大宰府を訪れたまひろ(吉高由里子)と乙丸(矢部太郎)が、越前で出会った周明(松下洸平)と再会した市。大河ドラマ「光る君へ」第45回で描かれた大宰府の市に関する美術についてご紹介します。
◆◆ デザインコンセプト ◆◆
大宰府は大陸との外交の窓口であり、唐からの影響も反映した国際色豊かな市が立っていた。町のにぎわう様子を描いた北宋時代の絵巻『清明上河図(せいめいじょうがず)』から当時の中国風の風俗などを参考にし、「えさし藤原の郷」政庁北側広場を使って既存の朱塗建築を借景にレイアウト。テーマカラーを赤とし、亭(東屋)を中心に唐風家具や陶器、薬種、文房具、化粧品などの露店が華やかに立ち並び、柳や竹、太湖石(たいこせき)を配した中国色の植栽などで平安京の市との違いを出した。さらに、梅ヶ枝餅(うめがえもち)、梅文様の装飾など大宰府を象徴する梅を随所にちりばめた。
――異国情緒が漂う市
当時、大陸との外交窓口の中心地の一つであった大宰府。少し時代が下がりますが、北宋時代の絵巻『清明上河図』を参考にし、国際色豊かな市のにぎわいを表現。さまざまな商品を扱う露店や、買い物や飲み食いを行う人々の様子などを取り入れ、活気あふれる大宰府の町をロケセットでデザインしました。
赤をテーマカラーとし、露店の傘や幕などにあしらって平安京の市とは異なる異国情緒が漂う市を作り出しています。
――越前の松原客館でも取り入れた太湖石
太湖石は、中国庭園でよく用いられている中国・太湖周辺の丘陵から切り出される穴の多い複雑な形の奇石です。まひろと越前国守に任官した藤原為時が、越前国府への途上で立ち寄った松原客館のセットでも配置していましたが、この大宰府の市についても、中国庭園の要素を取り入れて、植栽や岩などを配置しています。
――大宰府といえば「梅」
学問の神様として親しまれる菅原道真が好み、飛鳥時代から奈良時代にかけての公卿(くぎょう)・歌人である大伴旅人(おおとものたびと)が愛(め)でた梅の花は、太宰府市の市章にもなっています。梅ヶ枝餅は、一説には餅好きの菅原道真に老婆が梅の枝に餅を刺して渡してあげたのが始まりといわれており、当時あったかどうかは定かではありませんが、大宰府にゆかりのある品ということで露店の一角にレイアウトしました。本物の餅を使用すると、撮影の最中に状態が変化し硬くなってしまうため、紙粘土で作った模造の餅を梅の枝に刺しています。
――華やかに立ち並ぶさまざまな露店
亭を中心として、その周りにはさまざまな露店を立ち並ばせています。まず、大宰府を訪れたまひろが興味をひかれてのぞきそうな店ということで、文房具の露店を設置。それから、この場には周明が足を運ぶので、薬種の露店を設置しました。このほかにも、陶器や化粧品などの露店が華やかに立ち並んでいますが、品物を置く敷物をはじめところどころに梅を意識した装飾を施しています。