対赤ちゃんより夫との喧嘩のほうが辛かった

だが良かれと思ってスタートした育児共闘。お互い引かなかった。

マニュアル重視の夫vs武器は『母の勘』の私による育児の覇権争いが勃発していた。同じカロリーで赤ちゃんのお世話に向き合うと意見の対立が必ず出てくる。

お出かけのときに着せる服、1日のミルクの総量、どれをとっても考え方が違うので、毎回小競り合いで殺伐とした雰囲気が広がっていた。夫婦喧嘩は犬も食わないというのは本当で、うちの犬はそういうときだいたい私たちのベッドで悠々と寝ていた。

写真提供/バービー
 

リーダーが2人いると家庭内が荒れるのか、と勉強になった。

普通だと新生児期は特に母親の意見が優先されるケースが多いだろうが、私はずっとそばにいてあげられなかった負い目もあり、加えてポンコツということで、母としての威厳なし。

産後は大変だと聞いていたが、私の場合、対赤ちゃんよりも、毎日喧嘩していることのほうが辛かった。

夫の育休が明けて1人で赤ちゃんのお世話をしたときは、「やっと2人きりになれたね」と抱きしめた。傍から見たら誘拐犯のように見えたかもしれない。ついに静寂が訪れたと子育ての幸せを噛み締めた。

娘を想うがゆえに小競り合いは絶えなかったが、わからないことは嫌な気持ちにさせず的確に伝達してくれたことに、とても感謝している。ほかにも、母乳を吸わせるのに苦労している私を追い詰めないように言葉を選んでくれたり、いつでも飲み物を用意してくれたり、手続きはほとんどやってくれたり、感謝してもしきれない。

何より、ずっと私の写真を撮り続けてくれた。

余裕のない表情だったり、無表情の自分の姿がおもしろくて「囚人みたい」とか「韓国映画に出てきそう」とか言い合ってる間はとにかく2人で笑った。

写真提供/バービー

その写真をInstagramにアップすることで、同じく育児に励む人たちから優しいコメントをもらって勇気づけられた。写真で自分のことを客観的に見たり、SNSで励まされたりしたおかげで、産後のメンタルが安定していた可能性もある。

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想像の域を出ないが、役割分担制の夫婦では、もしかしたらリーダーとして的確な指示を飛ばすことに慣れていない母と、女性に指示されることを受け入れられない父の間に起こるいざこざなのでは?と思ったりもした。

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