34歳の母親が9歳の娘に食事を与えず、低血糖症で入院させては共済金をだまし取っていたとされる事件が明らかになった。報道によればこの娘は5年前から40回以上にわたって入退院を繰り返し、母は共済金を受け取っていた。今回、入院中に娘が食事を摂らないように指示されている内容がスピーカーフォンで判明し、病院スタッフに虐待が発覚したという。
中でも衝撃的だったのは、母親が娘を低血糖にするために食事をまともに与えていなかった経緯だ。病院でも「食うなよ、寝とけ」と言ったというし、自宅でも目の前にあるトマトを食べていいかと母に聞いてダメと言われたら食べないでいた、梅のお菓子しか食べていない日もあったなどと耳を疑うエピソードが続く。
しかし体調を崩すほどに空腹でも、目の前に食べ物があっても母親にいいと言われなかったら絶対口にしないでいられるのだろうか。
幼いころから母の暴言・暴力・過干渉に苦しんできた若林奈緒音さん(40代・仮名)は、学校のお弁当や日々の食事も母親からは放棄されていた。母親の思うような進路に行けと強要され、部活も指定された。幸い、奈緒音さんはその異常性から逃れようと思うことができ、18歳のときに実家を出た。しかし、その後もお金をせびり続ける母の呪縛に苦しめられた。
奈緒音さんは虐待を受けた9歳の女の子のことをどう思ったのか。
「愛される」ために「いい子になる」
小さい時、なぜ母が私を愛してくれないのかわからなかった。最初の子の兄は溺愛され、生まれてからずっと病気がちで入退院をくりかえしていた一つ下の妹は、必然的に優先された。私がが母に求めていたのは、ただ「愛されたい、構って欲しい、優しくしてほしい、抱きしめてほしい」だけだ。幼い私はそのためにどうしたらいいかを考えると「いい子になる」「母に気に入ってもらえるようになる」「母を喜ばせる」「母の機嫌を取る」という選択肢しかなかった。
最近、母親が9歳の娘に満足な食事を与えず低血糖症の症状で40回以上入院させ、共済金を搾取する事件が報じられた。いくら母親から食べるなと言われても、9歳の子なら自分の意志で何かを食べることもできるし、こっそり黙って食べても良いにもかかわらず、娘は母親に言われたことを守り食べなかったようだ。もらったお菓子一つも、トマトも食べて良いか?と許可をもらっていたようだし、「食べるな」と言われれば我慢したという。言いつけ通り食べていなくても、母親はLINEで娘を嘘つき呼ばわりしたと報じられて胸が締め付けられる思いだった。
私にはこの9歳の子の気持ちが、自分のことのようにわかる。幼い私にとって、母親に言われたことが絶対で、「見ていないから、バレなければ」という思いになれないほどの精神的な圧迫を感じていた。恐怖すら覚える時もあった。特に親に対し「嘘をつく」ことについては絶対に許されない。「嘘つき」は生きている価値がない人間だとまで言われた。お腹が痛いと言っても、嘘をつくな大げさだと言われ、それがどれだけ愚かなのかと責められる。人間失格だと言われる。嘘ではないのに信じてもらえないから、本当にお腹が痛くても我慢をする。結局それで盲腸が破裂し腹膜炎を起こしたこともあった。母に信じてもらえない子供はどんどん我慢し、自分の希望や思いも、SOSも上手に伝えられなくなると実体験から感じる。