「あんたを殴っている私の方が辛い」

ある時期から母がヒステリックに当たるようになり、殴る蹴るが普通になった。「あんたを殴っている私の方が辛い、私の手の方が痛い」といいながら手を挙げる母。「母に殴られたくないから、いい子になる」「家を追い出されたくないから、いう事を聞く」「親がいう事は絶対」で歯向かうことはできない。「殴っている母の方が辛いんだ、私が殴られるような悪いことしたんだ」と思い込んだ。実際に、私は殴られるほどの何の悪いことをしたのか?の答えも分からない。母は些細な事でもピリピリしていた。

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自分よりも母が優先だった

私をバレーボールの選手にしたいと思っていた母は、私が試合で失敗すると平手打ちをした。骨折してもコートに立てと言った。バレーを辞めたいといったらボコボコにされた。高校生のときに男の子と歩いているところを見られた時には、瓶の入った袋で顔を殴られた。それが今なら育児ノイローゼだったのだろうと想像してみるが、例えそうであっても親が子を叩くのは良くないし、それを受け入れてはいけない。許してはいけないのに、当時の私は、母の言うことを聞いていればいつかは母から愛される。わかってもらえると信じていた

右が手術前の状態。殴られて、頬は骨折、顎が横にずれたたまま、歪んでくっついてしまっていた。骨を削り、本来の位置に戻したという。しかし頬はまだ治療ができていない 写真提供/若林奈緒

どこかで母に怒られるのでは?嫌われるのでは?見つかってしまうのでは?親からも愛されないような子供は、価値がない、生きている意味はないのだと思い、母が喜ぶことが自分より優先される。そして、それはいつからか母親にも伝わっていて、思い通りに動かすお人形になる。