父・為時(岸谷五朗)が越前守に任官され、共に行くことを決めたまひろ。推挙したのが藤原道長(柄本佑)だと悟ってどのように感じているのかや、琵琶湖で行われたロケに参加した感想などについて、演じる吉高由里子さんに伺いました。
――「光る君へ」の放送をご覧になっていかがですか。
ふだんはあまり自分が座長だと意識はしていないのですが、オープニングの出演者紹介で自分の名前が最初にあがるのを見るとゾワゾワっとしますし、なんだか照れくさいなと思います。撮影中はもちろん全員が平安時代の格好をしていて、自分もその世界に浸っているのでなじんでいる気がするのですが、令和の時代に戻った状態でドラマを見たり、久々に撮影現場に行ったりすると、「うわ、本当に大河ドラマやってる!」と思いますね(笑)。あとは、政治面の話になると結構自分が出ていないシーンも多くて、もちろん脚本を読んではいますけれども、映像になることでいろいろな解釈ができるようになるのもとても新鮮だなと思っています。
――まひろの成長はどのように感じていますか。
とりあえず現状は、父上(為時)を許すことで自分のことも許すことができているので、家族としては前進した関係を築けているような気がします。お母さんがいないぶん、娘であり妻でもあるような役割を果たしながら、大人として成長しているのかなと。認めたくないけれども認めざるを得ない身分の差だったり、生まれた瞬間から決まっている運命も徐々に理解できるようになりましたし。それにしても行くところ行くところでいろいろなことが起こるなぁという感じではありますけど(笑)、心揺さぶられながら自分の行く末を考えたりしているところです。
――定子が出家してしまう場面を、ききょうと共に目撃したこともありましたね(第20、21回)。
そうですね。あれも衝撃的でした。私とききょうさんは葉っぱを持って庭に隠れていたので、ちょっとフザケているのかと思われる見た目だったかもしれませんが、自分が友だちだと思っているききょうさんが慕っている方が、目の前であのような選択をしてしまって、どう声をかけたらいいのか、パニックでしたね。
――傷ついたききょうに「中宮様のために何かを書いてみたら」と提案するのは、まひろらしい発想だと感じました。
「光る君へ」ならではのおもしろい展開になりましたよね。現代を生きる私たちは、それが結果的にすごい書物として残っていくことを知っていますから。二人には、今後も仲良しでいてほしいです。
まひろは以前第10回で言っていた、「生きてることは、哀(かな)しいことばかりよ」という思いはずっと抱えていて、それがいつか変化していくのではないかと個人的に楽しみにしているんです。最初にそういうことを言わせたということは、変わっていくまひろもいるのではないかと。いろいろな経験を経て、前向きな思いに変わる日がきたらうれしいです。
――第20回で為時が越前守に任官され、家族としては前向きな方向に動き始めたように感じますが、推挙してくれたのが道長だということをどのように思っていますか。
「今まで何してたの。全然仕事くれなかったじゃん」みたいな思いもあったかもしれないけれども、道長はちゃんと政治を動かす立ち位置になれているのだと、助けてくれたのだと、あのタイミングでわかる関係性はステキだなと思いました。「父上は優秀な人だから推挙してほしい」という思いを、まひろは為時の申文(もうしぶみ)として道長に書いていたわけですから、期待をしていたわけではなくても、どこかで待っていたところはあると思うんですよね。その思いがちゃんと届いて形になったこと、そしてある意味、政(まつりごと)に関わる初めての共同作業ができたような気がして、うれしかったのではないかなと思います。
――その道中は琵琶湖でのロケが実施されました。参加されていかがでしたか。
やっぱり外に出るのは気持ちがいいなと思いました。スタッフさんたちは本当に大変だったと思いますが、大規模でダイナミックな撮影に参加できたのは貴重な体験だったなと思います。当時を再現するために、舟もイチからつくったらしくてびっくりしました。これまで琵琶湖を見たことはありましたけど、まさか平安時代の舟に衣装を着た状態で乗って浮かぶことになるとは思わなかったです(笑)。風がちょっとでも吹いたら水がピュって入ってくるくらい深く沈む舟だったので、少し不安でしたね。
――舟の上で琵琶も弾いていましたね。
そうなんですよ。芸能考証の友吉先生がおっしゃるには、もともと琵琶湖は琵琶が沈められた湖だからそういう名前になったという説があるようです。なので、「琵琶湖で琵琶を弾いても絶対に沈まない。神様が守ってくれるから大丈夫です」と言っていただき、その言葉にすがりながら弾いていました。