旧統一教会はこれまで、信者が脱会強要のために監禁された事件が多数起きたと主張。民事訴訟で信者側が勝訴した事例も複数あった。
後藤氏は平成7年9月~20年2月に親族らに東京都内のマンションなどに監禁されて脱会を強要されたとして、親族やキリスト教牧師、脱会カウンセラーを提訴。最高裁は27年9月、後藤さんの訴えをほぼ全面的に認め、親族らに総額2200万円の損害賠償を命じる判決が確定していた。
鈴木氏は同年10月、自らのサイト「やや日刊カルト新聞」で後藤氏について「12年間に及ぶ引きこもり生活の末、裁判で2000万円をGETした」と記述。令和4年8月12日放送の「ミヤネ屋」でも「ほぼ引きこもり状態」などと発言した。
今回の判決で一場裁判長は、この2件の記事や発言について「原告の行動の自由が違法に制約され続けていたので、引きこもりではなかった」「原告の社会的評価を低下させるもの」と名誉毀損を認定した。後藤氏はほかに3件の記事や発言について名誉毀損と主張していたが認められなかった。
鈴木氏「こちらの勝訴」と主張
鈴木氏は判決後の記者会見で控訴の意向を表明。X(旧ツイッター)で「原告側の主張はことごとく棄却され『引きこもり』との言葉の評価、確定判決への論評についてのみ、東京地裁が最低限の金額での名誉毀損と判断したものであり(その判断も首をかしげるものですが)、原告の主要な主張は全て棄却されており、こちらの勝訴と言えます」などと投稿した。
後藤氏も控訴するとした上で「私は12年5カ月におよぶ監禁被害の間に自死を考えるほど苦しみ、最高裁で監禁の事実が認められて勝訴が確定した。にもかかわらず、鈴木氏は『引きこもり』と誹謗中傷したのだから当然の判決だ。今回認められなかった部分については控訴審で争っていく」と話した。