無罪判決を受けてのご報告

この度は、多くの皆様に多大なご心配をおかけして申し訳ありませんでした。
今日まで温かい言葉とご支援をくださった方々、本当にありがとうございます。

僕は2024年3月14日強制わいせつ罪で青森県警に逮捕されました。このことは広く報道されたので、ご存知の方も多いと思います。
その後、4月4日に暴行罪(罪名変更)で起訴されました。

今年1月16日第一審判決で無罪が言い渡され、30日までに検察が控訴をしなかったため無罪が確定しました。
起訴されれば有罪率99.8%である日本でこのような判決は異例です。

この裁判では多くの証拠が提出されました。裁判官が証拠をひとつひとつ丁寧に確認し、性暴力も暴行もなかったことが証明されました。
 
判決内容の詳細については改めて説明をいたします。

「性暴力加害者」という汚名の返上に辿り着くまで、本当に長い道のりでした。

逮捕後すぐに東京から青森に駆けつけ、ともに闘ってくれた西脇亨輔弁護士は心強かったです。心が折れても諦めずに闘ってこれたのは、僕を信じ支えてくれた家族・友人たち・職場の社長がいたからです。
おでん(相棒のフェレット)も、逮捕から4日後に友人が僕の自宅から救出してくれたので、生き延びることができました。

勾留期間約4ヶ月。
社会と断絶された期間約11ヶ月。

取り調べでは刑事から威圧的な態度をとられ、自白の強要、SOGIハラスメント、人格否定
にあたる言動がありました。
取調室(警察署内)にカメラはなく、メモをすることさえ禁止されたため、僕は耐え続けるしかありませんでした。
一貫して否認をしていたので、起訴後も保釈の許可が中々おりず、“証拠隠蔽の可能性”と“逃亡のリスク”を理由に保釈申請が却下され続けました。

薄暗く狭い独房で過ごす1日はとても長く感じました。入浴やトイレなど含めて全ての行為を看守に監視されるため、プライバシーはありませんでした。
勾留中、僕が死ねばこれ以上もう誰も傷つかずに終結するのではないか・この地獄のような日々から逃れたいと何度も考えたし、実行もしました。

手紙や本・衣服などの差し入れや土日祝日以外のほぼ毎日友人・家族・職場の社長が交代で面会に来てくれました。面会はアクリル板越しで15分間しかありませんが、その時間僕は生きている心地がしました。

第1回公判後の7月1日、ようやく携帯電話所持禁止などの厳しい条件で保釈されました。保釈後、勾留中に父がステージ4の癌で入院していることを母から告げられ頭が真っ白になりました。

2023年秋以降、「性暴力加害者」の汚名を繰り返し着せられ続けたため、人の視線が怖かったり、突然過呼吸になったり、インターホンが鳴ると逮捕時のことがフラッシュバックして震えが止まらなくなったり、先の見えない不安や恐怖で心身ともに憔悴しきった日々が続いていました。

本当に、言葉では上手く表せないほど辛いことばかりでした。

繰り返しになりますが、ずっと支援をしてくれた方々がいたからこそ今の僕がいます。
温かい言葉やご支援を本当にありがとうございました。

最後に、僕は性暴力被害の経験者であり、サバイバーです。だからこそ、性暴力被害者が声をあげることは勇気や覚悟がいることをよくわかってます。

そしてだからこそ、僕が体験した次のような状況は、本当に声をあげる人の、その訴える声の信頼を揺るがし、性暴力被害の解決の妨げになると考えています。

声を上げた人に対し、事実確認もせずに否定や批判をするようなことがあってはならないのは当然です。しかし、「性暴力被害を受けた」と声をあげた人がいた時に、
事実確認もせずに「性加害があった」と断定する人が多いことに強く違和感を覚えます。今回、“加害者”とレッテルを貼られた時点で僕には弁明する機会さえほぼ与えられず、弁明をすれば“言い訳”“虚偽”“二次加害”と罵られました。さらに、僕を少しでも擁護する人に対しては“二次加害者”というレッテルがはられ、強い言葉で攻撃がありました。

「被害者の話は全て真実で疑ってはならない」
「加害者と名指しされた人物の人権や人生は奪いとってもいい」
「司法は頼りないから、SNS上でのネットリンチや私刑をしてもいい」

僕に誹謗中傷をしてきた人の多くがこのような考え方を持っていたように思います。

人権をまもるための社会運動をしている人たちの一部は、断片的な話や「性暴力」というキーワードのみで僕を批難し、漠然とした“不安”を理由に僕をコミュニティから排除したことには残念で仕方がありません。
”不安”を理由とする排除こそ、僕たちLGBTQ+が受けてきた差別の最たるものではないのでしょうか。

今回、親しい間柄だったにもかかわらず、一切僕には話を聞かずに批難をしている人もいました。
また、普段「アウティングをしてはいけない」と発言している人たちの中には、“被害者”の一方的な話のみを根拠に僕を加害者と断定し、僕の名前やプライバシーに関する情報をアウティングしていたことには驚きを隠せません。

言葉が時に凶器となることや自らが発した言葉には責任が伴うことを表立って活動や発言をしている人たちは特によく分かっているはずですが、無罪判決の報道が出た途端に、僕や僕の周辺の人たちを誹謗中傷していた投稿を削除あるいは修正している人もいました。そうやって静観を決め込み“言葉に対する責任の放棄”や“何もなかったかのように逃げること”でやり過ごそうとしている態度は卑怯だと思っています。

SNSなどでの発信だけでなく、コミュニティ内で僕に関するネガティブなデマを流していた人も同じです。

LGBTQ+関連の活動をしている人の中には、今回の話とは全く関係のない話を流布し「浅沼は酷い奴だから事件を起こして当然だ」と多くの人に印象づけた人もいました。

今回のことを機会に、あの時に自分がした判断や言動は
”本当に正しかったことなのか”
“仕方なかったことなのか”
人権を大切にして、社会運動やマイノリティ支援をしている人たちには今一度考えてほしいです。

人権を大切にする人が
“自分には関係ない”
で終わらせることはないだろうと期待をしています。

今回、散々叩かれ何度も社会的制裁を下され、心身ともにボロボロになったからこそ学ぶことも多かったです。

“性暴力加担者”としてレッテルを貼られ、叩かれながらも耐え続けた「TransgenderJapan」
事実関係がはっきりするまで見守ってくれた「ももにじ岡山」
憶測などで批難せずに問題が終結するまで静観をしてくれた人たちには本当に感謝致します。

僕は人生のうち約1年3ヶ月の貴重な時間を失いました。
大学院に合格し、2024年4月から社会人院生になるはずでしたが、それも叶いませんでした。失った名誉を回復することは大変ですが、ゼロからのスタートで頑張っていきます。

幸い、天職だと思っている看護師の仕事も免許を剥奪されずに復帰することができます。
止まっていた時間がようやく動き始め、前に進めます。

これからも浅沼智也をどうか温かく見守って頂けますと嬉しいです。


※本記事を無断で転載、引用等の二次利用を固く禁じます。

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無罪判決を受けてのご報告|浅沼智也
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