傍にいてほしいときにいてもらえない現実

大切にしていたものが盗まれたことも当然ショックだったが、寄り添ってもらえる人がいない孤独で胸が締め付けられるようだった。性暴力に遭った時と同じような感情だ。見ず知らずの誰かが私のプライベート空間に土足で踏み込んできた気持ち悪さと、こんな時こそ信頼できる誰かに駆け付けてもらい、傍にいてほしいのに、未だに私にはいない現実。寂しさと虚しさでいっぱいだった。

これまでは、彼への思いや気持ちが変わることは想像したことはなかった。大切にされているし、一緒にいてくれて、たくさんの時間と思い出を作ってくれている。彼は「妻とは終わっている」「別れる」と言ってくれている。愛情も心もこんなに私に向けてくれている。そう感じていたから少しも疑うことなどなかった。

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けれど、彼にとって最優先は妻と家族であり、今後何かあっても私はその次なのだなとはっきりと「立場」を思い知らされたのだ。「所詮、私は不倫相手」と突きつけられたようだった。こんなに不安な時に、電話ひとつまともに繋がらない。それは、どれだけ普段一緒にいてくれて、愛の言葉をかけてくれても、そのすべてが嘘なのでは? 見かけだけのものでは? という考えが私の中から離れなくなった。

「居場所がない」と言っているのはうそでは? Photo by iStock