「メギド72」の(ゲームシステムのみの)感想
以下の文章は全て個人的な見解です。権利者の方々による指摘や、個人的な気付きによって、予告なく変更・削除する可能性があります。
また、視界が狭い人間なので、色々とご指摘いただければ幸いです。
◆0.前提
・1周年記念日ぐらいからのプレイヤー。
・微課金(衣装・〆チケのみ課金)勢。
・ゲームシステムだけではなく、シナリオや音楽など、非常に様々な魅力のあるゲームなのだが、泣く泣くゲームシステムだけに絞った感想となる。その中でも特に多くのコンテンツに共通する戦闘システムの考察に注力する。
◆1.概要
・ゲームの流れ
「メギド72」はいわゆるソーシャルゲームであり、基本的なシステムとしては、ガチャから排出されたり、シナリオで手に入るメギド(キャラクター)とオーブ(装備品)を使って、敵を倒していく広義のRPGと言える。
メインコンテンツの一つとして用意されているのは、メインクエストであり、敵を倒すことにより、ストーリーが進んでいく。初回挑戦時(ストーリーを読んでいる時)は難易度はノーマルで固定なのだが、一度クリアすると難易度にハードとベリーハードが追加される。ストーリーとの組み合わせで楽しむ初回とは異なり、これらの高難易度(特にベリーハード)は、戦闘そのものを楽しむコンテンツとなっている。
戦闘システムとしては、フォトンと呼ばれるものを敵味方で取り合う。つまり、ドラフトをする。フォトンは、フレーバーとしてはエネルギー体のようなものであり、システムとしてはコマンドに近い。
アタック・スキル・チャージという3種類のフォトンがあり、覚醒ゲージという必殺技ゲージみたいなものが満たされているかによって変化するのだが、基本的にはフォトンの種類がそのまま戦闘時の行動に直結する。
敵味方含め、各キャラクターに(基本的には)最大で3個まで、各陣営(プレイヤー・敵)ごとに最大5個までピックすると、ピックしたフォトンにしたがった行動を、素早さ順に行うという形になる。
つまり、フォトンが湧く→フォトンを交互にピックする→フォトンに従った行動を行う、というサイクルで1ターンが構成され、それを繰り返す。
プレイヤーのメギドが全滅するか、相手が全滅すれば、戦闘が終了する。
◆2.考察
・所有メギドのランダム性
ガチャ(このゲームにおいてはメギドとオーブのランダム性)は、もちろん、商業的な理由によって存在しているわけだが、同時にゲームプレイに関して、面白い影響を与えていると考えている。
「メギド72」においてガチャが与える影響は、各プレイヤーが固有の経験をするためである、と筆者は考えている。
各メギドは個性のある能力を持っている。そして、その多様性を象徴するのが、「メギド72」のメギドにレアリティが存在しないことだ。通常のソシャゲでは、3~5段階のレアリティに分けられていることが多いが、メギドには、そのようなカテゴリは存在しない。(一部には月末の召喚でしか出ず、確率自体が低いキャラクターも存在するが、レアリティの表記などはなく、復刻されるまで排出されないということもない)
これらのメギドは確率で排出される。つまり、ある程度の範囲内に収まっている能力を持ったメギドが各プレイヤーごとに異なる所有状態となる。
その結果、何がもたらせられるかと言えば、それは固有の回答だ。
メインクエストの戦闘は、それぞれ、課題であると見なせる。一度プレイしてしまえば、隠れている要素はなくなるため、相手がどのような行動を取ってくるかは明白だ。そして、それに上手く対応することが求められる。これをここでは回答と呼ぼう。
コンシューマゲームでは、(DLCを除き)ゲーム内容は基本的に皆で一律である(厳密に言えば、そうである必要はないのだと思うが)。
結果として、あるプレイヤーができた攻略法は、他のプレイヤーでも使うことができると考えられる。
同じようなRPGである「世界樹の迷宮」シリーズで考えてみよう。ある敵に苦戦したとしても、ネット上に載っているパーティを作成・育成することができれば、その敵を倒すことができるだろう。
つまり、あるプレイヤーにおける攻略法は、そのまま他のプレイヤーの攻略法として適応できる。時間さえかければ、他のプレイヤーと同等の状態までゲーム内の状態を持って行くことができるのだから。万人に対する回答であると言える。
しかし、ソーシャルゲームではそうはいかない。
日本円というリアルな資源を用いた抑止力がある。結果として、自身の手持ちを容易に増やすことはできない。
また、育成という手段も「メギド72」では限られている。レベル上限が低く、比較的容易に到達できるためだ。(厳密には更なる強化もできるのだが、それが前提のバランスには未だになっていない)
上述したように、メインクエストのベリーハードは、このゲームの根幹をなすコンテンツなのだが、現在実装されているのは9章であるのに対し、4章の最後にはベリーハードの推奨レベルがシステム上の上限(70)に達し、以降は高止まりしてしまう。育成によって、障害を乗り越えるわけではないのだ。
