大河ドラマ「光る君へ」

躍動せよ!平安の女たち男たち! 創造と想像の翼をはためかせた女性 紫式部

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藤原為時役 岸谷五朗さん ~紫式部を愛情深く育んだという功績

収録現場から出演者のコメントをお届けしてきた「君かたり」。動画内に収まりきらなかったコメントを含めて、藤原為時役の岸谷五朗さんにクランクアップ後にお話ししていただいた内容をテキスト版の「もっと、君かたり」としてお届けします。

――演じきった今のお気持ちを教えてください。

大河ドラマでは先に亡くなってクランクアップすることが多かったので、生きているうちに物語が終わるというのは今回が初めてでした。為時邸でクランクアップしましたが、初めのころはあの家でうまく歩けなかったんですよね。

足が汚れるというか、床がギシギシいうとか、いろいろなことがあったんですけど(苦笑)、今はもうどこにもぶつからずに歩けるようになり、「これが住む家が舞台になっているひとつの良さなのか」と実感しました。今なら二泊三日くらいできそうです(笑)。本当に愛着のある家になりました。

――視聴者としても、とても愛着のある場所になっていました。

そうですよね。庭の池を見ながら、「この場所であのシーンを撮ったな」とか、思い出がまるで本当の人生のようによみがえってくることが、長いスパンで撮影をしているとありまして。

「ここで小さいころのまひろとこんなことがあったな」とか「こんなふうに怒ったな」とか、それは惟規もそうですけれど、「太郎のころの惟規とこういうことがあったな」とかよみがえってきて、本当にあの家で生きたようでした。

 

――「光る君へ」における藤原為時の人生は、どのようなものだったと思いますか。

“家族との別れ”ということでいうと、為時というお父さんはかわいそうだったなと。やはり順番を守って亡くなるべきだと思うんですよ。為時の場合は、先に妻のちやはを失い、息子の惟規を失い、娘のまひろはこのドラマではまだ生きていますけれど、史実だと紫式部のほうが先に亡くなっているかもしれないという説もあって、ひとり残された為時さんはかわいそうだなと思います。家族全員の死を体験して死んでいったのだとしたらなおさら。

そもそもあまり平安の時代にそぐわないタイプの方だった感じはするんですけどね。官人にはむいていなかったし、文学を愛して生きていく方法はいろいろとあったでしょうけど、まとめると為時の人生は少しかわいそうだなっていう気はします。

――文学好きな為時の娘だからこそ紫式部が誕生したのは、すばらしいことだと思います。

平安時代でなければもっと称賛された人生だっただろうなとは思いますけど、たしかにまひろのすごい才能を子どものころから育てたというのは大きい功績ですよね、為時さんの。世に残した実績は、子どものころから紫式部に漢詩を聞かせ、文学に触れさせたということでしょうか。

――特に印象に残っているシーンはありますか。

やはり第1回は衝撃的でした。ちやはの死をないものにするんだと言ってからの、まひろとの確執。あのときはまだ子役でしたけれど、あそこからスタートしているので、結構衝撃的でした。

そこから、まひろというできるお姉さんに対して、出来の悪い子ほどかわいく見えるような弟の惟規が出てきて、為時家は楽しくハッピーな雰囲気になっていきましたけれども、その惟規が突然の死を迎えてしまう第39回もシーンとしては非常に感情が大変でした。

――藤原為時として過ごした時間は、岸谷さんにとってどのようなものになりましたか。

みなさんとは少し違う目線で紫式部を見ている立場の役だったなと思います。貴族の激しい権力争いみたいなところに加わっていないので、そのぶん家族は貧乏ではありましたが、内裏(だいり)でのギスギスした部分、物語全体はオンエアを通して、ちょっと俯瞰(ふかん)の目で見れていたような気がします。

 

◆君かたり

 

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