「修正能力が1の誤り訂正符号」のしくみ
ここで、修正能力が1の誤り訂正符号を紹介しよう。
いま、0または1から成る7文字を並べた
(1,0,0,1,1,1,0 ),( 0,0,1,1,1,0,1 )
のようなもの全体から成る集合Wを考えよう。まず、
Wの元(メンバー)の個数(Wを構成する要素の個数)
=2×2×2×2×2×2×2=2の7乗=128(個)
が成り立つ。とくに、Wに含まれる以下の16個からなる集合を、符号全体としてCで表すことにする。
a=(0,0,0,0,0,0,0)
b=(1,1,1,1,1,1,1)
c=(1,1,1,0,0,0,0)
d=(0,0,0,1,1,1,1)
e=(1,0,0,0,0,1,1)
f=(0,1,1,1,1,0,0)
g=(1,0,0,1,1,0,0)
h=(0,1,1,0,0,1,1)
i=(0,1,0,0,1,0,1)
j=(1,0,1,1,0,1,0)
k=(0,0,1,0,1,1,0)
l=(1,1,0,1,0,0,1)
m=(0,0,1,1,0,0,1)
n=(1,1,0,0,1,1,0)
o=(0,1,0,1,0,1,0)
p=(1,0,1,0,1,0,1)
このCが、修正能力が1の誤り訂正符号なのである。Cに属するどの符号を発信したとしても、それを受信側が1文字以内の誤りで受信したならば、正しく発信した符号に復号することができる。
その訳は、Cに属する相異なる任意の符号uとvは、必ず3文字以上違っているので、Cに属する符号と1文字違うWの元は、Cに属するただ1つの符号以外の符号とは、2文字(2箇所)以上違っているからである。
さらにCに関しては、Wに属するどんな元(メンバー)に対しても、それと1文字以内の違いしかないCに属する符号が存在する、という特殊な性質(完全符号)をもっている。本稿で紹介したように、「一意性」という視点を意識して数学を学ぶと面白いかもしれない。