もっと生きた英語を学びたい
仕事も辞めて入学したのに、彼とも別れる覚悟で通い出したのに、それでも専門学校はリアルな英語を学べないと焦った私は、英会話スクールにも通うことにした。そこはマンツーマンで、日本語なしの会話をみっちり行う。話したい先生の枠を選んで1時間しっかり会話をしていく。
ある日、いつもと同じおじいちゃん先生が予約できず、たまたま空いていたのが、別のアメリカ人男性だった。彼は、レッスンの中で百貨店のチラシ広告を使って会話しようと言った。会話を弾ませるためなのだろう。彼はこれを食べたことがあるか?買ったことある?高くないか?の話から、私はあるよ、おいしいよなどと答えた。彼は次第にチラシから離れ、なぜスクールに通っているのか?どこに住んでいるのか?何をしているのかなど根掘り葉掘り聞いてきて、オーバーリアクションで、こちらがミスしても会話を続けてくれた。
彼は日本、J-POPやアニメ、食べ物が好きで、日本で永住権が欲しいから宣教師をしながら日本に来て働いていると言った。私はサンフランシスコの短期留学で出会い、また会いたいと思っているクリスチャンの女性を思い出し、クリスチャンについて少し質問した。しかしそのとき、ちょうどレッスンが終わる時間になってしまった。退出する際に、「次回も僕の予約を取ってほしい。なぜなら給料が上がるから僕はとても助かるんだ、宗教の話もしよう」とお願いされた。
私は生きた英語を話せたらだれでもよかったのと、そんなにうれしいならとチラシに載っていたお菓子を手土産にし、会話のきっかけになるだろうと次の授業に持って行くと、彼はすごく驚いて「泣いてしまう!感動した!日本に来て一番うれしい!」と英語で言われた。今思えば簡単に罠にはまっていたのだろうが、当時の私はこんなことで喜んでもらえるんだと嬉しく感じた。「何かをして喜んでもらう」という体験を子どものころしていない私は、「自分にできることがあるんだ」と錯覚したのだ。その後数回彼のレッスンを受けた時、スクールに内緒でとご飯に誘われた。