収録現場から出演者のコメントをお届けしてきた「君かたり」。動画内に収まりきらなかったコメントを含めて、藤原道綱役の上地雄輔さんにクランクアップ後にお話ししていただいた内容をテキスト版の「もっと、君かたり」としてお届けします。
――演じきった今のお気持ちを教えてください。
もう1年半くらいかな。歌とか舞とかの稽古を合わせると本当に最初のほうから現場にいさせていただいて、事故なく病気なくきょうまでやってこられたことが、まずすごくありがたいですし、うれしいです。この作品を通していろいろな方たちに出会えて、たくさんの刺激と感謝の気持ちを持てたことは僕の人生の中で財産だなと思います。そして、藤原道綱という役を演じて得た経験は今後にものすごく活(い)かせる気がするので、この役との出会いも大切にしていきたいなと思います。
――改めて、「光る君へ」の藤原道綱は、どのような人物だったと感じていますか。
脚本の大石(静)さんに、「ただの怠け者にはしたくない」ということを言っていただいたので、どういった感じでアプローチしていくか考えていたのですが、道綱はとても愛をもって育てられた人なんですよね。道長たちとはまた違う、妾(しょう)の家で育ったんですけれど、誰かを蹴落とすとか僻(ひが)むとかいう感情を持たずにまっすぐ育った人間なので、政(まつりごと)の世界に置かれても、すごく純粋だったなと。その純粋さを大切に政の場にいられるように意識して演じました。
役をいただくとき、自分のイメージと近い役のほうが逆に難しかったりするんです。それでいうとたぶん藤原道綱と上地雄輔って似ている部分があるし、イメージとしてもちょっと近かったのではないかと思うんですけれど、だからこそほかの役をやるよりも考えることが多かったりして。そういうのも新鮮でした。いつもは自分と似ているところを探すんですけど、自分と違うところも探しながら役をつくるというのもまた楽しいなと思いました。
――道綱は、物語の中でどのような役割を担っていたと思いますか。
最初のころから(柄本)佑くんに、「道長役をやっているとずっと暗いんですけど、お兄ちゃんと会うとパッと現場が明るくなって、ゆったりした時間が流れるので、すごくうれしいんです」と言っていただいていました。僕自身も脚本を読みながらそんな印象があったのですが、言われて改めて「やっぱりそうなんだ」と。
少しでも道綱という役がこの作品にあたたかさを注入できたらいいなと思いましたし、道綱がどこか物語を説明するような部分や、パッと明るくしたり息抜きしたりできる要素を求められているとも感じていたので、そんなふうにお役に立てていたらいいなと思います。
――藤原道綱として過ごした時間は、上地さんにとってどのようなものになりましたか。
撮影中に2度夏を乗り越えて、2度目の冬を乗り越えようとしているときに終わったんですけれど、お世辞ではなく、キャストもスタッフさんも関係者みんないい人だったなと。「なんでこんなにいい人ばっかりなんだろう」と思うくらい、現場に柔らかくて優しい空気が流れていて、それは吉高由里子ちゃんと柄本佑くんを筆頭につくっている空気だとは思うんですけれど、それに引き寄せられるようにみんながあたたかくて優しい雰囲気の現場でした。その空気に包まれながらこうしてクランクアップを迎えられることがすごくありがたいですし、改めてステキな場所にいたんだなとすごく実感しています。
◆君かたり