大規模地震の発生を想定した陸上自衛隊第15旅団(那覇市)の防災訓練で、反対派の妨害行為で輸送ヘリコプターが着陸を断念していたことが26日、分かった。こうした妨害行為を強制排除する法的根拠はなく、実際の災害派遣に際する人命救助や支援物資の輸送への影響も懸念される。陸自は今後の対応の検討に入った。

旅団によると、防災訓練は今月17日、沖縄県名護市内で実施された。当初は午前10時半ごろ、名護城公園のガンジュー広場に輸送ヘリCH47JAを着陸させ、行進部隊の隊員22人を降ろす予定だった。

しかし、訓練に反対する市民ら数人が広場に集まり、レジャーシートを敷いて「ピクニック」をして妨害。着陸を中止せざるを得なくなったとする。

広場にいた自衛隊員が「安全確保のためこの場から出てください」などと移動を促したが、市民らは「今日は阪神・淡路大震災が発生した日であり、訓練をする日ではない。われわれはここで食事をするので、立ち退くつもりはない」などと拒否した。

CH47JAは、別の陸自ヘリの発着予定地だった同市内の中学校グラウンドに着陸地点を変更した。

広場には、一般の通行などを止める規制線を張っておらず、旅団は「抗議する人が来ることを想定した態勢の構築など不十分な点があった。この教訓を踏まえ、今後の対応を検討していく」としている。