東京 世田谷区 区史めぐる「著作者人格権」問題で和解
東京・世田谷区が、地域の歴史をまとめた「区史」の編さん委員に対し、著作者の意に反して内容を変えられない権利=「著作者人格権」を行使しないよう求めるなどした問題で、区は著作者人格権を尊重することなどを約束し、和解しました。
世田谷区は区制施行90年を記念した「区史」の発行にあたり、歴史の専門家や学芸員を編さん委員に委嘱しています。
契約にあたり、区が「著作者人格権」を行使しないよう求めたことに対し中世史が専門の青山学院大学の谷口雄太准教授が「行政による無断の書き換えにつながる」として反対したことから、おととし3月、委員の委嘱を打ち切られていました。
これを受け、フリーランスのライターなどが加入する労働組合が東京都労働委員会に救済を申し立てていましたが、今月上旬、和解しました。
区は著作者人格権を尊重し、改めて谷口准教授に委員の委嘱を申し出るとともに、遺憾の意を表明することで合意したとしています。
谷口准教授はこれまでの経緯から委員として協力はできないとしてすぐに辞退したということです。
谷口准教授は「世田谷区にとどまらず、広く言えばものを書く人の権利に関わる問題だ。今後もどこかで同様の問題があれば、声を上げていく必要がある。ひとつの事例としてほしい」と話しています。
一方、世田谷区は「時間を要したが、互いに折り合えてよかった」とコメントしています。