「カネミ倉庫に頼るしか…」終わりの見えない苦しみ 次世代救済へ示された‟小さな一歩”と補償の限界【カネミ油症】
長崎放送
「カネミ油症」被害者の子や孫の健康調査を進めている研究班が、患者の診断基準見直しの可能性について検討する「再評価委員会」の設置について、今後議論していく考えを示しました。 【画像】1968年2月に出荷された「カネミライスオイル」にPCBが混入したとされているが、それ以前の被害を訴えている人もいる。健康にいいとのふれこみで店に並んでいた 24日福岡市で開かれた油症対策委員会。医師らで作る「全国油症治療研究班」が、半年に1度研究成果について認定患者に説明する場です。 研究班は2021年に始まった次世代調査について、これまで集まった知見をもとに救済につながるような「診断基準」の見直しができるかを検討する「再評価委員会」設置の可能性について、発生学などの専門家らを含め議論していく考えを示しました。 全国油症治療研究班・中原剛士班長: 「議論の深め方も正直頭を悩ませている所ではあるんですよね。あくまでベースは科学的な見地にもとづいて行う」 調査開始から4年、救済につながるか分からない‟小さな一歩”に、被害者からは焦りと落胆の声が聞かれました。 カネミ油症認定患者 下田順子さん: 「…もうちょっと進むかと思いましたけどね。(救済に向けて)確実に進んでいるのか疑問」 ■被害は世代を超えている…親たちの苦悩 1968年に発覚した「カネミ油症」は、市販の油に化学物質・PCBが混入して起きた食中毒です。PCBやPCBが熱変性したダイオキシン類を体から完全に排出する方法は見つかっておらず、胎盤や母乳を通して子どもに移行したケースも確認されています。 認定患者の子どもと孫を対象にした次世代調査では、これまで先天的な口唇・口蓋裂の発生率が高く、歯の異常を訴える人が多いことが示されてきました。しかし研究班は24日、「現時点で油症との因果関係に言及することは難しい」との考えを示しました。 今後の議論で、救済の根拠となる新たな解釈が示されるかが注目されます。 ■医療費「約束できない」 翌日には同じ福岡市で、被害者、国、原因企業のカネミ倉庫による三者協議が開かれました。 認定患者の医療費を負担しているカネミ倉庫は、昨年度患者983人に対し9千700万円あまりを支払ったと報告しました。