つまり、貴方は手持ちのキャラクターたちで、各課題に対する回答を用意しなければならない。逃げ道が塞がれているからこそ、真剣に取り組むことができるのだ。
だからこそ、各難関と言えるクエストで、どのようにクリアしたかが各プレイヤーで異なることに驚き、互いの功績をたたえ合うことができる。
各メギドたちは、決して万能ではない。かなり強力なメギドでも、明確な弱点を持つことがある。そして、召喚しているメギド数も限られている。そんな中で、与えられる課題に対し、手元のキャラクターたちから、適切な戦略を見出し、回答をする。
これこそが、「メギド72」のメインコンテンツであると言え、このゲームの根幹をなしている体験であると考える。
このような『万人における回答が用意できないゲーム』は、この高度な情報社会で合っても、自ら攻略しなければならないと感じさせることができていると筆者は考えている。
また、上記のような、万人の回答が適応できない例は、ソーシャルゲーム以外にもある。
たとえば、技量を必要とするものだ。「ダークソウル」系統のゲームのように、メインをクリアするだけでも高い技量を求められるゲームがある。つまり、攻略法(情報)を得るだけでは、クリアできないことが多い。
ローグライクゲームにも似た傾向があり、ランダム性が高いがゆえ、その時々における状況から的確な判断を迫られる構造になっていることが多い。
これらのゲームが流行した理由には、ユーザーフレンドリーなゲームが増えすぎた反動という点もあるだろうが、瞬時に攻略法がネット上に広まるような現代でも、ゲーム体験を損なわないという側面があるように思える。
・ガチャに対するセーフティーネット
このような特徴は、当然のごとく、逆のことも言える。
つまり、手持ちだけでクリアできないクエスト(敵)が用意された場合、それは詰んだ状態になってしまう、ということだ。
だから、それを避けるための機能も追加されている。
まず、先日実装された『みんなの編成』という機能だ。
これは、他のプレイヤーがそのステージをどのようにクリアしたのか、ということが見られる機能になっている。
もちろん、該当のメギドを所有していないということはあるのだが、参考にすることができる。むしろ、そのような時こそ、その代替ができるメギドを自分で考える、という課題が生まれ、上手くいった時の喜びも大きい。
また、この機能では、実際の戦闘における動きまでリプレイすることができるため、ドラフトにおける立ち回りを学ぶこともできる。
この機能が実装される前にも、先輩プレイヤーに相談を持ち掛け、先達がそれに応えるという文化が根付いており、いざという時には助言を求めることができた。
このように、ある程度まで、思考を外部委託することができる。
また、様々な方法で一定のメギドを得られることができる。メインクエストをクリアしたり、常設されたイベントクエストに挑むことで、固定のメギドたちが得られる。彼らは俗に配布メギドと呼ばれており、特殊な強みを持った者や、汎用性の高い能力を持った者が多い。
そのため、最悪でも、彼らを獲得・育成することによって、メインクエストをクリアすることができるようになっている。
もちろん、これらの要素は、前述した面白さを削るものでもある。
『みんなの編成』を見ることによって、自分で考えなくても済む。配布メギドだけで編成すれば、皆が同じ構成で戦うことができる。
しかし、ゲーム進行に支障をきたしてしまったり、それに嫌気がさしてユーザーがプレイを止めてしまえば、元も子もない。
そのバランスの難しさは常に存在しているが、今の「メギド72」は、この程度のバランスを選択しているということになる。
・金冠と育成システム
これらのメインクエストだが、這う這うの体になっても敵を倒す……というだけでは完全なクリアとならない。自身が編成したメギドが1体でも戦闘不能な状況でクリアしてしまうと、銀冠クリアという状態になってしまう。
ストーリーを先に進めることはできるのだが、攻略チケットというアイテムを使用した瞬間的な周回ができるようにならない。
このゲームでは、良くあるようにスタミナを使って、クエストをクリアしドロップアイテムを手に入れる。つまり、周回をすることで、メギドを強化したりできるのだが、その際に、いちいち高難易度の戦闘をやるわけにはいかない。そのため、チケットを使って、一瞬でクエストをクリアしたことにして、スタミナを消費し、報酬だけを受け取れるのだ。
しかし、そのためには、金冠クリアの状態にする必要がある。その条件とは、戦闘終了時に全てのメギドが生存していることだ。つまり、回復や防御と言った面にも気を配る必要があるし、そのクエストを完全に理解したと言えるような、完全な勝利を一度はしなければならないのである。
このシステムにより、ソーシャルゲームでありながらも、ゲームプレイに対するメリハリをつけることに成功している。
