1000万円単位で献金をバラまく…日本医師会と大物政治家の「蜜月ぶり」を明かそう
厚労省局長が日医会館へ「挨拶」
政治家との蜜月を背景にした日医の「暴走」は、たとえ監督官庁の厚労省であっても止めることはできない。 「かつては族議員、今は官邸の内閣人事局が官僚人事を牛耳っています。そのため厚労省の役人としては、政治家と通じている日医に逆らって人事で報復されるのが怖いのでしょう。その証拠に省内で異動があると、局長クラスは文京区本駒込にある日医会館まで挨拶に行くのが慣習になっています」(杉谷氏) 政・官との密接な関係を盾にして、これまで日医は診療報酬の改定だけでなくさまざまな医療改革を潰してきた。その一例が、コロナ禍でも話題になった「かかりつけ医制度」だ。 「厚労省は2080年代から欧米を参考に家庭医制度の導入を目指してきましたが、日医が『医療へのフリーアクセスが損なわれる』と反対し、長らく実現しませんでした。そのためコロナ禍では、診療所を閉めた開業医が多かったせいで地域医療が機能せず、総合病院に負担が集中したと言われています。 2023年にようやくかかりつけ医の役割が法制化されたものの、日医の反対で患者の登録制や医師の認定制の導入が見送られ、骨抜きになってしまいました」(杉谷氏)
医師栄えて国滅ぶ
この議論に対して参院で反対の論陣を張った自見は、2023年2月に発行された日医連の機関紙でこう述べている。 〈都道府県医師連盟の先生方が、地元選出の国会議員の先生方に働きかけてくださいましたことが、今回の動きにつながっております〉 強大な資金力を背景に、政治家に働きかける姿勢を隠そうともしない日医。正当な手続きを踏み会員の利益を代弁することに法的な問題はないが、その姿勢が国民全体の利益につながっているとは到底思えない。 「高齢者の増加は2040年ごろまでにピークを迎えるため、そこから先は医療へのニーズが減り、医師も余ると予想されます。しかし、このまま日医の力が強く改革が進まなければ、そのころになっても医療費が思うように下がらず、国民は今以上の負担に苦しむシナリオも考えられるでしょう」(慶應義塾大学名誉教授の印南一路氏) 医療界の利益ばかりが優先された結果、多くの国民が過剰な負担にあえいでいる。その先に待ち受けているのは、日本そのものの崩壊かもしれない。 (文中一部敬称略) 「週刊現代」2025年1月25日号より
大物議員が医歯薬業界から受け取った献金額一覧
※総務省と各都道府県の選挙管理委員会に提出された令和5年度の政治資金収支報告書を基に、医歯薬業界関係者から資金管理団体・政党支部への献金を合算した金額
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