前年度に比べて3割以上も増え、3年連続で過去最多を更新した。特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの介護職員が高齢者を虐待した件数である。2023年度は1123件だったと厚生労働省が先月発表した。
職員に通報を促す事業所の環境づくりが進み、把握できる件数の増加につながったという。しかし、高齢者の尊厳を傷つける行為であり、許されないのは言うまでもない。
特に、家族を事業所に託している人は不安が募るに違いない。政府は虐待の把握だけではなく、後を絶つことにも力を注がねばならない。
虐待の種別は、暴力や身体拘束などの身体的虐待が半数を占め、最も多かった。暴言といった心理的虐待と、長時間放置などの介護放棄が2割余りで続いた。
被害者の69・7%の人は要介護度が3以上の中重度だった。73・0%は認知症で、周りの注意や介護を必要としていた。
厚労省が明らかにした発生要因は「虐待や権利擁護、身体拘束に関する職員の知識・意識の不足」が77・2%と最多。次いで「職員のストレス・感情コントロール」(67・9%)などと、職員個人の問題が上位を占めた。
看過できないのは、虐待が認められた事業所のうち、2割近くは過去にも虐待があったことだ。職員個人に加えて、事業所も責任を免れられない。この割合は前年度より減少したとはいえ、指導する自治体や国も引き続き重く受け止めるべきだろう。
岡山県内の施設職員による虐待は29件で、14件だった前年度から倍増して、やはり過去最多となった。県内の施設は特別養護老人ホームだけで200以上あり、問題があったのは一部ではあるが、24年度も虐待が確認されるケースは相次いでいる。
例えば、瀬戸内市の特別養護老人ホームでは3年以上にわたり、入所者らの身体を不必要に拘束するなどの虐待が繰り返されていたとして、岡山県が先月、介護保険法に基づき、新規入所者の受け入れを半年間停止する行政処分を出した。笠岡市の老人保健施設では入所者を殴り、けがを負わせたとして10月、傷害の疑いで職員が逮捕された。
介護現場は深刻な人手不足で、過度な業務負担が影響している可能性は否めない。人材確保を国や自治体がしっかり後押しする必要がある。加えて、本人や家族が被害を訴えやすい相談窓口を整備してもらいたい。職員研修の拡充を促すことも重要だ。
厚労省は、事業所への介護報酬の24年度改定で、虐待を防止するための指針の整備や職員研修といった措置を講じていない場合は報酬を減額するなどした。政府はこうしたことを周知するとともに、虐待件数が最多を更新していることを踏まえて、これまでの対策で十分に効果が上がっているかを検証してほしい。
職員に通報を促す事業所の環境づくりが進み、把握できる件数の増加につながったという。しかし、高齢者の尊厳を傷つける行為であり、許されないのは言うまでもない。
特に、家族を事業所に託している人は不安が募るに違いない。政府は虐待の把握だけではなく、後を絶つことにも力を注がねばならない。
虐待の種別は、暴力や身体拘束などの身体的虐待が半数を占め、最も多かった。暴言といった心理的虐待と、長時間放置などの介護放棄が2割余りで続いた。
被害者の69・7%の人は要介護度が3以上の中重度だった。73・0%は認知症で、周りの注意や介護を必要としていた。
厚労省が明らかにした発生要因は「虐待や権利擁護、身体拘束に関する職員の知識・意識の不足」が77・2%と最多。次いで「職員のストレス・感情コントロール」(67・9%)などと、職員個人の問題が上位を占めた。
看過できないのは、虐待が認められた事業所のうち、2割近くは過去にも虐待があったことだ。職員個人に加えて、事業所も責任を免れられない。この割合は前年度より減少したとはいえ、指導する自治体や国も引き続き重く受け止めるべきだろう。
岡山県内の施設職員による虐待は29件で、14件だった前年度から倍増して、やはり過去最多となった。県内の施設は特別養護老人ホームだけで200以上あり、問題があったのは一部ではあるが、24年度も虐待が確認されるケースは相次いでいる。
例えば、瀬戸内市の特別養護老人ホームでは3年以上にわたり、入所者らの身体を不必要に拘束するなどの虐待が繰り返されていたとして、岡山県が先月、介護保険法に基づき、新規入所者の受け入れを半年間停止する行政処分を出した。笠岡市の老人保健施設では入所者を殴り、けがを負わせたとして10月、傷害の疑いで職員が逮捕された。
介護現場は深刻な人手不足で、過度な業務負担が影響している可能性は否めない。人材確保を国や自治体がしっかり後押しする必要がある。加えて、本人や家族が被害を訴えやすい相談窓口を整備してもらいたい。職員研修の拡充を促すことも重要だ。
厚労省は、事業所への介護報酬の24年度改定で、虐待を防止するための指針の整備や職員研修といった措置を講じていない場合は報酬を減額するなどした。政府はこうしたことを周知するとともに、虐待件数が最多を更新していることを踏まえて、これまでの対策で十分に効果が上がっているかを検証してほしい。