まひろ(吉高由里子)の娘として生まれ、物事をフラットな目で見る利発な少女に育った賢子。内裏(だいり)で勤める母のことを現状ではどのように思っているのか、盗賊から守ってくれたことをきっかけに出会った双寿丸(伊藤健太郎)はどのような存在だと感じているのかなどを、演じる南沙良さんに伺いました。
――「光る君へ」の出演が決まったときのお気持ちをお聞かせください。
また大河ドラマに呼んでいただけて、とてもうれしいです。以前(2022年)「鎌倉殿の13人」に出演したときはずっと夢見心地な状態でお芝居をしていた印象があるので、今回は少し大人になった部分を見ていただけたらいいなと思っています。そして、「鎌倉殿の13人」で演じた大姫は『源氏物語』を愛読書としていて、劇中で「紫式部を呼んで」と言っていたことから、SNSで「大姫が紫式部の娘になった!」というお声を見かけて、おもしろいなと思いました(笑)。大姫は悲しい結末を迎えてしまった子だったので、今回は楽しく幸せを感じながら過ごせればと思っています。
――藤原賢子はどのような人物だと思いますか。
明るくて利発で、すごく情熱的なものを自分の中に秘めている、天真爛漫(てんしんらんまん)な子なのかなと思います。あまり落ち込んだりもしないですし、自分の意見をしっかり持って相手と会話をしている印象がありますね。そんな賢子の中の情熱的な部分や、彼女のような考え方や生き方はステキだなと思うので、演じるのがとても楽しいです。
――これまでの脚本や放送をご覧になって、賢子の育った環境をどのように捉え、演じるうえで意識されていますか。
幼いころから母と過ごす時間が足りないというか、「放っておかれている」という自覚がすごくあったと思います。母は家に戻るたびにお土産をたくさん持ってきてくれたりはするけれども、賢子としては「かまってほしい」「私との時間をつくってほしい」という思いが強かったのだと思うんですよね。だけれどもそこでひねくれるのではなく、そのさみしさを強さに変えて育ったのは、賢子のまたステキなところだと思います。
――大人になるにつれて少しずつまひろとの関係が変化してきていると感じるのですが、そのきっかけとなる出来事は何だったと思いますか。
惟規さんが亡くなって泣いている母の姿を見たことは、衝撃的でしたね。今まで、「母の中で家族って、私って、どういう存在なんだろう」と思っていたんですけど、あの日初めて母の涙を見て、少し賢子の心が雪解けした感じがしました。以前は母が内裏の仕事に向き合っていると聞いて良い気はしていなかったけれども、あの出来事をきっかけに見え方が変わったといいますか、少しずつ尊敬する気持ちも出始めているのではないかと思います。
――幼いころから共に過ごす祖父・為時ら家族は、賢子にとってどのような存在なのでしょうか。
おじじ様やいとさん、乙丸さんなどは“甘えられる存在”かなと思います。やっぱり母と雪解けしたとは言っても、急に甘えるのは難しいですし、微妙な距離感は保ったままだと思うんですよ。
おじじ様たちは母がいない間も常に一緒にいてくれましたし、為時邸にはいつも本当にあたたかい空気が流れていて、私としてもとてもリラックスしてお芝居のできる環境だなと感じています。
――双寿丸との出会いは、どのような出来事だと感じていますか。
盗賊に果物を盗まれかけたときに戦おうとするのも賢子らしいというか、負けん気があって良かったですよね(笑)。
最初は双寿丸がどういう様子で出てくるのかわからなかったので想像するしかなかったのですが、実際にご一緒してみたら想像以上に自由でハツラツとした人物で、賢子が惹(ひ)かれる気持ちがよくわかるなぁと思います。盗賊から助けてくれた瞬間にひとめぼれだったのだろうと思いますね。帰りもすごくウキウキしていましたから(笑)。
――為時家にはいなかった新しいタイプの人ですよね。
そうですね。自分とまったく違う生き方をしている人に初めて出会ったので、すべてが新鮮に見えるのではないかと思います。だからこそ双寿丸を見ていると自然と口角が上がってしまうというか、笑うことが増えたような気がしています。双寿丸は賢子にとって、“光”のような存在なのかなと思います。