「母のバイアス」にどっぷりハマっていた

どちらが理想かと言えば、子どもを産む前の私は完全に後者だった。男女平等の時代、そんなの当たり前でしょうぐらいに思っていたかもしれない。

なぜなら、SNSや女友達などからお父ちゃんの役立たずっぷりをよく聞かされていたからだ。「男の人ってやっぱり子育て舐めてるよ」と。

男性は育児に無頓着で、母親は産後のホルモンバランスの影響でガルガルしたり、子どもを守るために繊細なお世話をするものだと決めつけていた。

私は、同じ視点で育児に取り掛かれるようにと、妊活の段階から子どもが産まれたら……という話を夫婦でよくしていた。だからこそ夫は3ヵ月半の育休を取ったし、どんなスケジュールで育てていくかのシュミレーションをして行政支援サービスを調べまくったりした。

今思えば、私は「母」というバイアスにどっぷりハマっていた。

写真提供/バービー
 

夫が私よりミルクの飲ませ方がうまい

実際の子育ては違った。それどころか母と父のイメージが逆転してしまった。

産後1ヵ月を過ぎたころ、私は大量出血し緊急手術そして入院。とても珍しいケースらしいが、胎盤が残留してしまっていたらしく、その1ヵ月後に再手術のため入院。そのころ仕事もちらほら復帰しはじめていた。

夫婦2人つきっきりでお世話をしていたが、赤ちゃんと触れ合う時間が減ってしまい、その分夫は1人でお世話する時間が増えた。

ここで少しズレが生じた気がする。 

ミルクの飲ませ方、あやし方、危機管理。夫の方が、私なんかよりうまい! それを「ママっぽい!」と思った。その段階でも母バイアスだ。

そして、一緒に新生児のお世話をしていく中で、思い出したことがある。

そうだ! 私、ガサツだった!
母になったからって育児に関してだけ几帳面になるだなんてことはなかったのだ!

ミルクを作るときに10mlぐらい多くお湯を注いでしまうことがあったり、抱っこしているときに軽く壁に頭をぶつけてしまったり、夫には除菌が甘いと指摘されたり。

哺乳瓶用のスポンジと大人用のスポンジは必ず分けるようにと言われたが、一度だけ大人用で洗ったことをここに懺悔する。

写真提供/バービー