普段は、チケットを使った瞬間的な周回でスタミナを消費しつつ、ドロップ品を貯めていき、時間がある時に、高難易度クエストの攻略にじっくりと取り組むことができる。
・フォトンドラフトと覚醒ゲージ、メギドの編成
上述したように、「メギド72」では、アタック・スキル・チャージフォトンという3種のコマンドをドラフトし、戦闘を進めていく。
その際に、重要なのは、どのようなフォトンが湧くのか、というのはランダムであることだ。(確率には偏りがあり、感覚的にはアタックが40%、スキルが40%、チャージが20%であると思われる)
ランダム性が含まれていることで、各行動の価値が明確化されず、リスクを取ってまで最大限の動きをするか、それとも、最悪の可能性をケアするか、と言ったような判断が生まれる。
また、敵と味方がコマンドを共有していることから、自分が取る=相手が取れない、ということでもある。つまり、各コマンドの価値は、『自身が取ることによるメリット』と『相手が取ることによるデメリット』が内包されており、その総合で判断を行わなければならない。
自分の都合だけを考えることはできないのだ。
さらに、覚醒ゲージがこのドラフトをより深いものにしている。
覚醒状態(覚醒ゲージが最大まで溜まっている状態)だと、アタックフォトンでの行動が『通常攻撃』から『奥義』に、スキルフォトンでの行動が『スキル』から『覚醒スキル』になる。(例外はあるが、覚醒状態のチャージは基本的には行動を伴わない)
この覚醒ゲージは、各スキルや能力などで溜まっていく他、通常攻撃で+1、チャージフォトンによって+2される。
結果として、生まれるのは、戦闘ごとに異なる覚醒状況だ。あるメギドや敵が覚醒しているかどうかで、各コマンドの価値は大きく変化する。
同じパーティで同じ相手と戦っていても、フォトンの湧きがランダムで、覚醒状況が変わっていくために、決まり切った手を連打すればよい、という状況には、高難易度ではならない。自身が考える必要があるのだ。
これが、『みんなの編成』という機能が実装されていても、自身で考える必要性を生んでいる。真似をするだけではクリアできない。それぞれ固有の状況に対応する術を学ぶ必要がある。
また、フォトンを共有する、という要素はメギドの編成にも大きな影響を与える。簡単に言えば、必要とするフォトンをバラけさせた方が良いのだ。
全てのメギドがスキルフォトンを必要とする場合、確保できる量は少なくなってしまう。バランスを見る必要がある。
これは敵に対しても同じことが言える。奥義が強い敵であるならば、相手の覚醒ゲージを上げたくないため、スキルばかり使うパーティより、アタックやチャージを使うパーティの方が安定する。
そういった戦略を練る必要が生まれている。
・オーブ
しかし、どのようなフォトンが湧くのかがランダムであれば、各戦闘は安定しなさすぎるのでは、という懸念は当然のように発生する。
それに対するセーフティになっているのが、オーブという要素だ。
各メギドに1つだけ装備することができるもので、自動で発動する効果と発動させる必要のある効果が1つずつ設定されている。また、使用効果は、クールタイムが存在し、1~3ターンに設定されている。
オーブは、発動可能な状態になっていれば、フォトンを使う代わりに発動することができる。その時、使用したフォトンの種類は問われない。つまり、安定的な効果を生むことができるのだ。
また、オーブの効果は多様であり、強化や回復、状態異常の解除、攻撃にフォトンを生み出すものまである。
これによって、メギドの編成において、不足した要素を埋めることができるようになっている。
一方で、色々と制限はあるもの、安定性が抜群に高いことから、非常に強力であることは間違いなく、オーブのクールタイムを-1するという効果を持つメギドが重宝され、強力となってしまっている問題もある。
・メギドのスタイル
各メギドは、ラッシュ、バースト、カウンターの3種類のスタイルのうち、どれかに属している。
このスタイルというのは、ただのタグであり、それ自体が直接的な効果を持っているわけではない。しかし、重要な要素でもある。
まず、オーブにも上記のスタイルが設定され、同じスタイルでなければ装備できないようになっている。
これにより、スタイルごとに得意な効果、あるいは不得意な(持てない)効果が存在している。
「マジック:ザ・ギャザリング」におけるカラーパイの概念に近く、万能なキャラクターが生み出されにくく、各キャラクターの効果面における差別化に繋がっている。
・ターゲットの仕様
RPGのようなターン制のゲームで、テンポ上の問題となるのは、ターゲットの指定だ。各コマンドごとに対象を選ばなければいけなければ、その分だけタップ回数が増え、戦闘時間が長くなる。特に、ソーシャルゲームのような画面サイズが小さく、気軽にしたいゲームにとっては問題だ。
「メギド72」では、敵と味方で、1体ずつしかターゲットが設定できない、という方法でそれを回避している。
