藤壺(ふじつぼ)にて中宮彰子(見上愛)に仕える女房たちの座談会をお届け! “物語を書く女房”として出仕したまひろ(吉高由里子)の印象や、どのような思いで彰子に仕えているのか、そして、「光る君へ」の中で気になる登場人物についてなどを語り合っていただきました。
【藤壺女房ズ】
小林:小林きな子さん (宮の宣旨 役)
菅野:菅野莉央さん (左衛門の内侍 役)
瀬戸:瀬戸さおりさん (宰相の君 役)
真下:真下玲奈さん (大納言の君 役)
福井:福井夏さん (小少将の君 役)
羽惟:羽惟さん (馬中将の君 役)
――“物語を書く女房”として藤壺に上がってきたまひろのことを、みなさんはそれぞれ、どのように思っているのでしょうか。
小林:
宮の宣旨としてはどの女房さんに対しても厳しくいたいと思っているんですけれど、“物語を書く女房”なんて特殊ですし、しかも道長から直々(じきじき)に頼まれていることも知っているので、身構えているところはあります。でも、彼女が自分の力を全力で発揮できるようにはしてあげたいので、藤壺での生活のしきたりをしっかり指導しつつ、見守りたいなという気持ちです。
菅野:
私はやはり、自分のこれまでのお仕事の役割やポジションを脅かされる存在だとは感じるので、そこに対してちょっと焦りを感じたり、嫌だなという思いがあります。
菅野:
第35回でまひろと道長が二人で会っているところを見てしまって、何か裏があるのではないかと思ったりとか、まひろが彰子様から特別待遇されていることをおもしろくないと思う気持ちは強いだろうなと思うんですよね。とはいえ、『源氏物語』は純粋に楽しんで読んでいるし、彼女の才能は素直に認めているのではないかと思います。
――まひろに対して少し強く当たることがあるのは、「いじわるをしてやろう」ということではないのですね。
菅野:
そう…ですね。
女房たち(菅野以外):
ん~?
菅野:
いじわるではないけれど、ひとこと言ってやりたい(笑)。でも、いじめようとしているような言い方ではないのかなと思います。
――なるほど。そのほか、みなさんいかがでしょう。
瀬戸:
私は文学が好きなので、好意的です。『源氏物語』を読むたびにまひろの才のすごさを感じるし、あんなに緻密に人間の心を描けることに感動するんですよね。人柄もそうですけど、彼女の才能に惹(ひ)かれています。
真下:
私は、最初は怖かったです。でも、興福寺の僧が大内裏(だいだいり)へ押し入ってきたときに、斉信から「中宮様をお隠しせよ」と言われても私たちはお姫様気質なので何をどうしたらいいのかわからず、ただただ戸惑っていたところ、まひろは的確に「こうしたらいい」とアドバイスをしてくれたんですよね。接するうちにそういう一面を見たりとか、あとは部屋が隣なので、遅くまで物語を書いているのを見たりすると、「応援したいな。やっぱりすごいな」と思って尊敬している部分はあります。
福井:
私は最初から興味津々なほうで、「仲良くなりたいな」と思っていました。『源氏物語』を読んでいるシーンも結構出てくるんですけれど、小少将は物語が大好きだから、まひろさんのことも大好きだし、すごく好意的に思っていると思います。
羽惟:
私の場合は少し捉え方が違って、基本的には「後から入ってきたくせに。身分も下なのに、私より部屋が大きいのね」とか、ちょっとしたことで嫉妬していますね。それは左衛門さんと一緒で「いじめてやろう」とかではなくて、馬中将の君は、思ったことがすぐに口に出てしまう幼さのあるキャラクターなのかなと。セリフの節々にもチクッと刺すようなセリフがあったりするので、いじわるで冷たいというよりは、「そう思ったから素直に言ってしまったのね」と軽く受け止めていただけるとありがたいです(笑)。
――お仕えする中宮彰子のことはどのように思っていますか。
福井:
まひろさんが来るまでは思いを隠しがちというか、どういう方なのかよくわからないままお世話しているような感じだったんですけれど、まひろさんが来てからいろいろな表情を見られるようになって、自分の仕事も楽しくなっていったという感覚です。だんだん彰子様に対する情もわいてきましたし、とにかく彰子様が幸せでいられるようにと思って働いています。
真下:
すばらしい。(羽惟に)小少将の爪のあか、煎じて飲まないと。
羽惟:
そうですね…(苦笑)。馬中(うまちゅう)は、彰子様の御為に働こうという気持ちが薄い女房の筆頭だと思います。基本的には左衛門の内侍さんのことが好きなので、「左衛門さんが彰子様のために働くなら私もそれにならおう」と思っているのではないかと。でも、物語が進んでいく中で彰子様はお母さんになって心身共にお強くなられていくので、その様子を見ながら馬中も彰子様に仕えられているありがたみを徐々に感じるようになって、すばらしい立場にいるのだという自覚を持っていくのかなと思います。
真下:
なるほど。では、そんな左衛門ねえさん。
菅野:
(笑)。左衛門の内侍は彰子様のことがとても好きで、だから、最初のほうは彰子様に合わせて薄紅色の唐衣(からぎぬ)を着ていたという隠れ設定があったんです。結局は青がお好きだったんですけど(笑)、それくらい「気に入られたい」という一心で接しているのかなと。今は以前よりも自己主張してくださるようにはなりましたけれど、それでもやはり、まひろ以外の人にはあまり見せてくれないので、仕える身としてはまだちょっと「読めないな」と感じてしまうかなと思いますね。
