再び国司となった父・為時(岸谷五朗)を越後国府へ見送る道中で病に倒れた藤原惟規。
「光る君へ」における惟規の生き方をどのように感じたか、惟規としてこれからの物語に望むことなどを、演じた高杉真宙さんに伺いました。
――藤原惟規を演じきった、今のお気持ちをお聞かせください。
幸せでした。もう惟規として生きられないこと、撮影現場に来られないことは寂しいですけれど、約1年間、同じキャラクターを見つめ続けることができてすごく楽しかったです。「これからどうなるんだろう」と、視聴者のみなさんはもちろん、演じている僕自身も惟規の成長を見守るのが楽しみだったので、そういう意味でも幸せだったなと思います。
――出世し、内裏(だいり)で勤めるようになってから、出入りするセットや衣装の変化はどのように感じていましたか。
内裏のセットを見て、「僕の家(為時邸)って古かったんだなぁ」ってめっちゃ思いましたね(笑)。衣装に関しては、長い間ずっと変わらなかったのですけれど、途中から1日の撮影内で着替えることが多くなったり、衣装が重くなったりして、「偉い人って大変だな」と思いました。
あとこれは個人的に苦労したことなのですが、貴族の男性が腰のところに差している杓子(しゃくし)の扱い方が難しくて…。“おじゃる丸”が持っているものをイメージしていただければいいと思うのですが、あれをよく落としました(苦笑)。
――惟規は位が上がっても「嫌なことがあってもすぐに忘れる」という“自分らしさ”を忘れなかった人物だと感じるのですが、高杉さんとしては惟規の生き方をどのように感じましたか。
母上が亡くなったところから始まって、つらいこともいろいろと経験をしてきているだろうけれども、あれだけ明るく努められるのはステキなことですよね。たぶん、あれくらいの気持ちでいたほうが気は楽なんですよ。僕もわりと物事を重く捉えないタイプではあるので、近しいものは感じながら演じていました。僕は惟規みたいに、「寝過ごしたから仕事を休む」とかはしないですけれど(笑)。
――第35回で塀を越えて、恋人・斎院の中将に会いに行くシーンでは、惟規の情熱的な一面も見えました。
そうですね。僕としては、急に入ってきた斎院の中将とのラブストーリーはギャグだろうと思って現場へ行ったんですよ。まあ結果、ほぼギャグだったんですけれど(笑)、でも姉上との会話にもあったように、ある種の身分の差を超えるための希望となる出来事だったのだろうなとは思います。
それと、これまで「勉学の才能がない」と思われていた惟規ですけれど、とっさに詠んだ歌が評価されたところを見ると、やっぱりある程度はちゃんとできる子だったのだと思いました。家族に対しては大学でのことを聞かれても少しちゃかすというか、大きく感情を見せないところがあったけれども、実際のところは結構頑張って勉強していたのではないかと。そうじゃないと、さすがに左大臣様の後押しがあったとはいえ、内裏で勤め続けられないだろうと思うので。
――「光る君へ」における藤原惟規の最期をどのように思いましたか。
「最終回まであと少しなのに」と思いました…。しかも父上よりも先に亡くなってしまって、「子どもを看取る」というつらい思いをさせてしまったので、とても心残りではあります。でも最期までなるべく笑顔でいようとするのが惟規らしいなと思いましたし、やっぱり最後の最後まで思い出すのは家族のことばかりで、みんなのことを想(おも)って辞世の句を書いたので、あの句を読んだ姉上たちが笑ってくれていたらいいなと思います。
――辞世の句は高杉さんの直筆でしたね。
そうなんですよ。まさか最後の最後で歌を書くことになるとは思っていなくて、ビビりました(笑)。息も絶え絶えの中で書く字なので、ものすごく上手でなくていいとはいえ難しくて、姉上のすごさを改めて実感しましたね。
しかも吉高(由里子)さんって左利きじゃないですか。それであそこまでキレイな字を書けるようになっているのが、本当にすごいと思います。以前、姉上が書いているシーンを楽屋で見学していたんですけれど、先生の手元だと思って見ていて、途中で「姉上? これ本当に書いてるのかな?」と思って、わざわざ楽屋から出て確認しに行ってしまったくらいです(笑)。スタッフさんから吉高さんの直筆だと聞いて衝撃でした。
――これからの物語に望むことはありますか。
「頼む、ハッピーエンドであれ!」と強く望みます。もちろん史実はありますし、どうしても変えられない部分はあると思うのですが、姉上、父上、いと、乙丸、きぬ、福丸、賢子、なんなら道長さんも含めてみんなにとってのハッピーエンドが僕は見たいです。賢子の裳着(もぎ)の儀のときに姉上とも話しましたけれど、家族だからぶつかることもあるけれど、家族だからこそうまくいくこともたくさんあるんですよね。なので、うまく幸せに生きてほしいです。本当にバッドエンドだけは見たくない!