大河ドラマ「光る君へ」

躍動せよ!平安の女たち男たち! 創造と想像の翼をはためかせた女性 紫式部

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をしへて! 佐多芳彦さん ~盗賊の捕縛へ向かう平為賢と双寿丸の衣装

一団を率いて盗賊の捕縛へ向かう平為賢(神尾佑)。そして為賢に従い、同行する双寿丸(伊藤健太郎)。大河ドラマ「光る君へ」で風俗考証を担当する佐多芳彦さんに、平為賢の一団と双寿丸の衣装などについて伺いました。

――平為賢の一団の格好について教えてください。

都を荒らす盗賊を捕らえに向かう彼らは、京都の治安を守る検非違使(けびいし)の集団であるということで、平安時代末期の絵巻物『伴大納言絵巻(ばんだいなごんえまき)』や『清獬眼抄(せいかいがんしょう)』という文献資料などから、それぞれの立場に応じた格好を再現しています。先頭を歩いている放免(ほうめん)が、柄の部分が蔓(つる)のような形状の矛(ほこ)を持っていますが、このような矛が『伴大納言絵巻』に描かれています。放免というのは、検非違使の下で働く元罪人ですね。

をしへて! 佐多芳彦さん ~『伴大納言絵巻』を再現!検非違使たちの衣装

 

――平為賢は、大鎧(おおよろい)を付けていて格好いいですね。

平為賢が身に着けているのは、なかなか良いクラシックな大鎧です。為賢の格好でぜひ注目していただきたいのは、着ている衣服と、携帯している武器です。
2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」において平安時代末期から鎌倉時代初期の武士の姿が描かれましたが、北条義時をはじめとする坂東武者たちが着ていたのは直垂(ひたたれ)で、武器は太刀を佩(は)き、腰刀を差していました。

一方、為賢が大鎧の下に着ているのは水干(すいかん)です。丸い襟は上級貴族の正装である束帯(そくたい)にも見られる朝廷の制服の特徴の一つであり、これは、この当時の武官たちの標準的なスタイルになります。また平安時代中期において、最も恐れられていた武器は弓矢であり、朝廷において武装を整える=弓を手に取ることを意味していました。このため、為賢は太刀や腰刀を携帯していないんです。大鎧に目が行ってしまうかもしれませんが、細かい部分にも注目していただけると、時代の違いを明確に感じていただくことができます。

――兜(かぶと)は、放免とともに先頭を歩く部下に持たせるのですね。

移動している最中に兜を落として傷が付きでもしたら大変ですので、本来であれば、この従者が為賢の兜をかぶって移動したと思います。けれども、この従者が兜をかぶるとその後ろの人たちが見えづらくなるため、この場では演出上、兜は手に持って歩いてもらっています。

――為賢が乗っている馬の馬具の特徴を教えてください。

朝廷が管理している馬と、個人が所持している馬とで、実は鞍(くら)などが異なるのですが、このシーンでは為賢が管理している馬で、為賢が調達した鞍を乗せているという想定で、伝統的な大和鞍を乗せています。朝廷の馬は官給品になるので、年季の入ったものが使われていたりするんですね。盗賊の捕縛は、為賢にとっては見せ場ということで、手入れをされた平均的な飾りの大和鞍を採用しました。

――為賢に従う双寿丸の格好について教えてください。

双寿丸は、ごくごく平均的な水干姿です。ただし、荒事になっても烏帽子(えぼし)が落ちることがないように髻(もとどり)のところで烏帽子を紐(ひも)で結び、補強しています。また、水干の袖(そで)の紐は、手首あたりで縛(しば)って袖が作業の邪魔にならないようにするのが一般的ですが、双寿丸の場合は、袖をグッと捲(まく)り上げて左右の袖の紐を首の後ろで強引に結び、より腕を自由に動かせるような着方をしています。正規の検非違使であれば朝廷のドレスコードに抵触するとは思いますが、双寿丸は下っ端なので、そのような縛りはないということだと思います。

 

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