大河ドラマ「光る君へ」

躍動せよ!平安の女たち男たち! 創造と想像の翼をはためかせた女性 紫式部

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をしへて! 佐多芳彦さん ~美しき姫たちが袖を振るう「五節の舞」会場と衣装 編

大河ドラマ「光る君へ」第4回で、まひろ(吉高由里子)が舞姫の一人となって描かれた「五節の舞」の会場や衣装などについて、風俗考証を担当する佐多芳彦さんに伺いました。

――「五節の舞」とは、どのようなものでしょうか?

朝廷の儀式の中で、最も格が高いものの一つが節会(せちえ)という天皇主催の行事です。新嘗祭(しんじょうさい)、大嘗祭(だいじょうさい)のあとに豊明節会(とよあかりのせちえ)という饗宴(きょうえん)が行われるのですが、この際に「五節の舞」という4~5人の未婚の舞姫の舞を神にささげる神事が行われました。新嘗祭とは、神様に一年の新米をささげて収穫を感謝し、その供え物を賜って自ら食す儀式です。そして大嘗祭とは、天皇に即位してから初めて行う新嘗祭のことをいいます。

――ドラマでは花山天皇の即位のあとに行われたので、大嘗祭のあとに行われた「五節の舞」ということになるのですか?

永観2年(984)に行われたのは新嘗祭になります。準備も必要となるので、急な事情で天皇が即位した場合には、その年ではなく翌年に大嘗祭が行われるようなこともありました。

――なるほど。舞姫の数は決まっていたんですか?

新嘗祭のときは4人、大嘗祭のときは5人というのが基本となりますが、さまざまな事情で欠員が出て3人となったこともあるようです。公卿(くぎょう)の枠とそれ以外(殿上人[※注1]や受領[※注2])の枠があり、今回のまひろは公卿の娘である源倫子の代役として、公卿枠で舞姫の一人に選ばれたという設定になります。

【注1】殿上人(てんじょうびと)… 宮中の内裏清涼殿の殿上間(てんじょうのま)に昇ること(昇殿)を許された人。四位(しい)・五位(ごい)の中で特に許された者、および、六位(ろくい)の蔵人(くろうど)。

【注2】受領(ずりょう)… 任命された国に自ら下った国司の最高責任者。

――舞姫たちはどんな準備をするのでしょうか。

3、4日前から朝廷に入って準備を整え、天皇の御前で予行演習を行うなど、いろいろと段取りがあったようです。

――舞姫たちが踊っている場所はどこになるのでしょうか?

本来は大極殿(だいごくでん)の廂(ひさし)で行われます。しかし舞姫が踊るスペースや列席者の席などを確保したうえで、大極殿の廂を再現したセットを用意することは非常に困難でしたので、今回は思い切ってオープンステージを作り、映像化しています。

――舞姫たちが着ているのは女房装束でしょうか。

そうです。このシーンでは、女房装束の全容がご覧いただけます。加えて舞姫たちは、日陰の蔓(ひかげのかずら)という古風な髪飾りを付けています。「五節の舞」の舞姫たちが実際にどのような髪飾りを付けていたのかはわからないところがあり、今回は奈良の薬師寺に所蔵されている国宝・吉祥天女画像(きちじょうてんにょがぞう)の頭に付けられている髪飾りをモチーフとしました。吉祥天女画像に描かれている髪飾りは、奈良時代の女性が正装する際の冠なんですね。これには、クラシックな雰囲気を出したいという意図も含まれています。

――それにしても、舞姫たちはキレイですね。女房装束はとても重たそうですけれど。

「五節の舞」のシーンで舞姫たちが着ている女房装束は袿(うちき)という衣を何枚も重ねて着る重袿(かさねうちき)で作った本物ですので、かなりの重量があります。美術チームがものすごくこだわってくれて、襟元(えりもと)なども左右が均一になるように繊細に調整されており、かさねのグラデーションが非常に美しく表現されています。本当にキレイですね。

をしへて! 友吉鶴心さん ~美しき姫たちが袖を振るう「五節の舞」舞と音楽 編

 

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