県発注公共工事で入札不成立相次ぐ 災害復旧工事の増加で
去年4月から先月・12月までの今年度、鳥取県が発注した公共工事のうち、入札が成立しなかった割合は全体のおよそ20%を占め、前の年度の3倍近くになっていることがわかりました。
県はおととしの台風7号の被害に関連した復旧工事が増えた一方で、建設業界では人手が不足していて受注を希望する業者が集まらなかったのではないかと話しています。
県によりますと、去年4月から先月・12月までに県が発注した公共工事910件のうち、受注を希望する業者がおらず、入札が成立しなかったり、県が予定する金額で受注する業者がいないなどの理由で、入札が成立しなかったケースは174件でした。
これは全体の19.12%を占め、前年度の3倍近い割合になっています。
県によりますと、おととし8月の台風7号の記録的な大雨による被害に関連して、これまで300件あまりの復旧工事を発注するなど、今年度の公共工事の件数は例年より増えているということです。
しかし建設業の人手不足の影響で、工事を受注したくてもできない業者が多いことが、入札が成立しないケースが相次ぐ背景にあるのではないかと県では分析しています。
県では緊急性の高い災害復旧事業を優先的に発注するほか、人手の確保が難しい場合などには、工事を受注した事業者に着工時期を遅らせることを認めるなどの対策を実施しています。
【業者が決まらず二次災害発生する懸念も】
工事を受注する業者が決まらないため、台風による大雨の被害からの復旧工事が始められず、再び大雨が降ったときに、二次災害が発生する懸念も出ている現場もあります。
三朝町を流れる加茂川では、おととし8月の台風7号による記録的な大雨で川が増水し、石でできた護岸が流されため、川沿いにある田んぼの一部も流される被害が出ました。
川を管理する県は、去年8月から護岸を復旧する工事を発注し、これまでに3回、受注する事業者を募っていますが、これまで入札に参加した事業者はなく工事を始めることができない状態が続いています。
護岸の復旧ができない状態が続くなか、ふたたび大雨による川の増水が発生した場合、県では護岸がさらに崩れ、被害が拡大する危険性があると懸念しています。
県河川砂防課の前田暢夫課長補佐は「現場は道路から離れていて進入路が狭く、手間がかかる箇所です。近くに住む住民もこれ以上崩れることを心配されていると思うので、なるべく早く業者を調整して安全、安心を届けていきたい」と話していました。
【人手不足に加え「2024年問題」も背景に】
県が発注する公共工事で入札が成立しないケースが相次いでいる理由について、建設業界からは慢性的な人手不足に加え、去年4月から建設業で時間外労働の規制が強化された「2024年問題」が背景にあるという声が出ています。
去年4月から、働き方改革にともなう労働基準法の改正によって、時間外労働の上限は災害の復旧事業に関わる人を除き、原則月45時間、年360時間以内となりました。
これを受けて建設業者が勤務時間の上限を強く意識するようになったことで、移動が長時間になるケースや、工事現場までの道路が整備されておらず、大きな機材を運び込めずに作業が長期化するケースでは、事業者が受注を望まない傾向があるということです。
県建設業協会の山根敏樹会長は「遠い現場に行くまでには1時間半かかることもあり、効率はすごく落ちるので、そういった工事はどの業者も受注したくない。どうしても業者が持つ技術屋や職人の数には限りがあるので、それを上回る受注はできない」と話しています。
そのうえで「災害はいつ起きるか誰も分からない。行政は私たちがスムーズに仕事を進められるよう、どのような手助けができるのか考えてほしい」と話していました。