「ペリビット」の感想
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また、視界が狭い人間なので、色々とご指摘いただければ幸いです。
前提
ブネ・モラクス・ウェパル・バルバトス・シャックス(敬称略)とのみプレイ。
一般には流通していないが、メギド72という集団の拠点で遊ぶことができた。
部分的に処理を任せてしまったので、厳密な処理がわかっていない可能性がある。
感想
3種類の石を用いた異世界出身のアナログゲーム
3種類の石を用いたゲームだ。3種類各12個の石さえあればいいというシンプルなコンポーネントとなっている。それもそのはずで、普段はメギドラルという異世界でプレイされており、メギドという種族が遊んでいるようだ。メギドは個体によって形状が大きく異なることもあってか、このような石や、虫の死体など用意しやすいもので本来はプレイしていたらしい。
この3種類の石は、それぞれ戦争・自然・社会という意味を持っているがゲーム的な意味としては平等で個数や効果などは均一だ。これを場に5つ、各プレイヤーが3つ持つところからゲームが開始される。
各手番では、石をプロットし、同時に公開することになる。この決定の前に持っている石を2つ手放すことにより、新しい石を1つランダムで手に入れることができる。正式なルールではどうなっているかわからないが、手加減をしてくれたのか、今回のプレイでは、相手から先に交換を宣言してくれるというルールでプレイすることになった。実際には、同時に宣言する形になっているのだろう。
公開された石が、場にある種類のものであるならば、その隣に置き、そうでないなら、単純に場に出される。そして、相手が同じ場所の石に置かなければ、出した石と、場に置かれていた石を取得できる。
同じ場所だった場合、『衝突』が発生し、両者が出した石は場に置かれたままになる。もし、次以降の手番で、その場所にプロットしたのに、相手がプロットしなければ、こちらがその場にある石をすべて取得できる。
これを2手番行った後、ラウンド終了条件が満たされていない場合、場と手持ちの石は既定の数に補充され、次の手番に移る。
また、石の取得の際には、メトゥスと呼ばれる数値が上昇する。衝突なしに取得した場合は『1』、衝突後に取得した場合は『その石の数』だけ増える。この値が12以上になると、1ラウンドが終了する。
ラウンドごとに、取得した石で役を確認し、それぞれの数で点数が決定される。(基本的にはセットと集中が役になり、3種類をそろえるか、1種類をまとめて取ると得点に繋がる)
これを3ラウンド行い、すべてのラウンドにおける得点の合計点がゲームの勝利点となり、これが高い方が勝者となる。
ただし、3ラウンド目の終了時のみ、特別な処理がある。
各ラウンドにおいて、メトゥスが12を超えた数は別途、記録しておき、3ラウンドのうち、負けが多い方が、全ラウンドの超過分のメトゥスだけ、石をランダムで取得できる。これは3ラウンド目で獲得した石という扱いになり、(ラウンドの勝敗は先に決定するので)もう一度、得点を計算して、最終的な得点とする。(負け数が同じ場合は、石を均等に分ける)
早い話が、逆転可能な要素が最後に待っている、という感じだ。
調整の利く逆転可能要素
このようなアブストラクト系のゲームにありがちなのが、ゲーム中に勝敗が決してしまうという問題だ。
特に本作のように、ゲームを通して勝利点を計算したり、各ラウンドに分割して勝利点を獲得していくゲームでは、そういったことがわかりやすい。3回以上、勝利点計算を行う場合、(アブストラクトゲームでは終盤における獲得得点の傾斜がないことも多いので)ゲームの途中で、残りの獲得可能得点を上回る差になってしまう、ということも多い。
本作では、最後の敗者側が石をランダムに獲得できる(これをステラ・メトゥス=凶星というらしい)要素があるので、それを覆すことができる。
これが単に、覆すだけの要素であれば、端的に言ってつまらないのだが、そうはなっていないところが面白く感じた。
