大河ドラマ「光る君へ」

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【光る君へ絵巻】ドラマ美術の世界 ~まひろが参籠に訪れた近江国「石山寺」

まひろ(吉高由里子)がさわ(野村麻純)と共に参籠(さんろう)に訪れ、『蜻蛉(かげろう)日記』を書いた藤原寧子(財前直見)と出会った「石山寺」。大河ドラマ「光る君へ」で建てられた「石山寺の美術」についてご紹介します。

◆◆ デザインコンセプト ◆◆

まひろが参籠に訪れた、その名の通り石の山の上に立つ近江国の霊験(れいげん)あらたかな大本山。紫式部が石山寺参籠中に『源氏物語』を起筆したという伝説もあり、ここで過ごした時間が後の彼女に何らかのインスピレーションを与えたと考えられるゆかりの地。実際に現地を取材したり鎌倉期以降に描かれた『石山寺縁起絵巻』を参考に、朱塗りの本堂、宿坊、巨岩、月見亭、紅葉などのエッセンスを再構築し、凝縮して番組オリジナルの石山寺をスタジオに表現した。

――『石山寺縁起絵巻』に描かれた朱塗りの本堂

社寺建築でよく見られる鮮やかな朱色。建造物装飾のことばでは、この朱色の塗装のことを「丹(に)塗り」とも言います。中国風の建築様式で、建物を彩ることによって魔よけなどを表し、さらに塗装の原料の効果で虫害・腐食から建物自身を守っています。鎌倉期以降に描かれた『石山寺縁起絵巻』でも本堂などが丹塗りの建築物として描かれているので、スタジオセットもこの鮮やかな丹塗りの本堂として制作しました。本堂の内部は、参籠がしやすいように外陣(※注1)が板張りとなっており、訪れた人が思い思いに読経をしたり、お祈りしたりできる空間となっています。

【注1】外陣(げじん)… 寺社の内陣(※注2)の外側で、一般の人々が礼拝する場所。

【注2】内陣(ないじん)… 寺社で神体または本尊を安置してある神聖な場所。

――境内に突出する雄大な巨岩

大津・石山寺の境内には、至るところに壮大な硅灰石(けいかいせき)が突出しています。硅灰石とは、石灰岩が地中から突出した花崗岩(かこうがん)と接触し、その熱作用によって変質したもので、石山寺のように大きな硅灰石は非常に珍しく、国の天然記念物に指定されています。スタジオセットにおいても、巨岩を境内に配置し、自然が作り出した雄大な世界観を表現しています。

――まひろと藤原寧子との出会いの場

まひろが『蜻蛉日記』の作者でもある藤原寧子と語らい、物思いにふける境内の一画は、大津・石山寺にある月見亭からインスピレーションを広げて作り上げた、番組オリジナルの建物です。月見亭が建てられたのは、保元年間(1156~1159年)の後白河天皇の行幸に際してといわれていますが、月見亭のように石や月、紅葉などが一つに溶け込んだ風情豊かな空間をまひろと寧子との出会いの場にしたいと考え、デザインしました。実際の石山寺の境内はとても広く、本堂と月見亭とは離れた位置にありますが、「光る君へ」ではスタジオサイズに収まるようにギュッと凝縮し、番組オリジナルの石山寺として作り上げています。
   
   

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