大河ドラマ「光る君へ」

躍動せよ!平安の女たち男たち! 創造と想像の翼をはためかせた女性 紫式部

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まひろ役 吉高由里子さん ~『源氏物語』に導かれた第二の人生

藤式部という名を与えられ、藤壺で『源氏物語』の執筆を始めたまひろ。女房として仕える中宮彰子(見上愛)の印象や、改めて藤原道長(柄本佑)はどのような存在だと感じるかなどを、演じる吉高由里子さんに伺いました。

――いよいよ宮仕えが始まりましたが、藤壺(ふじつぼ)の雰囲気や、十二単(じゅうにひとえ)を着用した感想はいかがですか。

藤壺の雰囲気は、“すごく動きの遅い女子校”という感じです(笑)。キャッキャしているけれども、動きはゆっくりとしていて雅(みやび)、おもしろいです。ただやっぱり女房装束が、見た目は華やかなんですけど、着るとだいぶ地獄で(笑)。

為時邸にいたころは、身動きがとてもしやすくて、移動も自由にできていたんですけど。身体(からだ)の幅が大きくなるので、どこにいて何をしているかもすべて見えるし、とにかくプライベートがないなと感じます。初めての経験ばかりですね。

――前半では書や宋の言葉などいろいろな挑戦があったと思いますが、後半ではどのような挑戦があると感じていますか。

子どもとの向き合い方ですかね。まひろも父・為時との関係性が微妙だった時期がありましたけれど、それと同じことをしてしまっているなと感じます。難しいですね、母親という立場って…。自分のことだったら、何ができて何ができないというのは理解できるけれども、娘のこととなった瞬間になぜこんなにも不器用になってしまうのだろうかと。初めての感情との葛藤に頭を悩ませているところはあると思います。藤壺に出仕する日も、特に声を掛けることもなく屋敷を出てしまったので、先行きが心配です。

あとはやはり、物語が浮かぶときはスラスラと書けるけれど、まったく何も浮かばないときはとても苦しいという、作家としての悩みが後半は出てくるのではないかなと思っています。

――まひろとして文を書いていたときの字と、紫(藤)式部として『源氏物語』を執筆しているときの字に違いはあるのでしょうか。

まひろとして文を書いていたときは、基本的にはかな文字を使用していて、道長に対してたまに漢字を使っていたんですけれども、今はその集大成が始まっている感覚です。『源氏物語』には現代ではあまり使われていない変体仮名というものも出てくるのですが、撮影を重ねるうちに当時の文字をだんだん読めるようになっている自分が怖くもあり(笑)、ワクワクもしつつ、公開テストに向かうような気持ちで今もまだおびえながら臨んでいます。

書ってすごく孤独なんですよね。練習するときは基本的に一人ですし、練習時間は膨大なのに撮影するのは数分しかなかったりするので…。だからこそ書道指導の根本(知)先生の存在をとてもありがたく感じます。先生は私の字のクセなども理解したうえで、いろいろと試行錯誤してくれますし、練習時間の孤独さなども一番わかってくれるので、相棒感が強いといいますか、一緒に挑戦している感じが心強いなと思います。

――『源氏物語』の執筆を開始した今、改めて道長はどのような存在だと感じますか。

今まで“ソウルメイト”と「光る君へ」の中では言われていて、どういう存在なのかなと思ってきたんですけれども、まひろと道長はもう恋愛とかを超えて、“よりどころ”のような感じなのではないかと思います。光と影というか。まひろが影にいるときは道長が光っていて、まひろが光っているときは道長が影で支えてくれているような、そういう関係性なのかなと思うようになりました。これまで、心の距離としては近いけど、身分的にはとても遠いところにいるからこそ、想(おも)いが爆発しないように一生懸命自分たちで距離を取ろうとしていた部分があったと思うんですよね。

だけど今度は同じ空間で勤めるようになって、同じ方向を目指して戦う間柄になったので、今はとても心強い存在だと感じています。改めて道長とどのようになりたいとかではなく、道長の存在が自分の生きがいといいますか、「道長が生きている=自分がこの世にいる理由」なのかなと思っています。

――中宮彰子にはどのように接しようと努めているのだと思いますか。

たぶんまひろは彰子さんのように感情を表に出さない人と出会うのは初めてなので、どう触れていいのか探っている最中だと思います。でも少しずつ彰子さんのほうから興味を持ってくれるようになって、うれしいなと思いますし、なんとなく中宮定子さんにお仕えしていたときのききょうさんを思い出しますね。あの“激推し爆誕回(第15回)”を(笑)。

まひろの内に秘めた熱意もこれからどんどん湧き上がっていくのかなと思っています。

――今のまひろにとって書く原動力は何だと思いますか。

最初は道長にお願いされて「帝のために」書き始めたけれども、だんだんと「自分がおもしろいと思う物語を書きたい」と思うようになっている気がするんです。作家さんにとって、書きたいという気持ちはあっても、書きたいものが明確になるまでがすごく大変な道のりなのではないかと思うんですけど、「書きたい気持ち」と「書きたい物語」が自分の中でバチッとハマったのが『源氏物語』だったのではないかと。それに気がつけたことが大きいような気がしますね。

あとは、父上(為時)に「お前が女子(おなご)であってよかった」と言っていただけて、背中を押されて内裏(だいり)に上がったので、「ようやく居場所を見つけた。苦しいこともあったけれど、報われた」という思いも強いと思います。まひろにとっての人生の第二章が始まったという感覚です。

 

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