上述のように、メトゥスの数というのは、ある程度の範囲だが、調整することが可能だ。もちろん、石の引きや、相手の出方次第ではどうしようもないこともあるのだが、多少の調整はできる。
先に2勝したり、そうなりそう、というプレイヤーはメトゥスがなるべく12ピッタリになるように調整して勝とうとするし、敗者になりそうなプレイヤーはメトゥスがなるべく12を大きく超えるようにプレイする。
ラウンドごとの得点とは別の軸の駆け引きが、各ラウンドを超え、ゲーム全体を繋ぎとめており、そのやり取りが面白いと感じる。
また、役の得点表がよく出来ていて、絶妙な数値になっていると感じた。単純に勝利点を高めようとすると、動きがわかりやすくなったり、微妙に石の数が足りないまま、ラウンドが終了しやすくなっているのではないか。アナログゲームらしいスケールの数値だが、上手く設定されている。メトゥスによる逆転も十分に発生しやすく作られており、よく出来ている。
このメカニクスと役の表が本作の白眉であり、長い期間をかけて、異世界で洗練されたものだと感じさせる。あるいは、知能の高く、ゲームに習熟したメギドによって、これらの数値が設定されたのだろう。
異世界の言語によるゲーム用語
各ゲーム用語には、古代メギドラル語というものが使用されている。カタカナ転写しても、馴染みのない単語で、それらを大量に用いたゲーム説明をされた時は、少し混乱してしまった。
しかしながら、順を追って整理して考えると、さほど大きな問題はなくプレイすることができた。実際の動きはシンプルだ。
ゲームにこのような用語が使用されることによって、異世界のゲームであるということが強調されたり、独特の雰囲気を出すこともあるが、ゲームルールそのものの理解を阻害することがある。
まずは、細かい単語の意味などを深く考えず、覚える必要のない単語は脇に置いておき、ゲームの処理に集中することを推奨する。
プレイヤーごとの傾向
一見、意味のない選択が発生することがあるゲームだ。
場には5個の石が置かれているが、石は3種類しかないため、基本的には同じ石が複数の場所に置かれている。そういった時に、どこに置くのか、というのは特に基準がない。両者が同じ種類の石を出した場合、同じ場所なら衝突が発生し、そうでなければ、素直に両者が石を取得して終わる。メトゥスの管理もあり、衝突が発生するか否かは、ゲーム全体への影響力がある。それがランダムなのはどうなのか、というのを最初は感じた。
しかし、実際には、各プレイヤーには癖がある。
どのような癖なのかは、プレイしていくうちにわかるようになる。少なくとも、遊ばせていただいた相手である彼・彼女らは、個性が強いためか、思わず考えていることを口にしてしまうこともよくあり、そういった部分からもある程度推測できるように感じた。(とはいえ、相手の心がわかるわけではないので、実際のところはわからないが)
それを把握すると、交換の有無や、石の取得状況なども加味し、ある程度は衝突を意図的に起こしたり、避けたりすることができるようになり、ゲームの面白さが増した。
結局、他のプレイヤーと遊ぶ時に大事なのは、相手に意図(決定における一定の法則や、目的など)がある、と感じることだ。それがランダム性とインタラクションを分ける大きな部分で、実際、目の前に人がいても、彼・彼女らが何かしらの方法でランダム性のある決定を行い、選択をしていれば、それはゲーム数理的なプレイヤーインタラクションではないと言える。
逆に、目の前に人がいなくとも、何かしらの意図・論理があり、その傾向を掴めたり、ミスリードされたりすれば、意味をなす。本質的にはそれがある、と主観的に感じられさえすれば、それは主観的なゲームにおいてはプレイヤーインタラクションとしての意味を持つことになるのだ。
このような『個』の強さは、無機質になりがちなアブストラクトゲームにおいて、上手く機能していると感じた。総合的には、『個』を重視するメギドらしいゲームになっていると思う。


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