現役世代が必死に働いて納めた税金と社会保険料が、過剰な診療を介して医療機関へと流れ、最終的には医師を富ませる—この構図は実際のデータでも確認できるという。東京新聞編集委員で、医療行政を長年取材してきた杉谷剛氏が解説する。
「2023年に財務省が約1万8000ヵ所の無床診療所(入院設備がない小さなクリニック)を調べたところ、2022年度の平均収益は2年前から2000万円アップした1億8800万円で、経常利益率は中小企業の2倍を超える8.8%、内部留保に至っては平均で1億2400万円もありました。
また勤めている医師の平均年収は1106万円で、病院長だと2540万円になる。明らかに儲けすぎだと言えるでしょう」
国民負担率が50%に近い現状を踏まえるならば、儲けすぎている医師への診療報酬をカットして、社会保険料を下げるのが道理だろう。しかし思い切った改革を断行しようにも、高い壁が立ちはだかる。「日本最強の圧力団体」と言われる日本医師会(日医)だ。
約18万人の医師によって構成される日医は、傘下の政治団体・日本医師連盟(日医連)を通じて活発に政治活動を行っている。強大な政治力と資金力を活かして、自らの利益となる政策を推進したり、不都合な制度改正を潰したりしているのだ。
(文中一部敬称略)
「週刊現代」2025年1月25日号より
自民党議員に1000万円単位で献金をバラまき、政治家や官僚に意向を呑ませる――後編記事『1000万円単位で献金をバラまく…日本医師会と大物政治家の「蜜月ぶり」を明かそう』では、日医連がいかに政治と密接に結びついているか明かしていこう。