藤原道兼(玉置玲央)の手にかかり命を落としたちやは。「光る君へ」で大河ドラマ初出演となった国仲涼子さんに、演じたちやはの印象や母の死を目撃して心の傷を負ったまひろ(吉高由里子/幼少期:落井実結子)への思いなどについて伺いました。
――大河ドラマ初出演ですが、オファーを受けたときのお気持ちや現場の印象を教えてください。
お話をいただいたときのことは、鮮明に覚えています。最近は子育てのためお仕事を休んでいたのですが、「大河ドラマのお話がきているんですけど…」と事務所の方から連絡がきて、「やります!」と即答しました。2001年に連続テレビ小説「ちゅらさん」でご一緒した制作統括の内田(ゆき)さんからお声がけいただけたということで、ブワッと鳥肌が立つほどうれしかったです。
今回は初めてのことばかりで、最初の本読みのときからすごく緊張してしまって…。ものすごいメンバーが並んでいたので、それだけで心臓のバクバクが止まらなくて倒れそうな気分でした。クランクインの前日も緊張で眠れなかったのですが、撮影に入ってみたらあっという間になじめて、子どもたちと仲良く会話しながら撮影ができたかなという印象です。
――「光る君へ」のセットをご覧になったときの感想をお聞かせください。
豪華さに感動しました! 「いつから、どのくらい時間をかけてつくったのだろう」と思うくらいすごくて。我が家は貧しい設定ではありましたけれど、庭に川が流れていて、本当に外みたいでびっくりしました。「このセットに負けないようなお芝居をしないといけない」と思いましたね。撮影に入った日はあの空間に慣れるまでずっとぐるぐると歩き回っていました。「ここは父上の書斎で、ここで寝て…」など、部屋の仕組みを把握して体になじませることを意識しました。
――大石静さんの脚本を読まれたときの印象を教えてください。
平安時代は言葉も難しいのだろうと勝手に思っていたのですが、今回の脚本はとてもすんなりと読めるなと思いました。本読みのときに大石さんが、「難しく考えなくていいです。全然今と変わらないですから」とおっしゃっていたのが印象的で、確かに言葉も現代に近い雰囲気で書かれていますし、そんなに難しく考えなくてもおもしろく読むことができました。
――ちやははどのような人物だったと思いますか。
私の中で時代劇はセリフをゆっくりと言うイメージがあったので、本読みでは役柄がちょっと年配であることを意識して一つ一つの言葉を丁寧に読んでみたんです。そうしたら大石さんが、「そんなにお母さんがおっとりしてたら子どもはセリフが言いにくいから、もうちょっとパキパキ明るい感じをイメージしてやってください」とアドバイスしてくださいました。年配を意識しすぎて明るさが足りなくなってしまっていたんですね。ちやはは、これといってすごく特徴がある母親ではなかったと思うんですけれども、あまり悩んだ顔を見せず、持ち前の明るさで一生懸命家族を支えていた強い人だったのかなと思います。
――夫・為時が自分とは別の女性のもとへ通っていることは、どのように感じていたのでしょうか。
当時は当たり前だったのだろうと思いますけれど、子どもはこういうことを知っているのか、それとも曖昧(あいまい)にしているのか、どうなのかなと。実際に、「なぜ父上はきょうもいないのですか?」ということを聞かれるシーンもあって、当時の夫婦の感覚を理解するのが難しかったです。相手の女の人のことを嗅ぎ回ろうとするのか、知らないふりをするのか…。
今回、実際に旦那さんと絡みのあるシーンがあまりなかったんですよね。セットの中には一緒にいても、セリフを交わす機会がなかったので、もうちょっとお話しできたらよかったなと思っています。
――娘・まひろ、息子・太郎の印象はそれぞれいかがでしたか。
太郎ともあまり絡むシーンはなかったのですが、やんちゃそうな子だなとは思いました。彼はちょっと危なっかしいところがあるけれども、自由に育っていくのではないかと思います。まひろは自分と同じ女性ですし、ちやはとしては、もっと教えたかったことはたくさんあったのかなと思いますね。でも、まひろの意見を尊重する母だったと思うので、「ああしなさい」「こうしなさい」と言うのではなく、「あなたの思ったことをやってみなさい。なんでも受け止めるわよ」という気持ちのほうが強かったかなと感じています。
――ちやはは、自らの理不尽な最期をどう感じていると思いますか。
私としては、病気などではなくて突然だったので、「ここで終わるのか…」と思いましたが、ちやはは、「子どもが斬られなくてよかった」と思っていると思います。まひろの目の前で最期を迎えることになってしまいましたが、だからこそ彼女は小さいことでは驚かない強さを持った人になると思うし、もちろん深いキズにはなっていると思いますが、それを強さに変えて生きていくのではないかなと思っています。ほんの少しの間しか一緒にいられなかったけれど、私と過ごしたことが何か影響していったらいいなと思います。
――これからはいち視聴者としてドラマをご覧になることになりますが、気になることや望んでいることなどはありますか。
私を殺した方(藤原道兼)とまひろが、どんなつながりを持って、どんなやりとりをするのかは気になりますね。やっぱりモヤモヤした気持ちはありますので、いつか「この人が犯人だ!」と叫んでほしいですけれど(笑)、どうなるのでしょうか。
――大河ドラマへの出演は、国仲さんにとってどのような経験になりましたか。
撮影が終わってからずっと「大河ドラマはすごい!」とみんなに話してしまうくらい、衣装もヘアメイクもセットもとにかく大掛かりですばらしかったです。今までそんなに時代劇に興味があるほうではなかったのですが、大河ドラマに出演したことで、「時代劇っていいかも」と思い始めました。今は、「ほかの時代も経験してみたい」という欲が出てきています。