第61話 医者として
まあ、今更だな。
ローザリンデ以外とは何度もやってるし。
ローザリンデに手を出したのは初めてだが……、まあ、ローザリンデは貴族ではなく俺のものになることが決定している訳だし、大丈夫だろう。
避妊の魔法は使っているから、誰も孕んでないし、問題は何一つないな。
「ふふ、ふふふ……、や、や、やっちゃった……!」
ローザリンデが珍しく、顔を赤くして露骨に恥ずかしがっている!
なんだかんだ言っても箱入り娘だしなあ、こんなもんか。
「ローザリンデ様、庶民の貞操感ってこんなもんでございますよ?」
と、俺はあえて謙って言った。
いや、本当にそう。
酒の勢いでやっちゃった!なんて、よくある話。
相手が決まってないなら浮気じゃないしな。別に変な話じゃない。
そもそも、マーゴットはちょっと箱入りだから違うけど、シオとミレディは俺と出会った時点で処女じゃなかったぞ?
ミレディなんて、前に恋人いたらしいし……。死んだっぽいけど。
そんなもんだぞ、世の中。
童貞と処女がピュアな恋愛!とか、中世ファンタジーの世界である訳ないじゃん?いや現代日本でもねぇよ。
世の中は物語のように綺麗なもんじゃないし、登場人物は皆、嘘をついたり、勘違いをしていたりする。それが現実ってもんだ。
とりあえず全員に朝飯を食わせてから、お土産を持たせて帰らせる。
ローザリンデとミレディには果物の詰め合わせ。
シオとマーゴットには、丸焼きにした牛肉の余りを、薄切りにして野菜と共にパンに挟んだサンドイッチを大量に渡す。『青のほうき星』のみんなと食べてねー、って感じ。
うん、やることもやったし、今日は久しぶりに働くか。
「アンドルーズ様!」
おっと。
トリスティア。魔族の奴隷少女。
「よしよし、長い間留守にして悪かったな。今日は一緒にお仕事しようなー!」
「はいっ!」
トリスは、俺の王都行きでしばらく放置しちゃってたからな。
俺は毎回、立場の低い女に下から持て囃されるのが良い!とは言っているが、それは、立場の低い女を死ぬまで養って可愛がるというお返しをするという前提あっての話。
トリスは、俺のいうことをなんでも聞いて、良い子にしていなきゃならない。
俺は、トリスの欲しいものを何でも与えて、愛してやらなきゃならない。
そういう契約での「奴隷」だ。
こんな可愛い奴隷を侍らせる、主人としての「責任」だな。
「薬の在庫はどうなっている?」
「王都行きの前にたくさん作ってくださいましたが、胃薬と、毒虫用の解毒薬、それと水虫の軟膏が足りなくなってきていますね」
「そうか。じゃあ、今作ろう。トリスは開店の準備をしておいてくれ」
「はい」
トリスは、返事と共に棚の薬品の数を確認。
俺が『庭園』でパッと作ってきた薬品を受け取って、並べる。
掃除は毎日してくれているから、在庫の確認さえすればそのまま開店できるな。
そんな訳で、はい開店。
早速客がやってくる。
「いらっしゃいませ。お薬ですか?治療ですか?」
受付をするのは、トリスだ。
表通りで店を出せない理由の一つだよな。
トリスは魔族だから、表通りで店を出していたら、コロナ禍の欧州のアジア人が経営している店くらいの扱いを受ける。
ところが、歓楽街やスラムに近いこの裏町では、どうせみんな底辺だから、魔族だからって気にする奴もいない。
生きやすいところ、良いところだ。
「こ、腰をやってしもうたわい。痛み止めをくれんかのう」
「はい、こちらになります」
早速やってきた客のジジイを、トリスが対応。
俺はその隣で、紅茶を飲みながら患者を待つ。
「先生!また、肌が赤くなっちゃったの!こんなんじゃ、お客さんをとれないわ!」
「はいよ、じゃあ診察室に来てね」
そして、やってきた娼婦を診察。
「先生!骨が、骨が折れちまったぁ!」
「んー?あー、これは関節が外れてるだけだ、折れてねえよ。今嵌めるから、力抜けよー……おりゃ!」
喧嘩して怪我したマフィアを治療。
「歯が、痛いよう」「先生、うちの子が歯が痛いと昨日から泣いていて……」
「虫歯だね、削ろうか」
スラムのガキの歯を削る。
……俺って今、何科なんだろうか?
一応、知識はあるからと、できることは何でもやってきたが……、何医者だ?そもそも医者なのか?
地球の知識を研究してさらに高めたりはしてないから何とも言えんだろうか?
俺は一応、医者やってた頃は緊急医で、集中治療科もやれた。もう本当に激務で狂いそうだったな!
しかし知り合いの脳神経外科と血液内科と小児科の医師達は狂いそうってか狂ってたからなあいつら。全員もうお前らが医者にかかれよ、精神科だぞ?って感じだった。かわいそ。
あとはやっぱり、この世界だと、魔法でリカバリ利くのがなー!
やったことはないが、仮にミスって内臓を傷つけてしまっても、回復魔法をかければ瞬時に治るのだから楽々の楽。
なので単純な、肉体の損傷、外科の仕事は殆どが魔法で代替可能。
やばいのは癌とかかな。癌は、回復魔法をかけると「治る」ので大きくなっちゃうのよ。腫瘍とかもそう。血栓とか変形骨折とかも手術せんとダメだねえ。
そんな感じで、俺は、誰でも何でも治療していた。
そして、夕暮れ時。
「ありがとう、先生!」
「はいよ、お大事に」
と、最後の患者を帰したら……。
「トリス、仕事は終わりだ!今晩はトリスの好きな、エビグラタンにしような〜!」
「はいっ!」
俺は、「家族」と幸せな時間を過ごすのだった。
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