つまり、ある攻撃はAに、他の攻撃はBに、と言った選択はできず、そのターンにおける対象は全て同じになるのだ。
これは、テンポの上昇と共に、ジレンマを提供している。この強化はAにかけたいが、瀕死のBに回復させたい、というような状況が発生するがターゲットを設定してはそれが達成できない。優先順位を考える必要がある。
何もターゲットしていなければ、対象がある程度オートに決まるようになっている。
たとえば、回復ならば体力が低いメギドが対象に、攻撃力の強化ならば、一番攻撃力の高いメギドに、と言った具合だ。
これは便利なのだが、それでも、万能とは言えないのは容易に想像がつくだろう。オートが全ての意図をくみ取ってくれるわけではない。
これらの仕様によって、ターゲットをどう設定するのか、という技量が発生する余地がありながらも、それを意識せずとも、最低限の動きができるようになっている。しかも、テンポは維持されている。
また、攻撃の対象の決定には、各メギドのクラスという要素も関係する。
「メギド72」では、敵味方問わず、各キャラクターは前列か後列のどちらかに配置されている。そして、それにクラスが関係するのだ。
スタイルと同じように、メギドや敵には、必ずファイター・トルーパー・スナイパーという3つのどれかのクラスを持つ。
・ファイターは前列におり、前列の敵を狙う。
・トルーパーは前列におり、後列の敵を狙う。
・スナイパーは後列におり、前列の敵を狙う。
こういった関係を持っている。(オートではなく、上記のターゲットを設定すれば、トルーパーでも前列の敵に攻撃したりする)
上記が影響するオートターゲットの範囲では、
・前列は攻撃を受けやすいが、前列にも後列にも攻撃を与えられる。
・後列は攻撃を受けにくいが、後列を攻撃できない。
という状況が自然と表現されているのがわかるだろう。
加えて言えば、このターゲットの仕様は、各効果の差別化にも関わる。
たとえば、
・対象の列のメギドの覚醒ゲージ+1
・後列のメギドの覚醒ゲージ+1
というそれぞれの効果が差別化されている。
前者の場合、ターゲットの設定で対象の列を変更できるという柔軟性があるように見えるが、一方で、後列のメギドの覚醒ゲージを上げたいが、前列のメギドを回復させたいと言った状況に、ターゲットの仕様から対応できないことがある。
後者の場合、ターゲットに関係なく後列のメギドの覚醒ゲージを上げられるという利点があるが、前列のメギドに対象を変えることはできない。
こうような差が生じており、上級者向けではあるものの、差異を理解できる者にとって、適切な効果を選ぶことは、面白さの一つだ。
しかしながら、このような仕様が複雑であることは否めず、オートターゲットにはここで説明しきれない多様な仕様が隠れていることもあり、初心者が混乱する要因の一つにもなっている。
・マスエフェクト
加えて、編成される位置によって、効果が得られるマスエフェクトという要素がある。
リーダー(編成の中心)に配置したメギドのマスエフェクトが設定され、他の4枠(左2右2)のメギドが、マスエフェクトに設定された条件を満たすと、能力が発動するというメカニクスだ。
その条件はいくつかあり、上述したクラスやスタイルであったり、男性や女性という部分を参照する。そのため、限られたメギドだけが条件を満たすようなこともあり、差別化に繋がっている。
これによって、能力にバリエーションを持たせることができ、同じメギドの編成だとしても、誰をリーダーにして、どこに配置するかで、また違いが生まれることになっている。
さらに言えば、そもそも発動させるのがベストとは限らない。たとえば、自分のHPが低い時に行動が変わるような敵と戦っている時に、ターン終了時に回復するというマスエフェクトはむしろ、アンシナジーを生む。そういった時には、わざと発動の条件を外すようなこともある。そういった、工夫の余地を含んでいる。
・各要素の関連性
色々と考察してきたが、正直、「メギド72」を知らない方にはわかりにくい内容になってしまったと考えている。
というのも、各要素が上手く組み合わさり、それぞれの弱点を補っていたり、ある仕様が他の仕様に影響を及ぼしていたり、とある要素単体で説明しきることが難しくなっているからだ。
そのため、初心者にはゲームの仕様の全容が分かりにくいことで有名で、実際に筆者が初めてプレイした時も、オーブやマスエフェクトなどは良くわからないままに、ストーリーを進めていった。
しかし、ちゃんと序盤はそういったことを意識せずとも進め、後半になるとそこまで理解しなければならない、という難易度調整がされている。
また、逆に言えば、このように各要素がしっかりと考えられ、組み合っていることから、様々なメギドや敵が追加されていても、基本的な戦闘の面白さが維持できていると考えられる。
もうすぐ4周年を迎えるゲームではあるが、今後にも期待している。


コメント