天皇の住まいであるとともに、政治の場でもあった内裏(だいり)・清涼殿(せいりょうでん)。日本的美しさが詰まった厳かな空間です。大河ドラマ「光る君へ」でスタジオ内に再現された「内裏・清涼殿」の美術についてご紹介します。
◆◆ デザインコンセプト ◆◆
天皇の住まいにふさわしく、ゆったりと広く高い整然とした空間。国風文化が反映された日本的美しさ。徹底的な考証とリサーチを重ねたうえでレイアウトやプロポーションをスタジオ用にリサイズした。白木の木目や質感、檜皮(ひわだ)屋根や高欄の美しいシルエット、御簾(みす)や畳の色味など平安らしさを追求し細部にまでこだわり抜いた美術渾身(こんしん)のセット。
――建物は美しいプロポーションのままスタジオ内
幕末に建て替えられた現存する京都御所にも足を運んで本物を取材するなど、考証とリサーチを重ねて造り上げた渾身のセットです。清涼殿については、遊びの要素は一切ありません。実寸大でそのままスタジオ内に清涼殿を建てることは不可能であるため、部屋の数を省略したり、柱と柱の寸法を工夫するなどレイアウトを少し調整してはいますが、清涼殿の美しいプロポーションをそのまま保つように徹底的に考え抜いて、平安時代を再現しています。
――平安時代らしさが表れる「反り」を大事に
建築物の各所に見られる「反り」は平安時代らしさが表れる要素の一つであり、「光る君へ」でも大事にしています。寝殿造りの建物で見られる緩やかな勾配の檜皮屋根もその一つですが、美しい白木の丸柱だけではなく、この檜皮屋根も“エラストマー”という素材を使って制作。素材を見直すことでセットパーツの軽量化にも成功し、本物に近い緩やかな勾配と美しい「反り」の屋根を組み上げることができました。また手すりである高欄にもこだわり、絵巻物で描かれているような華奢(きゃしゃ)で上品な「反り」を付けて仕上げています。
――「年中行事御障子(ねんじゅうぎょうじのみしょうじ)」などの調度も再現
清涼殿の東廂(ひがしびさし)の南側には、「年中行事御障子」という衝立(ついたて)障子が置かれていました。これは宮中で行われる年中行事が片面に半年分ずつ書き記されていたものですが、「光る君へ」では題字・書道指導の根本知さんに書いていただき、再現しています。ほかにも石灰壇(いしばいのだん)をはじめ、漢竹(かわたけ)、呉竹(くれたけ)など、日本的美しさにあふれた天皇の住まいを丁寧に再現しています。
をしへて! 佐多芳彦さん ~天皇が住まう「内裏・清涼殿」建造物 編
をしへて! 佐多芳彦さん ~天皇が住まう「内裏・清涼殿」昼御座 編