高校探究ゼミ「未知の言語を調べる」第4回 調査結果のまとめと発表
全4回の探究ゼミ最終回。前回のゼミではグループごとに聞き取り調査を行った。
今回は調査結果をまとめて発表だった。調査では4グループに分かれたのだけど,残念ながらインフルエンザによる学級閉鎖のため出席できない人がそこそこ出てしまい,3グループに減らすことになった。
発表資料は手書きパワポ?
発表資料の作り方はけっこう悩むところがあった。というのも研究発表というと普通パワポでスライドを作るかハンドアウト(レジュメ)を作るのが半ば常識だが,操作の習熟性を考えると時間内で作るのも宿題として貸すのも難しい。かと言ってフリーハンドにするわけにもいかない。
そこで今回は私の方でA4の紙を用意し,それを横長に使い,ペンやクレヨンを使って書いてもらうことにした。資料が出来たら私がiPadで撮影して発表時はそれを操作してもらった。言うなればアナログパワポだ。もちろん言うだけではイメージが付かないので私の方でサンプルを作成した。
言語学的な面で資料作りの際に強調したのは用例で説明することと,逐語訳(グロス)を付けることだった。ただ僕のサンプルもdiの後ろにもっと別の地名も入れるとかしたほうがよかったなあとは思う。ちょっと大げさに言えばパラダイムを強調しておくということなんだけど,高校生には難しいよなあというのと,調査が単調になりそうで面白さに欠けてしまう(大学生以上がやる言語調査ではなく,一発勝負なので)。
作成手順もスライドを作るときと同じで,大まかな構成と枚数の割り当てを考えて,あとは個別に作るようにした。ペンで書くので修正はできないのだけど,慣れないパソコンで作るよりもはるかに効率的だったと思う。それでもだいたい1時間ぐらいかかった。
練習と本番
作ったら発表練習をして,最後の修正をした後,本番にした。小さいことだけど,発表練習をあえて入れるのは大切だと思う。
発表時間は各グループ5分を目安にしたけど,特に打ち切ることはしなかった。やってみるとむしろ5分は長い感じがあったみたいだ。ちなみに本番の写真をほとんど撮らなかった(忘れてた)。
受講生たちの資料を見たとき,改善点はいろいろあった。ここでは2つあげておく。まず音声の聞き取りが違うところがいくつかあった。これは第2回の基礎単語の聞き取りで動画,具体的には話者の顔を映したものを使ったほうがよかった。受講生の聞き取りでは/u/,/ə/,子音末の違いにけっこう苦戦していたのだが,これらは口の動きを見るようにすればかなり分かるように思うし,やはり調査のときに話者の顔をまったく見ないで書き取るというのはちょっと想像しづらい。
次に,「文法のルール」という側面がやや欠けてしまっていた。例えば疑問文を作るとき,対応する平叙文を元にして作るというのは半ば前提にしていたのだけど,受講生にとってはそうでもなかったため対応する平叙文が調べられてなかったりした。これは「ルールを調べよう」ということを言うのもあるけど,そういう強調のしかたでなくても,例えば「質問と答えのペアを作ろう」とするだけでもだいぶ違ったので,そういう視点での目標設定があってもよかっただろう。
このように専門的な視点に立つと当然ながら未熟なところは色々とあるのだけど,それでも未経験の状態からここまで辿り着くことができた受講生たちは正直すごいと思う。僕自身,母語話者を連れて行くような取り組みは初めてで,こちらもどこまでやっていいのか手探りだったため,けっこう難しいことを要求したように思ったけど,柔軟に対応できていてそこに助けられたところが大きい。また次の機会があるのかは分からないのだけど,そのときにはぜひ動画を使った聞き取りや,「ルールを考える」という側面にもチャレンジしてみたい。



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