小林:
本当にみなさんがおっしゃるように最初は何を考えているのかわからなかったし、まったく心を開いてもらえない状態で働いていたけれど、まひろが来たことで少しずつ変わっていって、新しい一面が見えてきたと感じています。
小林:
特に、定子様のお子様である敦康親王を自分のお子のようにかわいがる愛情の深さはとてもステキだなと。母として女性として強くなり続けているのを感じるので、守ってあげたいと言ったらおこがましいですけれど、何かあったら助けてあげたいという気持ちですね。
真下:
私も宣旨さんと同じような思いで、彰子様は心の中にいろいろな感情を詰めているけれども言葉にされないからどう接したらいいのか迷っていたところに、まひろが来て、女性としてすごくステキになられていくなぁと感じています。明るくなっていく彰子様を見ていると、「仕えていて良かったな」と思いますね。彰子様が勇気を持って一条天皇に思いを告げて、一条天皇のお渡りがあると知ったシーン(第35回)は、特にテンションが上がりました。
小林:
盛り上がったね~。「お渡りがあるぞ!」って。
瀬戸:
本当にうれしかったよね。
真下:
キレイになった彰子様と一条天皇のシーンはモニターで見ていたんですけれども、かなりうれしかった。
瀬戸:
そういう視点だと私は彰子様のいとこでもあるので、信頼関係が出来上がっているものだと思っていたら、どうやらまひろにだけ話していることがあると悟って、嫉妬ではないですけど、さみしさみたいなものを感じることはありますね。でも敦成親王が生まれたときには乳母(めのと)に選んでいただけたので、やはり誰よりも信頼されているという絶対的な自信は持ってお仕えしているのかなと思います。
――最後に、「光る君へ」には個性豊かな登場人物が多く登場しますが、みなさんの“推し”を教えてください。
菅野:
私は、(赤染)衛門様が好きです。長い間いろいろなことに揉(も)まれて、たくさんのことを見聞きしているはずなのに常にクールに立ち回る姿がカッコいい! 賢さと強さみたいなものを感じる、推しキャラクターです。
瀬戸:
私は古株枠ということでいうと、宣旨さんですね。
小林:
お!!
瀬戸:
それこそ一条天皇のお渡りがあるというときに、棒だけ持って指示しているというのがおもしろくて(笑)。私たちはすごく重い枕や屏風(びょうぶ)を運んでいるのに、宣旨さんは棒のみ。
小林:
ちょっと語弊がある! 棒で指示を出していたわけではなくて、寝床のカーテンを直しつつ、「それはあっちね~」って(笑)。
瀬戸:
私も早くその域に行きたいです(笑)。
小林:
まさか推されていたとは。
真下:
私は、ききょうさんが推しです。私たちのいるところにいつも嵐のように来て、去っていく感じが。彰子サロンの女房としてはあまり応援すべきではないのかもしれないですけれど、私はききょうさんの一生懸命さが好きで、「頑張れ!」と応援したくなります。
小林:
あの人、定子様への愛をすべて持って藤壺に来るよね(笑)。まひろと同じように文章を書く女房ではあるけれども、まったく違っておもしろいなと思う。
羽惟:
私はあかねさんが気になります。貝合せを藤壺の庭でするシーン(第38回)があったんですけど、ふいに殿方に何かささやいていたりとか、今までに出てきた女房たちとはまた違うクセの強さがステキだなと。恋に生きる女性という感じですよね。演じる泉里香さんにもぴったりで推しキャラです。
瀬戸:
圧倒されちゃうよね。あの人には勝てそうにない。
小林:
あれ、(左衛門の内侍は)何か言っていませんでした?
菅野:
「才があることをひけらかしに来た」みたいなことを(苦笑)。でも左衛門としても、あまりにキャラクターが強すぎて、「関わらないほうが吉」だとは感じていますし、むしろだんだんおもしろくなってきてしまっているところはあるかなと思います。
真下:
かなわないよね~。だって登場(第30回)のときの衣装、史実だとほぼ裸のような状態だったんでしょう?
小林:
すごい…! 髪も片方だけ短かったり、前衛的なおしゃれでおもしろいよね。
――小林さん、福井さんの“推し”はいかがですか。
福井:
推し…。あ! 私は、百舌彦さん!
瀬戸:
わかる、わかる。すごい気になるよね(笑)。
福井:
癒やし枠で(笑)。スタッフさんが「このあたりでそろそろ百舌彦が欲しくなってくるころだよね」と言いながら、百舌彦が走るシーンを撮影していたりとかして、「わかる!」と思いながら聞いていました(笑)。セリフがなくても、そこにいるだけでおもしろい。表情で「今、こういうことを思っているのかな」とか想像するのが楽しいです。
小林:
そうしたら私は、「この人が推し!」というのとはちょっと違うけれども、ピンポイントで、【道長がまひろに対して見せる子どもっぽい顔】が好き! まひろが「藤壺では集中して物語を書けないから実家に帰りたい」と言ったら駄々(だだ)をこねたじゃないですか(第33回)。ああいう顔はたぶんまひろにしか見せないと思うので、グッときますね。
小林:
ご褒美に渡した扇子も自分で用意しているわけでしょ? 発注している道長を想像したら、超かわいいよね。
真下:
「ここ違う!」とか言って何回か直させているんだよ、きっと。
瀬戸:
かわいい(笑)。
真下:
渡すときも「ん」ってそっけなく。マンガみたいに(笑)。
小林:
ほかの人にはクールに接するのに、まひろにはワガママを言う道長、かわいいです。