大河ドラマ「光る君へ」

躍動せよ!平安の女たち男たち! 創造と想像の翼をはためかせた女性 紫式部

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ききょう/清少納言役 ファーストサマーウイカさん ~書くことが生きる支えだった

収録現場から出演者のコメントをお届けしてきた「君かたり」。動画内に収まりきらなかったコメントを含めて、ききょう/清少納言役のファーストサマーウイカさんにクランクアップ後にお話ししていただいた内容をテキスト版の「もっと、君かたり」としてお届けします。

――演じきった今のお気持ちを教えてください。

ききょうは突然出てきたり、突然いなくなったり、神出鬼没な人物だったので、合計するとそんなに長い時間現場にいたわけではなく、一瞬で終わってしまったぁという感じです。

――改めて、「光る君へ」のききょうは、どのような人物だったと感じていますか。

他人とは思えないほど親近感のわくキャラクターで、知っていくごとにどんどん自分と重なっていくような感覚になりました。ききょうは、定子様の人生や、宮中での政治のあり方などを伝えるという任務を果たすために『枕草子』を書いていたと思うのですが、演じていくうちに、定子様が亡くなったあとは“自分と向き合うため”に書いていたのかなと思ったりして。

もともとは定子様を励ますために書いたものではあるけれど、どこかで、「ききょうがききょうとしてあるために書き続けた」みたいな、“作家魂”のようなものがあったのかなと思うんです。定子様が亡くなったあとの虚無感と同じように、書くことから退いたことへの虚無感を、余生のシーンを撮影するたびに感じていました。

 

――本編では描かれない部分も、想像して演じられていたのですね。

そうですね。基本的に出演していないときは穏やかに過ごしているものとして物語は進みますけれど、きっとその間にも大なり小なりうれしいことや嫌なことがあるだろうから、意識はしていました。たまに出てきたときに「同じ人とは思えない」と思われるような人がいてもおかしくはないじゃないですか。例えば今でも同窓会で再会して、「あれ、この人こんなふうになっちゃったんだ」とがっかりするようなこともあれば、「え~!」と驚くような変貌を遂げている人がいたりもするので、会わない時間に何を詰め込むかが大事かなと思いました。

現場でも、久しぶりに共演者の方とお会いしたときに、「今のまひろはこういう感じなんだ」とか「なるほど。以前の伊周の感じと違ったな」とか思うことがあって、会っていない時間でどんな変化をしたのか、その原因は何なのかを表現するのも、ときどき出てくる人物の見せ場の一つだと思うので、自分もそれを意識しました。会っていない時間をどのように捉えるか、みたいな。こういうのも、長く撮影が続く大河ドラマ独特の感覚な気がします。

――ききょうにとって、まひろはどのような存在だったと思いますか。

紫式部と清少納言の関係はいろいろな捉え方と解釈があって、「光る君へ」での描かれ方もまた新しいアナザーストーリーのような関係性でしたよね。私としては、結構複雑だったといいますか、「友だちだよね」と面と向かって言うのは恥ずかしいような立ち位置にまひろがいた気がしています。「私たち親友だよね」なんてたぶんお互いに口に出すことはないし、最終的に、第三者から見ても「この二人、めちゃめちゃ仲良しなのよ」と思われるような関係性でもなかったかもしれないけど、でも、そういう複雑な立ち位置の存在は、得ようとして得られるものではないと思うんですよね。

友だちは、サークルとか飲み会のような場所に出向けばつくれるけれども、「友だちを超えてライバル」のような、「常に自分の半径数メートル以内にいて無視できない」「好きだけどちょっと腹が立つ」みたいな存在はお金では買えないし、欲しくても簡単に手に入る存在ではない。ある種、家族よりも手に入れるのは難しい存在なのかなと全編を通して思います。だからこそ、お互いに刺激をもらいに晩年は会ったりしていたんだろうなって。「友だち」という言葉の幅広さを感じますね。「ライバルなんだろうけど、そう断言するのはちょっと嫌」みたいなプライドが出てきてしまう存在の人。ちょっと強がってしまいたくなる立ち位置の人。それはある種、かけがえのない人だなと思います。

 

◆君かたり

 

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