大学選び、脱偏差値へ新指標 学生の伸びで「格付け」
文部科学省は大学の運営を第三者が審査する「認証評価制度」を見直す。在学中の学生の成長具合など、教育の質を測る指標をつくり、複数段階で評価する。受験生らが偏差値やイメージではなく、教育内容を比較して進学先を選べるようにする。大学間の切磋琢磨(せっさたくま)を促し、大学教育全体の質向上にもつなげる。
文科省は評価が低ければ改善を求め、最終的に学生募集の停止といった撤退を促すことも想定する。
中央教育...
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(更新)- 奥平寛子同志社大学大学院ビジネス研究科 准教授別の視点
ビジネススクールには複数の厳格な国際認証制度がありますが、そこでの経験は参考になります。何が参考になるかというと、認証のための対応にも人手がかかるという点。KPIを設定して、そのKPIに適合するようシステムを運用していくわけですから、システムを構築したり、システムが名実ともに機能するよう、連携のために組織内で立ち回る人材が必要になります。それは個々の大学教員(=研究者です)や職員の手には負えない話です。誰かが研究を諦めることで認証制度が回ることがないよう、人材配置の議論を進めてほしいものです。ビジネススクール関係者の話も参考になると思います。
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(更新) - 柳沢幸雄北鎌倉女子学園学園長・東京大学名誉教授分析・考察
日本の大学教員時代、7年に1回の審査のための作文に辟易とした記憶がある。今回見直される「認証評価制度」が、辟易感をさらに増す物ではないことを切に期待する。 若者の最終の教育段階である大学教育がその人の人生にとって有益であったか否かは、投資した時間と金銭に対するリターンによって評価することができる。つまり大学の教育に対する評価は、卒業生が自分の人生にとって大学教育の効果を評価することによって示すことができる。 また作文によって大学教員の時間を浪費させるべきではない。教員のアクティビティーを高く保つには、終身雇用制を撤廃し、獲得した研究費から自己の給与を捻出する雇用形態に変更することである。
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(更新) - 菅野暁東京大学 理事(CFO)別の視点
国立大学の評価については、既に中期目標・中期経営計画の評価という大学運営全般にかかる包括的な定期評価があります。これに加えて、教育の質を測る認証評価制度を導入するというのは、屋上屋になるリスクが大きいと危惧します。その意義を否定するものではありませんが、きちんとした評価軸なり評価方法を詰めないで評価制度をスタートすると、評価の形式化(形骸化)が即座に起こります。ただでさえ教員が研究に時間の3割しか割けないといった現状に拍車をかけることになれば本末転倒です。しかしながら一方で、民間から来た目で見ると、国立大学というところは自己評価が苦手なところだとつくづく感じます。
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(更新) - 中空麻奈BNPパリバ証券 グローバルマーケット統括本部 副会長今後の展望
第三者評価による格付け付与で、大学の評価だけでなく将来的には同じ大学でも学部ごとに差がつく。偏差値だけではない客観的評価は確かにあっていい。少子化の中、学生を取り合いしなければならない大学にとって、助成金に影響するのであれば、大学側から見てもよいKPIになるかもしれない。ただし、適合か不適合か、だけであってはならない。ぜひ、大学はそれぞれの大学の特徴と関連させる気で取り組んでほしい。そもそも、不適合の大学や学部があるとすれば、それ自体おかしなことだ。この大学を出るとこんな技術、こんな知識が身につく、というアピールポイントがない大学は退出してもらうくらいの気合で取り組んでもらいたい。
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(更新) - 柯 隆東京財団政策研究所 主席研究員ひとこと解説
問題意識が正しいし、取り組みも評価されよう。ただし、もう一歩踏み出さないといけない。すなわち、一生懸命に教える教員の給料(年俸)とさぼる教員の給料に差をつけないといけない。だいぶ前に、ある国際会議でハーバード大学の教授に聞いたことがある。ハーバード大学教授の年俸はいくら?その教授の答えは、高い人なら約40万ドル、低い人は5万ドル程度。日本の大学では、一生懸命教える人とさぼる人とは給料に差がない。教員に対してきちんと評価するならば、その待遇も変えないといけない
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