大河ドラマ「光る君へ」

躍動せよ!平安の女たち男たち! 創造と想像の翼をはためかせた女性 紫式部

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藤原行成役 渡辺大知さん ~今後の役者人生の糧になる経験

収録現場から出演者のコメントをお届けしてきた「君かたり」。動画内に収まりきらなかったコメントを含めて、藤原行成役の渡辺大知さんにクランクアップ後にお話ししていただいた内容をテキスト版の「もっと、君かたり」としてお届けします。

――演じきった今のお気持ちを教えてください。

これだけ長い期間ひとつの役を演じるというのは初めてだったので、感慨深いです。幼少期から死ぬまでを演じることができて、人の一生について考えたといいますか、ひとりの人の生きざまを「光る君へ」の中でつくれたことがすごくうれしいです。

――「光る君へ」の中で、藤原行成はどのような存在だったと感じていますか。

この作品に関わって一番驚いたのは、千年前にはすでに今とあまり変わらないような社会体制のシステムが出来上がっていたんだなということでした。その中では自分の欲望にまっすぐな人がいたり、好きな人に夢中になっている人がいたり、いろいろな人間の思惑が交錯していましたけれど、結局芯の部分で社会を動かしているのは、今も昔も行成のような、誰かのために動いたり、誰かと誰かの間に入って悩んだりしている人なのではないかと。生きている時代は違うけれど、行成を通して世の中の流れが見えたり、時代の風土のようなものを感じてもらえていたらうれしいなと思っています。

――特に印象に残っているシーンはありますか。

一条天皇を説得するシーンが多かったので、まず思い出されるのはそこかなと思います。要所要所で説得してきたなぁと。その次に思い出すのは、大宰権帥(だざいのごんのそち)に隆家を任命した道長に怒ったシーンですかね(第44回)。長年仕えて慕ってきた道長に裏切られたような気持ちになって強く言ってしまいました。

視聴者の方には「行成がそういうことを言うんだ」と思われたかもしれませんが、僕としては、人間だから揺れ動くものだと思うんです。道長のことは信頼しているけれども、何十年も同じ気持ちではないし、道長も揺れているからこそ関係性も変わる。でも、それも含めて道長は、行成に対して甘えみたいなものもあっただろうし…。「年月を経れば人と人との関係は変化していく」ということが見えるシーンだったなと思っていて、自分としては大事なシーンでした。

――藤原行成として過ごした時間は、渡辺さんにとってどのようなものになりましたか。

僕はたまに撮影に来ていただけですけれど、それでも1年以上ですからね。その間にほかの仕事があったとしても大河ドラマの撮影に戻ってくるのが当たり前の日々だったので、「卒業した」という実感が強いです。ひとつの学校を卒業して、「あとはここで得たものを今後の役者人生に活(い)かしてください」と言われているような、「あとは各々(おのおの)頑張りましょう!」と任されている感じというか、「ちゃんとここで得たものを次に活かせよ」と送り出されている感じ。職業訓練校みたいな場所でしたね、想像ですけど(苦笑)。「ここで学んだことを技術として活かしてこい!」って送り出されたような気分です。

――今回文字を書くシーンがあった出演者の方々は撮影終わりに「解放された!」とおっしゃったりしているのですが、渡辺さんはいかがですか。

やっぱりプレッシャーはありましたし、最初はずっとそれに悩まされている感じはたしかにあったかもしれないですね。クランクインする前は特に。でも書いているうちにだんだんと楽しくなってきて、今は少しさみしいです。「書くシーンはこれで最後です」と言われたときは僕も解放されたような思いにもなりましたけど、同時にさみしいような感じもありました。

 

◆君かたり

 

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