平安時代を代表するインテリアとして几帳(きちょう)、御簾(みす)、障子があり、絵巻物にも色鮮やかに描かれています。「光る君へ」ならではのこだわりが込められたこれらの調度について、ご紹介します。
――透け感を重視した几帳
紫式部が著した『源氏物語』を絵画化した国宝『源氏物語絵巻』にもきらびやかな几帳が描かれているように、几帳は平安時代を代表する調度の一つで、目隠しや風よけ、間仕切りとして使用されていました。本来、几帳には夏物と冬物があり、夏物は涼を求めて風通りの良い薄手の生地が、冬物は寒さをしのぐために風を遮る厚手の生地が使用されていました。しかし、薄手の几帳を使用したほうが向こう側にいる人物が透けて見え、芝居がしやすく映像でもより映えるため、「光る君へ」では透け感を大事にしています。平安時代の四季を代表する花の柄を一枚一枚布に描くなど、優美な平安絵巻の世界を感じていただけるように意匠を凝(こ)らしています。
――「鮮やかな緑色の御簾」が平安貴族の美意識の証
寝殿造りなどで目隠しや日光の遮断に使用された御簾も、「光る君へ」の立ち上げ当初からこだわって制作した調度の一つです。『源氏物語絵巻』をはじめ、『年中行事絵巻』、『伴大納言(ばんだいなごん)絵巻』など、当時の姿を今に伝える絵巻物で描かれている御簾は、竹ひごまでもが鮮やかな緑色をしています。考証とリサーチを進めると、上級であればあるほど竹ひごが古びて茶色くなるとすぐに新しい御簾を作らせ、常に緑色の御簾をかけていたのではないかと考えました。このため内裏(だいり)・清涼殿をはじめ、東三条殿(ひがしさんじょうどの)、土御門殿(つちみかどどの)などでは、今回新たに制作した緑色の御簾を使用しています。一方、下級である藤原為時の屋敷では、使い込まれた設定とするため、茶色の色あせた御簾を使用しています。
――平安時代の「障子」とは
障子といえば、光を取り入れるために障子紙を貼ったものを思い浮かべる方が多いと思います。しかし当時は、「障(さえぎる)」「子(もの)」という名のとおり、襖(ふすま)や戸、衝立(ついたて)など屛障具(へいしょうぐ)の総称でした。壁の下方にはまっているのは副障子(そえしょうじ)と呼ばれるもので、『源氏物語絵巻』にも描かれており、土御門殿で再現しています。ちなみに障子に描かれている絵のデザインは、絵師さんに実際に描いていただいたものをパーツごとにデータ化し、それを並べ替えて出力したものです。「光る君へ」のために新たに描いていただいたものもありますが、これまでの大河ドラマで使用されたおなじみのパーツも含まれています。