『化学的および外科的な損傷から子ども達を保護する』大統領令の翻訳(2025/1/28発令)
2025年1月28日にアメリカで発令された『化学的および外科的な損傷から子ども達を保護する』大統領令について翻訳させていただきました。
原文はこちらをご参照ください。
PROTECTING CHILDREN FROM CHEMICAL AND SURGICAL MUTILATION
最後に日本語訳のPDFもあります。
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ただしご利用にあたって生じた損害または障害などに関しては、当団体は一切責任を負うものではありません。
化学的および外科的な損傷から子ども達を保護する
大統領令
2025年1月28日
アメリカ合衆国憲法および法律により大統領として私に与えられた権限により、ここに以下の命令を出します。
第1条 政策と目的
現在、全国で医療の専門家達が感受性の高い子ども達をますます多く傷つけ、不妊化をもたらしています。それは一連の不可逆的な医療介入によって、大人が子どもの性別(sex)を変更することができるという過激で誤った主張の下に行われています。この危険な傾向は、我が国の歴史に汚点を残すことになるため、終わらせなければなりません。
数え切れないほど多くの子ども達が、すぐに自身の肉体への損傷を後悔し、自分の子どもを妊娠することも、母乳で子どもを育てることもできないという恐ろしい悲劇を理解し始めます。さらに、これらの脆弱な若者の医療費は、生涯にわたって高くなる可能性があります。なぜなら、彼らはしばしば生涯にわたる医学的合併症や、自身の肉体との勝ち目のない闘い、そして悲劇的なことに不妊に悩まされるからです。
したがって、アメリカの政策としては、子どものある性別(sex)から別の性別(sex)へのいわゆる「移行(transition)」に資金提供、後援、促進、援助、または支援を行わず、こうした破壊的で人生を変えてしまう処置を禁止または制限するすべての法律を厳格に施行します。
第2条 定義
本命令の目的において、
(a) 「子ども」または「子ども達」という用語は、19 歳未満の人または人々を意味します。
(b) 「小児科」という用語は、子どもの医療に関することを意味します。
(c) 「化学的および外科的な損傷」という言葉は、自身を彼または彼女自身の性別(sex)とは認識していない個人における正常な思春期の開始または進行を遅らせるために、GnRHアゴニストやその他の介入を含む二次性徴抑制剤(思春期ブロッカー)を使用すること、個人の身体的外観を自分の性別(sex)とは異なるアイデンティティに合わせるために、アンドロゲン阻害薬、エストロゲン、プロゲステロン、テストステロンなどの性ホルモンを使用すること、および個人の身体的外観を自分の性別(sex)とは異なるアイデンティティに合わせるために変更しようとする外科的処置、または個人の性器を変更または除去してその自然な生物学的機能を最小限に抑える、または破壊しようとする外科的処置を意味します。この言葉は、「ジェンダー肯定医療」と呼ばれることもあります。
第3条 ジャンクサイエンスへの依存の終焉
※訳者注: ジャンクサイエンスとは論理的根拠の乏しい、あるいは存在しない科学のこと。
(a) 化学的あるいは外科的な損傷によって子ども達に与えられる明白な危害は、それ自体を医学的に必要なものであるように装っていますが、それは世界トランスジェンダーヘルス専門家協会(WPATH)のガイダンスによって推奨されたものであり、科学的な誠実さに欠けています。WPATHのガイダンスに対する科学的懸念に照らした上で、
(i)行政機関は、WPATHの「ケア基準 第8版(Standards of Care Version 8
: SOC8)」を含むWPATHのガイダンスに依存するすべてのポリシーを撤回または修正するものとします。
(ii)本命令の日から90日以内に、保健福祉省(HHS)の長官は、ジェンダー違和(性別違和)、急速発症性ジェンダー違和、またはその他のアイデンティティに基づく混乱を主張する子どもの健康を促進するための最良の実践(ベストプラクティス)に関する既存の文献のレビューを公表しなければなりません。
(b) HHS長官は、関連法令に適切に準拠して、利用可能なすべての方法を使用し、ジェンダー違和(性別違和)、急速発症性ジェンダー違和、またはその他のアイデンティティに基づく混乱を抱える未成年者、あるいは化学的または外科的な損傷を求める未成年者の健康を改善するための実践を導くためのデータの質を高めるものとします。
第4条 化学的および外科的な損傷に対する資金提供の停止
医学部や病院を含む医療機関に研究または教育助成金を提供する各行政部門または機関の長は、関連法令に従い、行政管理予算局長と連携して、連邦政府の研究または教育助成金を受領する機関が子ども達の化学的および外科的な損傷を中止することを確実にするために、直ちに適切な措置を講じなければなりません。
第5条 HHS長官への追加指令
(a) HHS長官は、関連法令に従い、子どもの化学的および外科的な損傷を終わらせるために、規制および準規制措置を含むすべての適切な措置を講じるものとします。これには、以下の法律、プログラム、諸問題、または文書が含まれる場合があります。
(i) メディケアまたはメディケイドの参加条件または補償条件
(ii) 州のメディケイドプログラムに関連する臨床的乱用または不適切な使用の評価
(iii) 薬剤使用の義務的なレビュー(評価)
(iv) 患者保護および医療費負担適正化法の第1557条
(v) 品質、安全性、および監視に関する覚書き
(vi) 必須の医療給付要件
