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　36人が死亡した京都アニメーション放火殺人事件で死刑判決を受けた青葉真司死刑囚（46）の控訴取り下げについて、弁護人が大阪高裁に無効とするよう申し立てた。高裁が31日、明らかにした。申し立ての受理は30日。

　青葉死刑囚は27日に自ら控訴を取り下げた。弁護人は大阪拘置所で面会を重ね、取り下げは真意ではなかったと判断し、無効の申し立てを決めたとみられる。

　本人が控訴を取り下げると判決が確定するが、とりわけ慎重さが求められる死刑を巡っては、これまでも弁護人が無効と主張する例があり、裁判所が認めて公判を再開させたケースもある。

　ただ法律に具体的な手続き規定があるわけではなく、今後、どのように審理が進むかは高裁の裁量に委ねられる。2015年に大阪府寝屋川市の中学1年の男女2人が殺害された事件では、弁護人が取り下げの無効を申し立てた7カ月後に高裁が判断を示し、最終的に最高裁で決着した。

　一審・京都地裁の裁判員裁判は昨年1月、青葉死刑囚に完全責任能力があったと認め、求刑通り死刑の判決を言い渡した。青葉死刑囚は控訴し、弁護人が改めて責任能力を否定して死刑制度の違憲性を訴える控訴趣意書を高裁に出していた。

　地裁判決によると、青葉死刑囚は19年7月、京アニ第1スタジオに侵入して放火し、社員ら36人を殺害したほか、34人を殺害しようとした。

　控訴取り下げを受け、朝日新聞記者は青葉死刑囚に面会を申し入れたが、拘置所職員を通じて「辞退する」と告げられた。