収録現場から出演者のコメントをお届けしてきた「君かたり」。動画内に収まりきらなかったコメントを含めて、藤原公任役の町田啓太さんにクランクアップ後にお話ししていただいた内容をテキスト版の「もっと、君かたり」としてお届けします。
――演じきった今のお気持ちを教えてください。
今回で大河ドラマへの出演は3回目だったんですけれど、最後まで出演したのは初めてでした。やりきったなという感じがすごくします。現場のみなさんが本当にあたたかくて、とてもステキな作品に関われて光栄だったなと思いますし、僕も一員として何かしらの役割を果たせていたらいいなと思います。
――最終回で藤原斉信と歌を詠むシーンでは、どのような思いになりましたか。
幼少のころから公任、斉信、道長、行成は4人でいることが多かったですけれども、中でも公任と斉信は結構ああだこうだ言い合いながら成長してきました。だからこそ道長と行成が先に亡くなって残されたときに思いが共有できるというか、しんみりとはしていたけど、すごく良い雰囲気になったなと感じています。2人で歌を詠みましたけれど、それも目の前に道長と行成がいるみたいな感覚で詠んでいたような気がしていて。
とても立派な松を見ながら、それを山に見立てて、「いとど深山(みやま)ぞ」というのは、どうしても越えられない、大きな大きな山のような道長のことであり、行成の人間性を思った歌でもあったような気がするんですよね。これまでのいろいろなことをフラッシュバックさせながら斉信と思いを共有できたんじゃないかなと思いますし、自分の残りの人生も長くはないとわかっているので、そのさみしさを詠んだというのもあるけれども、家のことは子どもたちや孫によって受け継がれていくと思うと、少しは前向きだったような気もします。
――特に印象に残っているシーンはありますか。
序盤はいろいろと苦労したことも多かったので、思い出に残っているシーンがたくさんあります。中でも、公任が公任たるゆえんである「漢詩を暗唱したシーン(第3回)」がとても印象に残っています。
周りよりもちょっと自分のほうが優秀だと、誇示しているようなシーンでもあったのですごく難しいなと思っていたんですけれど、挑戦してみたら考証の先生方がリハーサルの段階で拍手して「公任が見えました」と言ってくださり、僕の背中を押してくださった思い出があります。「公任としてやっていける」と思えた、とても印象深いシーンです。
――藤原公任として過ごした時間は、町田さんにとってどのようなものになりましたか。
今後お芝居をしていくうえでも、これだけ長い間ひとりの人物を演じることはなかなかないことですし、千年以上前の時代を生きた人物を演じたというのは、ものすごい自信につながることだなと思います。
時代劇に関しては、今後何があっても大丈夫かなと思うくらいの経験ができましたし、「もっともっといろいろな挑戦をしたい」と思うほど時代劇熱がグッと上がりました。主演の吉高(由里子)さん含め本当にすばらしい演者のみなさんの中で学ぶべきところがたくさんありましたので、これを糧にまだまだ僕も出世欲を忘れずに(笑)、公任さんに恥じないようにこれからも頑張っていかねばなと思いました。
◆君かたり