(vii)国際疾病分類(第 11 版)およびその他の連邦政府資金によるマニュアル。精神障害の診断と統計のマニュアル(第5版)を含む。
(b) HHS長官は、2022年3月2日付のHHSのガイダンス文書「ジェンダー肯定医療、公民権、患者のプライバシーに関するHHSの通知とガイダンス」を速やかに撤回し、司法長官と協議の上、本命令の遵守を確実にするために行動する内部告発者を保護するための新しいガイダンスを発行するものとします。
第 6 条 TRICARE
国防総省は、TRICARE を通じて、18歳未満の約200万人の個人に健康保険を提供しています。国防長官は、関連法令に適切に準拠して、子どもの化学的および外科的な損傷を TRICARE の対象から除外するための規則制定または準規制措置を開始し、子どもの化学的および外科的な損傷を除外するように TRICARE プロバイダーハンドブックを改訂するものとします。
※訳者注: TRICARE (アメリカ国防厚生管理本部)は全世界に展開中のアメリカ軍兵士の健康管理及び医療サービスを統括するアメリカ国防総省の現業部門。
第 7 条 保険会社に対する要件
人事管理局長は、関連法令に適切に準拠して、次の事項を行うものとします。
(a) 連邦職員健康保険 (FEHB) および郵便公社健康保険 (PSHB) プログラムの2026年計画年度のコールレターに、外国勤務給付プランを含む適格保険会社が小児トランスジェンダー手術またはホルモン治療の補償を除外することを明記する条項を含めます。
※訳者注: コールレター(call letter)とは保険会社に対する提案の依頼通知。どんな保険商品を求めているかを事前に通知する。
(b) FEHB および PSHB 保険料の適切な減額を得るよう交渉します。
第 8 条 司法省への指令
司法長官は、次のことを行うものとします。
(a) 司法省による米国法典第 18 編第 116 条の執行状況を検討し、女性器切除に対する保護措置の執行を優先します。
(b) 米国の州および準州全体で女性器切除に対する法律の執行を調整するため、州の司法長官およびその他の法執行官を招集します。
(c) 化学的および外科的な損傷の長期的な副作用について国民を誤解させうる、あらゆる団体による消費者への欺瞞や詐欺、そして食品・医薬品・化粧品法違反を終わらせるために調査を優先し、適切な措置を講じます。
(d) 議会と協議し、化学的および外科的な損傷を行う医療専門家によって健康な身体部位が損傷された子どもとその親のための民事訴訟権を制定するための法案を起草、提案、推進します。これには長期の時効が含まれるべきです。
(e) 親による子奪取防止法や憲法で認められた権利の適用を検討することによって、自分の子どもの健全な発達を支持する親から親権を剥奪することを容易にする、いわゆる「聖域州」による児童虐待行為を終わらせるために、調査を優先し、適切な措置を講じます。
※訳者注: 聖域州(sanctuary States)とは、トランスジェンダーがジェンダー肯定医療を受ける権利を保護し、州外からのトランスジェンダーの若者も医療にアクセスできるようにし、トランスジェンダーの若者、その家族、およびその医療専門家を居住州での潜在的な法的制裁から保護することを目的とした政策をとっている州のこと。2023年末までに、12の州(カリフォルニア州、コロラド州、コネチカット州、イリノイ州、メリーランド州、マサチューセッツ州、ミネソタ州、ニュージャージー州、ニューメキシコ州、ニューヨーク州、バーモント州、ワシントン州)、コロンビア特別区、および少なくとも4つの米国の都市(ミズーリ州カンザスシティ、カンザス州ローレンス、ニューヨーク州ニューヨーク市、カリフォルニア州ウェストハリウッド)がジェンダー肯定医療の聖域政策を可決している。
第9条 適切な進捗の実施
本命令の日から 60 日以内に、本命令の下で責任を負う機関の長は、本命令の実施の進捗状況と今後の行動のタイムラインを詳述した単一の統合報告書を大統領補佐官(国内政策担当)に提出するものとします。大統領補佐官(国内政策担当)は、この提出の調整と準備のために、本命令の下で責任を負う機関の長 (またはその代理人) を定期的に招集するものとします。
第10条 可分性
本命令のいずれかの規定、またはいずれかの規定の人物または状況への適用が無効であると判断された場合でも、本命令の残りの部分および他の人物または状況へのその他の規定の適用は、これによって影響を受けないものとします。
第11条 一般規定
(a) 本命令のいかなる内容も、次の事項を損なったり、その他の影響を与えたりするものと解釈されないものとします。
(i) 行政部門または行政機関、もしくはその長に法律で付与された権限。または
(ii) 予算、行政、または立法提案に関する行政管理予算局長の職務。
(b) 本命令は、関連法令に準拠し、かつ、予算の状況に応じて実施されるものとします。
(c) 本命令はこれにより、いかなる者に対しても、合衆国、その省庁、政府機関または組織、その役員、職員、または代理人あるいはその他の人物に対する、法律上またはエクイティ上、強制可能な実体上または手続上の権利または利益を創出することを意図するものではなく、また、実際に創出するものでもありません。
ホワイトハウス
2025年1月28日
日本語訳のPDF
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ただしご利用にあたって生じた損害または障害などに関しては、当団体は一切責任を負うものではありません。
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