あれは去年の夏のことだった。私は実家を離れて一人暮らしを始めたばかりの大学生で、生活費を稼ぐために"深夜のコンビニでアルバイト"を始めていた。
夜勤は基本的に私一人。深夜2時を過ぎると客足もめっきり減って、店内には蛍光灯の音と、時々聞こえる商品の自動発注システムのビープ音だけが響いていた。
その日も、いつものように商品の品出しをしていた。防犯カメラのモニターは常にレジの横に設置されていて、"4分割された画面"には店内の様子が映し出されている。目線を上げると、モニターの中の自分が同じように棚の前で作業をしているのが見える。
ふと、"違和感"を覚えた。
モニターの中の自分は、確かに今私がしている動作と全く同じことをしているのだが、なんとなく"タイミングがずれている"ような…。よく見ると、"モニターの中の私は、実際の私の動きより1秒ほど先に動いているよう"だった。
最初は疲れているせいだと思った。深夜勤務で感覚が鈍っているのかもしれない。でも、何度確認しても、"モニターの中の私は確実に先に動いていた"。
試しに、突然腕を振ってみる。案の定、モニターの中の私が先に腕を振り、その後で実際の私が腕を振った。"背筋が凍る思いがした"。
その時、"モニターの中の私が、突然レジの方を振り向いた"。でも私は…まだ棚の前で固まったままだった。
モニターの中の私は、ゆっくりとレジに向かって歩き始めた。その表情は…私のはずなのに、どこか違う。"目が…笑っている"。
パニックになって店を飛び出そうとした瞬間、店内の電気が消えた。真っ暗な中、レジの方から、"カタカタという足音"が聞こえてきた。
気がつくと、私は病院のベッドの上にいた。医師の話では、"その夜、店の防犯カメラは一切作動していなかった"という。電源が入っていなかったらしい。でも私は確かに見た。モニターに映った、もう一人の私を。
それ以来、私は鏡や防犯カメラに映る自分の姿を、じっと見つめることができなくなった。だって、もしかしたら…"向こう側の私が、また先に動き出すかもしれない"から。
あの夜以来、深夜バイトは辞めた。でも時々思う。あのモニターの中の私は、今でもどこかで、"私の「次の動き」を先回りして演じ続けている"んじゃないかって。
(完)
80年代に発表されてたら価値があった😞